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「科学する」という表現への違和感

 近年、散見するようになった、「科学する」
 この表現に、筆者は違和感を覚えております。
 検索してみると、私以外にも同様の事を感じている人がいました。

 Q&Aを読んで面白かったのは、この言葉が使われ始めたのは80年以上も前という事実を知れた事です。当時から変な表現であると話題になっていたんですね。

「科学する心」とサ変動詞に使用したのは昭和15年(1940)第二次近衛内閣の文相橋田邦彦が最初という。おかしな日本語として問題になった。

https://kotobank.jp/word/%E7%A7%91%E5%AD%A6-43288#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89

 私が「科学する」という表現を最初に耳にしたのは、CMからでした。カンゾーコーワの奴。
 映像は検索しても見つけられませんでしたが、その文言が入った記事は見つけました。

 なんで「科学する」という表現から「二日酔いを防止出来るんだな」と受け取れるのかも意味が解りません。
 意味不明な言葉だからこそ、受け取り手の解釈も様々になるのでしょうか。
 さらに調べていると、CMに「科学する」という表現を用いるのは、昔からあることがわかりました。

 このCMを見てもわかるように、「科学する」という表現を使われると、どこか安心的というか、信用出来ると感じられるようです。「科学者の裏付けがあるなら良い商品なんだろう」という風に。

 ここで、冒頭のQ&Aに出てきた回答を引用します。

 宣伝文句については、『行間を読んではいけません』。なんとなくもっともらしい雰囲気をつけるための表現に過ぎないと思っておくべきです。  はっきりと意味が取れる表記でないなら、説明できるレベルのことなどしていないと思っておくべき。本当に自信があることならはっきり書くはず。それが出来ないから、読んだ人が勝手に想像してくれることを期待してあやふやな表現をする。宣伝での常套手段です。

https://okwave.jp/qa/q6784937.html

 他にも「科学する」の使用例は存在し、日本語の使い方に厳しいNHKですら使用しています。

 筆者は、NHKが出している日本語に関する本を愛読しているので、NHKは言葉遣いに厳格であると思い込んでいました。
 因みに、この本です。当たり前に使っている表現も、実は誤用かもしれないと、ハッとする内容でした。

 NHKですら使っている謎の表現、「科学する」とは何なのか?
 とあるメディアは、こう定義付けていました。

「科学する」は、「さぐる」こと「分かる」ことだと思うのだ。

そこにある構造や法則を整理し、関連付け、理解していく。

そうして世界観のようなものを鮮明にしていくことが、科学の営みではないだろうか。

https://beyondarchitecture.jp/magazine/urban-science/outline/us01/

 「研究する」でいいじゃん。それが読了後の感想でした。そして、改めてこの疑問に向かいました。
 科学って、"する"ものなのだろうか?
 こうした違和感は、「LINEする」からも感じる。「YouTubeする」、「Discordする」とは言わないのに。
 だが、これはまだ許容できる。LINEはメールではないから、「メールする」と言われると違うものを指してしまうし、「連絡する」だとどういう手段なのか相手に伝わらない。だから、「LINEする」と言った方がわかりやすいのだ。
 しかし、「科学する」にそれはない。だって、「研究する」という表現があるから、わざわざ代替となる表現を用いる必要がない。そんな造語が誕生した意味がわからない。
 意外な事に、検索してみると、辞書に意味が載っていた。

科学的な視点に立って対象を捉え、分析や理解を試みる、といった意味合いで用いられる言い方。「スポーツを科学する」というような言い回しで用いられる。

https://www.weblio.jp/content/%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%81%99%E3%82%8B

 「分析する」でいいじゃん。そう思った。でも、わかってる。「科学する」の発端をググってみると、それは冒頭に出てきた人物の著書だった。

今日でも科学教育の分野でしばしば用いられる「科学する心 」というフレーズは、橋田が1940年に発表した同名の著作が嚆矢と言われている

ウィキペディアの執筆者,2023,「橋田邦彦」『ウィキペディア日本語版』,(2023年11月15日取得,https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E6%A9%8B%E7%94%B0%E9%82%A6%E5%BD%A6&oldid=96615587).

 本を出版しようと執筆する時、そこに文才が必須となる。文章が上手くなければ読み続ける気がしない。ましてや、本の題名は重要になる。何故なら、興味・関心を惹く表現でなければ、手に取ろうと思えないからだ。そこで、造語となる「科学する」を生み出したのは理解できる。
 確かに気になる表現だ。こうして長文を書いてしまう程度には。

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