働き方改革は休み方改革~仕事の質を上げる週休3日制
先日、とあるテレビ番組で、週休3日制を導入した旅館が放送されていました。
印象的だったのは、その旅館の社長さんの言葉。
「観光業、宿泊業で働く私自身が、ずっと旅行すらしていなかった(できなかった)」
これまでも週休2日制は導入されていたそうですが、2日の休みだと、例えば、北海道などの遠くに旅行へ行こうとしても、日帰りになって、楽しめなかった。その結果、遠くまで出かけられなかったそうです。
しかし、3日の休みがあると1泊2日で、ゆっくりと観光もでき、さらに、その休み中に行った旅行の経験が、自分の旅館経営のアイデア、ヒントになっていたり、仕事の質を上げることになったりするとのことでした。
「休み」というと、仕事をしない時間。
働かない時間のイメージが私にはあります。
働かないことは、「働かざる者、食うべからず」的な、何となく、「いけないこと」のような感覚が今までの私自身にはありました。
それが、休みにくいこと、有給休暇を取りにくい(自分でそうしているだけですが)に、つながっています。
しかし、休みは、何も「仕事をしない時間」と言うわけではありません。
体を休める、休養の時間になります。
仕事以外の自分の趣味の時間、好きなことをする時間という意味もあります。
そして、今回の旅館の社長さんの話から、
「次の仕事のための準備の時間・インプットの時間」でもある
と気付きました。
職種にもよるでしょうが、仕事と自分の時間がはっきり分かれない場合も多いと思います。
例えば、知り合いの学校の先生の話では、家事が、そのまま学校で教える家庭科の教材研究になると言っていました。また、家族で出かける旅行で、遠足(校外学習)のヒント、下見になる時もあるとか。
ある作家の方は、取材旅行をするそうですが「趣味」と「仕事」が混ざった内容になるそうです。考えてみれば、物語に出てくる登場人物の職業の仕事内容を知っていないと、話の中で表現できません。
ミステリー作家であれば、警察の内部事情や鑑定の仕方、事件に関わる法律についても下調べしておかなくては、「ほんとうらしく」話を書けないのではないかと思います。そんな下調べも、書くという仕事の裏側で行っているようです。
余談ですが、東野圭吾さんのお姉さんたちの仕事は、教師やキャビンアテンダントだったそうです。その二人から仕事内容や職場事情、苦労や普段起こるトラブル(事件)を聞くことで、学園ミステリーやキャビンアテンダントが主人公となるミステリー(「殺人現場は雲の上」)の参考にしたのではないかと想像します。
また、「お店」を経営している人であれば、休日に出かけ、違う形態の店に行くことで、ヒントが得られることも多いはずです。
家に仕事を持ち帰って・・・では、休みになりませんし、肝心の新しい情報、経験をインプットして仕事に生かすことにつながりません。
週休3日制も、ただ休みが増えるということではなく、仕事の質を上げることにつながる「戦略的な休み」でもあるようです。
実際、最初に紹介した旅館も、週休3日制で今まで通りの給料を支給するために、旅館の宿泊代金を値上げしたそうです。
それでもリピーター、お客さんがたくさん来るのは、休みの中で旅館業の質を上げるヒントを得て、実際に生かしているからだと思います。
「休み下手な日本人」と言われることがあります。生産性が上がらないと言われるのは、ひょっとしたら、仕事につなげる、上手な休みがとれていなかったからかもしれません。
働き方改革は休み方改革でもある気がします。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです