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ユキちゃんのビジネスモデル調査ノート〜ファーストリテイリング(ユニクロ)編〜

今回は一度は購入した事があるのでは無いでしょうか?ファーストリテイリング(ユニクロ)です。世界の名だたるファストファッションの中に唯一無二のスタイルでトップクラスに上り詰めた企業です!そんなユニクロの調査ノートのストーリーをお楽しみ下さい。

●今回のテーマ
ファーストリテイリング(ユニクロ):高品質で手頃な価格の衣料品を提供し、グローバルに展開しています。

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ファーストリテイリング(ユニクロ)編〜きっかけの冬物セール〜


 風が冷たくて、窓の外はどこか懐かしい色合いを帯びていた。冬の朝、私は小さなワンルームの部屋で、薄手のブランケットにくるまってスマホ画面を眺めている。指先が触れるたび表示される服の画像、セールと書かれた赤いバナー。どこを見ても似たようなニットやコートが並んでいる。

「そろそろ冬物買っておきたいけど、まぁ、ユニクロでいいかなあ……。」
 無意識に口から漏れた一言は、なんだか色の褪せた商店街で、どこでも手に入る飴玉を選ぶような気軽さだった。昔、実家近くの古いアーケード街にあった洋品店を思い出す。あの頃、母が「今日は特売日よ」なんて笑顔で教えてくれたっけ。そんなぼんやりした思い出がよぎる中、後ろでピクリと耳が動く気配がした。

「君は本当に、それで“いい”のかね?」
 声を発したのは、私が拾った一匹のウサギ――いえ、「うさぎ先生」だ。彼はマーケティングと心理学、そしてAI研究の権威で、なぜだか闇の組織にウサギに変えられてしまった伝説の大学教授だという。今は私の部屋で、ちょこんと座布団の上に腰かけながら、長い耳をゆらゆら揺らしている。

「え、ユニクロは有名だし、安いし……別に変じゃないでしょ?」
 面倒くさそうに答える私に、うさぎ先生は「あまりに安易な選択ではないかね」と鼻をひくつかせた。その姿はちょっと笑えてしまうけれど、本気のようだ。

「考えたことあるか? なぜ“ユニクロ”が君の中で、当たり前の選択肢になったのかを。」
 先生の問いかけに、私は思わずスマホを置いた。たしかに安くて有名、だけどそれなら似たような店はいくらでもある。なぜユニクロなのか、と言われれば……なんとなく馴染みがあるから? CMでもよく見るし、人づてに話題になるから?

 先生は小さな前足でヒゲを撫でながら続ける。
「本当にそれだけなら、他の企業も同じことができるはずだろう? ユニクロはなぜ、君が“選んでしまう”ほど、社会で定着しているのか。その“成功の理由”があるはずなのだよ」

 私は少しむっとしながらも、なるほどと考え込む。確かに、仕事で販促担当になって以来、頭を悩ませることが多い。うちの商品は悪くないのに、なかなか売上が伸びない。もし、ユニクロの“ヒットの秘密”を知ることができれば、何かヒントになるかもしれない……。

「先生、正直めんどくさいけど、やってみようかな……」
 私がしぶしぶ口にした瞬間、うさぎ先生の耳がピンと立った。

「さすがだ、ユキちゃん。何事も知ることで道は開けるものだよ。それに、私はAI研究者でもあるが、君の‘やる気データ’にはまだムラがある。さあ、調べるのなら早く取りかかるがいい。」
 彼の揶揄混じりの言葉に、私は微妙にムッとしながら、でも少しだけワクワクしていた。古びた商店街を歩く昔の日々、手触りあるモノを選び抜く楽しさを思い出しながら、今度はネットを舞台に企業の歴史を探ってみる。

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