WEEKND "Save your tears"〜アワードに招かれざる自分への悲しい皮肉〜
1年前の2020年3月にリリースされたアルバム「After Hours」内の「Save your tears」が、アリアナグランデという豪華な客演を添えてリミックスがローンチされました。
WEEKNDを一気にポップスターへ引き揚げたといっても過言ではないアリアナグランデとの楽曲「LOVE ME HARDER」のタッグ再び!(アリアナグランデの最新アルバム「positions」でもコラボしていますね)
もともとAfter Hoursに入っていた曲ですので、制作は1年以上前のため、邪推極まりないのですが、グラミーの悲劇(20年weekndは圧倒的に売れたのにも関わらず、グラミーのノミネート0という異例の事態)を経た今聞くと、どうしても「招かれざる客になってしまったグラミーへの皮肉」のように聞こえてしまいます。
PVがローンチされた時も、トロフィーをぶん投げるシーンが話題になりました。
トロフィーを投げた以外にも、基本的に"招かれざる客がパーティーをぶち壊す"というコンセプトのこのPV。最後はピエロとなって泣き笑い顔ででお辞儀をするweekndが、切なすぎて目も当てられません…!
I saw you dancing in a crowded room (Uh)
You look so happy when I'm not with you
君が混んだ部屋(=グラミー?)で踊ってるのを見た
僕がいないと君は楽しそう
But then you saw me, caught you by surprise
A single teardrop falling from your eye
君は突然現れた僕を見て驚き(=まさかのグラミー落選、自分は招かれざる客ということを暗喩)
一粒の涙を流したね
注目すべきは、今回のリミックスで追加されたアリアナグランデのヴァース。
Met you once under a Pisces moon
I kept my distance 'cause I know that you
Don't like when I'm with nobody else
I couldn't help it, I put you through hell
あなたに一度だけ会った魚座(=グラミーは3月)の月の下
私はあなたに距離を置いたわ
だってあなたは私が他の誰かと一緒にいるのが好きじゃないから
どうしようもなかったけど、あなたを地獄(=落選後weekndは「グラミーは腐敗している」と痛烈批判)に突き落としてしまったね
別れた恋人サイドからのアンサーというのが一般的な見方かなとは思うのですが、どうもweekndの考えるグラミー賞そのものの代弁のようにも聞こえます。アリアナグランデが、自身の特徴でもあるハイトーンボイスを抑えて低音で囁くように歌うのがとても意外で、別れを経験した大人な関係を連想させますね。
グラミーサイドから見たら、自分の振る舞いはすこし大人気なかったかな?でも、この仕打ちは落ち込ませるような行為だったよね?というweekndの苦悩を勝手に感じてしまいました。
ちなみに、アリアナグランデもグラミーにおいてショーの実施可否について揉めており、グラミーそのものが興行としてなかなか問題があるのでは、とトピックスになったひとつです。
賞を取る取らないは、作品の良し悪しに全く関係ないと私は個人的には思っています。しかし、この先行き不安なコロナ禍のなか、私たちの生活に一番寄り添い、暮らしのBGMとなった「After Hours」がノミネートゼロというのは、やはりどう考えても腑に落ちないというのが正直な感想です。
「Save your tears」は、直訳すると「涙は流さず取っておいて」ですが、私はweekndからファンへの「今はまだ泣く時じゃない、これからの自分のパフォーマンスを楽しみにしていてね」という前向きなメッセージなのかな?とも受け取りました。
Weekndの批判を受け、グラミーは体質改善を発表しています。
悲しい出来事も前向きに受け止めて、未来への活力にしていきたいものですね。ワールドツアーの予告もされていますし(但し日本はなし…)今後もweekndの活躍が楽しみです。
きん
Twitter→@heaco65