
なぜ風俗嬢になるのか? 『沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち』を読みました
概要
「特飲街」と呼ばれた売春の街、宜野湾市・真栄原新町。沖縄の戦後史の闇を妖しい光で照らし続け、浄化運動の波に消された街を活写した渾身のルポルタージュ。
「特飲街」と呼ばれた売春の街。沖縄の戦後史の闇を妖しい光で照らし続け、浄化運動の波に消された街を丹念に取材し、沖縄の「もうひとつの戦後史」を描き出す比類なきルポルタージュ――。2010年を過ぎたころ、「沖縄の恥部」とまで言われた売春街が、官民一体となった「浄化」運動によって消滅した。著者はその前からこの街に入り、売春に従事する女性、風俗店経営者、ヤクザなどに綿密な取材を行い、街の内実と市民社会からの偏見の構造を明らかにしていく。この街の歴史を辿ると、それは敗戦直後から沖縄で頻発した米軍兵士による凄まじい暴行事件への対応策でもあった。米軍占領下に置かれた沖縄の戦後史を、売春街に生きた者たちの肉声が描き出す。
読書感想文
街がつくられていった「遠い過去」の経緯を遡ると、たどり着くのは米軍だ。ある調査によれば、1945年12月から本土復帰の72年まで米兵によるレイプ犯罪は500件以上。紹介されている事例は目を背けたくなるほどひどいが、その多くは「容疑者不明」と処理されてきた。苦渋の日々の中、「米兵相手の売春区域を計画的につくろう」という声が地元住民からあがり、売春街がつくられていったのである。
沖縄って海の綺麗な観光地ってだけじゃない。アメリカとの闇の歴史がある。
また、現在進行形で米軍による性犯罪が起きている。
沖縄県で先月、アメリカ海兵隊の上等兵が県内の女性に性的暴行をしようとしてけがをさせたとして今月起訴されていたことがわかりました。沖縄県ではアメリカ空軍の兵士が少女に性的暴行をしたとして起訴されていたことが明らかになったばかりで、アメリカ軍関係者による性暴力事件が相次いで発覚する事態に県民の間に怒りや悲しみが広がっています。
その逆に、自ら性産業に足を踏み入れる為、沖縄にやってくる人もいる。風俗で稼ぎたい人には複雑な事情があって、そんな女性をいかにして救うかが、福祉の役割だと思う。
一度風俗で大金を稼いでしまうと、普通に働くのが馬鹿らしくなる。汗水垂らして勉強しながら稼いでも、月に20万から30万。風俗なら大した勉強してなくても、月100万以上は稼げる。
ただ、ハイリスクハイリターンだ。性病は勿論、精神や肉体の負担もある。しんどくなってから転職しようにも、風俗嬢だった過去には恥ずかしさも残る。
要は、抜け出しにくい訳だ。
性産業の闇はどこの街にもあるけど、沖縄は特殊で、歴史が深い。
その真実を知る為のルポルタージュだ。
上間教授は2012年から始めた調査で、性風俗で働く若い女性たち18人に聞き取りをしたことを報告した。恋人など親密な他者からの暴力を受けた被害者が多いことや、13~14歳からキャバクラで働く女性が多くなるなど低年齢化している現状などを指摘した。