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THE LAST OF US PARTⅡ

今回は番外編的にゲームの話です。ゲーム好きな人には有名というラスト・オブ・アス。

私は子供の頃からゲームは全然してきませんでした。大人になっても全くしたことがありませんし、興味もなかったのでこの時までラスト・オブ・アスも知りませんでした。

ラスト・オブ・アスはパートナーが「夏に続編が出るから最初のをやり直す」というので一緒に観てみたのがきっかけです。

そう、私は『観た』のであってゲームを 『した』わけではありません(^_^;)

なのでプレイした人やゲーム好きな人とはちょっと感想が違うかもしれません。

感想が賛否分かれたらしいこの作品。

1でもかなりエリーとジョエルに感情移入していた私ですが2では更に深く感情移入する事が出来たし、内容も凄く良かったと思います。


映像の美しさに圧倒されましたが、美しいがために残酷な描写もより鮮明になっていましたね。。


エリーのセクシャリティーや、宗教や人種など様々に多様性を感じつつも、閉塞感のあるスカーの中でのレブの葛藤など身近にあるような問題もゲームの中で展開されていました。

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エリー以外にジョエルを殺したアビーを否応無しに操作する事で感じる不快感を最初に感じるも、アビー側の視点から見ていくとアビーの苦しみや葛藤が伝わってきて苦悩がますばかりの展開に辟易しつつ、そんな風に苦しめられる作り込みに感動すら覚えました。


ひたすら続く憎しみと暴力、鬱な展開の中、エリーとジョエルの思い出、アビーと父親の思い出など美しい記憶も追体験させられることでエリーもアビーも、より自身に落とし込まれていく気がしました。

ただ、思い出は憎しみを加速させます。


シアトルでの数日間をエリー側、アビー側で見ていくことで、もはや誰が誰のための復讐なのか、それが成されたところで誰か救われるのか、見失う感覚、自分の中で双方交錯していく不思議な状態。


エリーもたくさん殺してきました、中でも辛かったのは憎い相手と同じように拷問し殺す。エリーの震える手を見てもう終わりにしたいと思わずにはいられませんでした…。

そして思いがけず殺してしまった妊婦。

一緒に旅してきた大好きなディーナも妊娠していたので、その衝撃は大きかったです。

もうどう足掻いても誰も救われない!   憎しみと復讐だけだ! そんな気持ちになりました…。

アビーはアビーでジョエルを殺して蹴りを付けたであろうと思っていても友人たちともうまくいってない感じだしずっと苦しんでる感じ。。 

そんな中で出会った命の恩人のスカーの姉弟を何かと世話をするアビー。スカーとウルフは対立関係で近日中にウルフの一斉攻撃が始まる予定なのに。

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結果的に組織を敵に回してまでその姉弟を守るようになっていく過程でアビーの姉御肌というか母性みたいなのを感じました。

その道中でとんでもない高さの橋を渡る場面、私も高いとこは苦手なので手汗をかきながら大騒ぎしてました(^_^;)


なぜアビーはスカーの姉弟を助けたのか。

罪悪感、、と答えていたけど。

組織に属しながらその考えや行動に納得出来てないからか、スカーというだけでまだ子供である彼らを殺してきた罪滅ぼしのような感情なのか、いろいろ思うことはありますが、この後の父親の夢は笑顔の父親だったんですよね。

自分の父親が殺されたけど自分も誰かの子供を殺してきた。もちろん誰かの親や大切な人を。それはエリーもジョエルも同じ。

エリーとアビー、否応無しにどちらも操作しながら感情はブンブン振り回され続けました。


一時はエリーにも安らぎが、と思ったのにフラッシュバックに苦しむエリー。そこへ追い討ちをかけるようなトミーの言動。    もうこの時のトミーには苛立ちです!エリーがどんだけ苦しんでるのか分からんのか!などと思いつつ、エリーの苦しみはディーナとの安らぎや幸せじゃなく復讐でしか消せないのかと絶望したり。


ここからクライマックスにかけては謎の第三組織が登場。

この組織に捕らわれてるアビーを結果的に救い出すエリーでしたが、道中その組織の罠でエリーも重傷。

それだけ苦労して見つけたアビーでしたが、もはや誰か分からないほどに痩せて弱っていた。


それでも戦うしかなかったエリーとアビー。

精神も肉体も極限まで傷付いてきた2人。

これまでの展開で一番辛くて苦しい場面でした。 

同じように隣で動揺しながらプレイするパートナーを揺さぶりながら、 

もうやめてぇ…こんな事させないで…。と泣きながら見ましたよ…。本当に辛かった。

エリーもアビーも殺したくない! でもどちらかが死なないとどちらも先に進めない。

泣きながらアビーを沈めるエリー、武器はあるのに、ナイフしか使わなかった。

もうこの時の感情は憎しみなのか何なのかよく分からなかった気がします。


アビーを沈めながら脳裏に過ぎったのは血だらけのジョエルではなく、穏やかな優しいジョエルだった。

そして手を離すエリー、何とか起き上がったアビーに もう行って…と告げて終わっていきます。


ジョエルの復讐の為だったけど復讐は成されず、誰かが救われたわけでもない終わり。ディーナもいなくなり、エリーは一人。


勧善懲悪ではっきりした終わりを求めると凄く納得いかない終わりかもしれないですが、私はとても魅力的だと思いました。


エリーもアビーもそれぞれ許した訳でもなく、それぞれの憎しみや喪失感や記憶の傷は癒されることはないと思います。

でもそれで良い、生きていくためには、  それを受け入れるしかないんだと思います。

アビーはヤーラ、レブの存在がとても大きく、あの子達がいなければディーナも殺していたんじゃないかと思う。戦わないと変わったのも。

エリーは終始悩ましげだったけど、自分は死ぬべきだったのに…って気持ちがずっとあったのかなって思いました。突然変異で人と違う自分。セクシャリティーについても自分は子供を産むことはないって気持ちもあったのかもしれない。だから生きた証を残せたのにって言葉に繋がったのかなって。


ジョエルの行動を許せないと言いながら、ジョエルの気持ちも分かってたはず。

いつだってエリーを心配して守って味方でいたジョエル。 

分かってたのに許せないって言ったまま別れになってしまった後悔や復讐する事で自分の生きる理由を感じてたのかな~とか思ってみたりもしました。

最後の回想でジョエルは 許せないけど許したいと思ってると言うエリーに 静かに  それでいい。と返します。


ラストオブアスの世界のように、殺さないと自分や大事な人が殺されてしまう世界で誰が絶対的な悪なのかはとても曖昧でじっくり判断してる余裕なんかなく、ただ生き抜くだけで精一杯。

それでも誰かを大事に想ったり、守ったり、優しく出来る事もある。


憎しみも喪失感もきっと残ったまま生きていくであろうエリーとアビー。

救いはなかったのかもしれない。

それでも、

エリーの思い出すジョエルが血まみれだったのに一瞬でも笑顔のジョエルになったこと、アビーの悪夢だった殺された父親がある時から笑顔になったことが せめてもの救いだったのかなって思いました。

ほんの少しだけど何かが変われたのかなって。



ゲーム性についてとか、従来のゲームについてとか私は分からないんですが、双方否応無しに操作するってことで、こんなにたくさん背景を勝手に妄想したり、気持ちを感じたり、一緒に苦しむってなかなか映画でも出来ない事なんじゃないかと思いました。

そういった事も含め、とても良くできている凄い作品だと思いました。

私が感情移入しやすいだけかもしれないですが(^_^;)


ちょっと、あ!と思ったのが、アビーが捕らわれてる施設での戦いで鎖に繋がれてる感染者とかがいて、ソイツらを逃がす事で相手の兵士を襲わせたり混乱させるような感じかなって場面。

「28日後」って映画の中にも同じような場面があって、何か意識して作られたのかな~って思ったり(>_<) 走るゾンビ、走る感染者。


私は隣で見て指示出してただけだけど、  すごーく疲れたし、すごーく辛かった(´д`)

だけども とても良い作品でした!

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