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ユキちゃんのビジネスモデル調査ノート〜伊藤忠商事編〜
こんにちは!
今回の調査ノートは伊藤忠商事!変わった名前の由来は創業者の伊藤忠兵衛さんから来ているそうなのですが、何で忠だけ残したのだろう……と思っています。
近江商人の『三方よし』は個人的にマーケティング関係の考え方で一番好きなものです!
●今回のテーマ
伊藤忠商事:「ひとつひとつの商いを大切に」という創業の精神を基盤に、多角的な事業展開を行なっている企業です。
※あくまでユキちゃんの調査結果です
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伊藤忠商事編~日常の混乱と新たな目標~
朝の空気は湿り気を帯びていて、窓の向こう、木々の葉が揺れる音がかすかに聞こえる。私は社会人2年目のユキ。小さな中小企業の営業促進部で、販促企画を任されているけど、なかなかうまくいかない日々を送っている。上司は「成果を出せ」と言うけど、何が成果なのか、どうすればいいのか、誰も具体的な指針を教えてくれない。毎朝、オフィスでパソコンを前に、白紙の企画書を眺めて途方に暮れる私がいる。
そんな私が一緒に暮らしているのが、“うさぎ先生”だ。真っ白でふわふわのウサギ姿をした、伝説のマーケッター。大学教授として10000社以上の企業を成功に導いた経歴を持つらしいが、社会の闇を覗いてしまったせいで闇組織にウサギに変えられたとか、嘘みたいな話だ。でも、先生のアドバイスは的確で、心理学やマーケティング理論をすらすら語る姿は本物だとしか思えない。
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このマンションで先生と二人暮らしを始めてから数ヶ月。最初は戸惑ったけど、今では不思議と安心感がある。朝食のテーブル、昨日失敗した販促資料の山を前に、私は溜息をつく。「はぁ…先生、私、もうダメかもしれない。販促案を考えろって言われても、何を基準にすればいいか全然わからないよ。」
うさぎ先生はクッションの上でちょこんと座り、長い耳をぴくりと動かした。「ユキちゃん、焦らなくてもいい。マーケティングは、相手の気持ちを考えることから始まるんだよ。」
「相手の気持ち、かぁ…。でも、上司や取引先はみんな『数字を上げろ』『成果を出せ』ってばかりで、そういう情緒的な話をすると煙たがられちゃいそう。」私はパンにジャムを塗りながらぼそりと呟く。
先生はふわふわの前足をそっと揃え、「世の中には、『三方よし』という考え方がある。売り手よし、買い手よし、世間よし。この理念を体現し、グローバルに成功している会社といえば、伊藤忠商事が有名だ。ユキちゃん、伊藤忠商事を参考にしてみてはどうかな?」
「伊藤忠商事……大手総合商社、だよね。なんで商社が関係あるの?」私は首を傾げる。
「彼らは多岐にわたる事業を展開しているけれど、その根底には『三方よし』という考えが息づいている。誰か一人が得をするのでなく、関わるすべてが満足できる関係を築く。その発想は、中小企業の販促でも応用できるんだよ。顧客、会社、そして社会全体、みんなが幸せになれる仕組みを考えるといい。」
私は目を瞬かせる。顧客だけでなく、社会まで?確かに販促企画を考えるとき、私はただ「売上アップ!」としか考えてこなかったかもしれない。もし、顧客が商品を買うことで、彼ら自身の利益も社会への貢献も同時に得られるなら、それは価値を感じてもらえるかもしれない。
会社へ行くと、私は取引先への販促プランを練ってみた。だけど、簡単には通らなかった。上司から「これ、どこの顧客層を狙ってるの?顧客が何に困ってるかわかってる?」と指摘されてしまう。私、正直、顧客ニーズを深く考えたことがなかった。
夜、マンションに帰って先生に相談する。「先生、顧客ニーズを知るって、どうすればいいの?」
先生は前足で鼻をこしょこしょしながら、「心理学的手法を使った顧客アンケートを試してみたらどうだろう?ただ『欲しいものは?』と尋ねるのではなく、顧客が何を大事にしているか、その価値観を探るような質問を加えてみるんだ。」
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「価値観を探る質問……例えば、『もしあなたがこの商品を使ったら、どんな気分になりますか?』とか、『あなたが理想とする生活に、この商品はどう関わりますか?』みたいな感じ?」
先生は満足げに頷く。「そうそう。顧客の心の奥に潜む願いを引き出せれば、単なるモノの売買じゃなく、暮らしを豊かにする提案ができるようになる。」
私は早速、顧客アンケートを準備し、メールで送ってみた。驚いたことに、返ってきた回答には意外な声が多かった。「この商品を使うと家事が楽になり、子どもと過ごす時間が増えそう」「ちょっと高いけど、長く使えるなら結果的にお得かも」「環境に優しいなら少し高くてもいい」など、ただ安さを求めているわけではないとわかる。
このアンケート結果を基に、私はターゲット顧客を明確化し、「子育て中の忙しいママが、家事時間を短縮して家族との時間を増やせる」というストーリーを販促に盛り込んだ。結果、取引先に再提案すると、「なるほど、この商品の価値がよくわかったよ。これなら顧客に刺さるかもしれない」と前向きな返事をもらえた。
嬉しさと同時に、私は気づく。マーケティングって、誰かのために動くことなんだ。ただ売るだけじゃなく、相手が何を求めているかを知り、それに応える。そして、それが社会にも良い影響を与えたら、まさに「三方よし」。伊藤忠商事が体現する精神の一端を垣間見た気がする。
帰宅して、先生に報告する。「先生、おかげで提案が通ったよ!アンケートで顧客の気持ちを知ったら、ストーリーが作りやすくなった。マーケティングって、こんなに人の心に寄り添うものなんだね。」
先生は羊羹を一口かじりながら微笑む。「良かったね、ユキちゃん。三方よしの考え方は、結局『関わる全ての人を大事にする』という精神なんだ。それがマーケティングの基本に通じる。これで君も一歩前進したよ。」
私は心が軽くなった。次からはもっと知りたい、もっと学びたい。マーケティングが単なる売り上げ追求ではなく、人や社会を豊かにする手段なら、やり甲斐があるじゃないか。そう思うと、明日が楽しみになってくる。日常は特別なことのない繰り返しだけれど、そこにこうして小さな変化が芽生えるのがなんだか嬉しい。
ノスタルジックな夕暮れの光が部屋を染め、私はクッションに座るうさぎ先生を見やる。これから、先生と一緒にもっと学んで、もっと成長していけるかもしれない。そんな期待が胸に芽生えたところで、第一幕は幕を下ろす。
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