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ユキちゃんのビジネスモデル調査ノート〜ヤマト運輸編〜

こんにちは!
今回は日本の流通の要と言っても過言では無い企業、ヤマト運輸がテーマのストーリーです。なんとなく宅配の事業のイメージはヤマトさんのスタイルが刷り込まれていて普通だと思っていませんか?そのあたりもみっちりうさぎ先生が教えてくれました!

●今回のテーマ
ヤマト運輸:「宅急便」や黒猫のイメージ戦略など様々なサービスで物流業界に革新をもたらしました。
あくまでユキちゃんの調査結果です

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ヤマト運輸編:日常から生まれる疑問

 冬の朝、私の小さなワンルームマンションには、少しひんやりとした空気が漂っていた。
部屋の隅のローテーブルにはスマホ、そしてお気に入りのポテトチップスの袋。それを横目にベッドでごろりと寝転んでいた私の耳に、インターフォンの甲高い音が響く。休日だけれど、今日はネット通販で頼んだ荷物が届く日だっけ、と慌てて起き上がる。

「はーい、いま出ます!」
 玄関のドアを開けると、玄関先には黒い猫のマークが入った段ボール箱。ヤマト運輸のドライバーさんが笑顔で立っている。私は軽く会釈しながらサインをして、箱を受け取る。中にはお気に入りブランドのコスメセット。到着予定時刻どおり、むしろ予定よりちょっと早いくらいで届いた。「助かるなあ。」自然と口元がほころぶ。

 部屋に戻ると、床に敷いたクッションの上で丸くなっていた、ふわふわの白い毛並み――うさぎ先生がぴくっと耳を動かした。彼は私が以前拾ったウサギなのだけれど、正体はマーケティングと心理学とAI研究の大家、かつて某有名大学で教鞭をとっていたと言われる伝説のマーケッター。社会の闇に触れた結果、ウサギの姿に変えられてしまったという謎すぎる裏設定を持つ。

「おや、また何かを買ったようだね、ユキちゃん。」
 うさぎ先生はちょこんと前足でヒゲを撫で、まるでカフェのマスターのような落ち着いた声で話しかけてくる。その仕草は人間的で、何度見ても不思議な気分だ。

「うん、これ。最近ハマってるコスメがさ、限定色を出したから注文したら、ピッタリの時間に届いたの!ほんと便利だよね。」
 私は箱を開けながら、満足気に答える。ホコリひとつない綺麗な梱包。ヤマト運輸って、いつも時間通りだし、サービスが行き届いてるなあ、とぼんやり考える。

 すると、うさぎ先生は小さな溜息をつくように鼻をひくつかせた。
「当たり前だと思っている仕組みの裏には、必ず努力と工夫があるんだよ、ユキちゃん。君はなぜ、その当たり前を疑わない?」
 その口調は、まるで経営セミナーの講師が生徒に考えさせる時のような厳粛さがあった。

「えっ……?」
 私は思わず顔を上げる。いつもそばにいる先生だけど、こうして改まって言われるとドキリとする。
「だって、宅配って今や日常じゃない?時間指定も普通だし、どこでも荷物を受け取れるし…。考えたことなかったなぁ。」
 正直な気持ちを口にすると、先生は長い耳を垂れ、静かに頷いた。

「まあ、その“普通”を生み出した企業がある。その一つがヤマト運輸だ。君が当たり前と思う裏側には、彼らが苦心して作り上げたビジネスモデルがあるんだよ。」
 マーケティングや心理学に精通し、1万社以上もサポートしてきた伝説のマーケッターが、目の前で小さなウサギ姿のまま助言する光景には、どこか昔懐かしい学び舎の空気を思い出す。短大時代、教室で恩師が問いかけてくれた「裏側を見る目」を思い出すような、そんな感覚に包まれた。

「ビジネスモデル…それって私の仕事にも役立つかな?最近、会社の販促で行き詰まってて…。でも難しそうだなあ…」
 私は弱音を吐いてしまう。自社の商品を売り込むのに必死で、他の会社の裏側を深く考えたことなんてなかった。理想論っぽく聞こえるし、何から手をつければいいのかもわからない。
 すると、うさぎ先生は、まるで子どもを励ます親のような柔らかい声で言う。
「大丈夫だ、ユキちゃん。最初は誰だって戸惑うものさ。でも、この考え方は君に新しい視野を与える。まずは簡単な手順から始めよう。歴史を知り、成功のきっかけを探り、ビジネスモデルを分解し、学べる点を吸収する。その順で良いんだ。」

 歴史からか…。ほんの少し面倒そうに思いつつも、先生がそう言うならやってみようか。会社のデスクで悶々としているよりは、よほど建設的だ。
「わかった、やってみるよ先生。ヤマト運輸のホームページとか見てみればいいかな?」
 私がスマホを片手に尋ねると、先生は満足そうに「うむ」とうなずく。その表情は毛並みが柔らかく揺れる中、なんだか誇らしげだった。

「ただし、情報を追うときは中身を理解するまで気軽に諦めないことだ。専門用語があれば意味を調べて、歴史の要点をまとめる。そして何より、そこで何が起きたか、なぜ成り立ったかを考えるんだよ。」
 その丁寧な助言は、古い商店街で、古本屋のお爺さんが若い客に本の読み方を教えてくれるような、そんな懐かしい香りを運んできた。

「よーし、ちょっと頑張ってみる!先生がそこまで言うなら、私、やってやる!」
 私は気合いを入れる。これまでただ受け取るだけだった宅配サービス。ありがたいけど、あまり意識していなかった。しかし、そこに目を向けることで何か新しい発見があるかもしれない。私の仕事にも、きっと役立てられるヒントが見つかるはずだ。

 外は冬の曇り空。久々の休日だけど、ちょっとカフェインでも入れて資料に取り組もうかな。ポテトチップスをそっと一口かじり、ノートPCを開く。私の「ビジネスモデル調査ノート」、ここにスタートだ。

 こうして、“当たり前”だと思っていた世界の舞台裏を覗き込む第一歩が、静かに、しかし確実に始まったのだった。


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