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電波はこなくても、手紙は届く~相手を思った時間や気持ちがつまった手紙は捨てがたい。
「別れた人からのメールは消せても、手紙はなぜか捨てられない」
と聞いて、共感した覚えがあります。
現在、私は、ご縁があった人と「一人新聞」や「はがき」のやり取りをしています。
今現在は、ひと月に40人ほどの方と。
手紙にしても、ハガキにしても、相手に合わせて、どんな便箋、用紙を使うのか考えます。
手書きの場合は、時に下書きもします。
そして、清書。
封筒には宛名も書きますし、相手の名前は筆ペンで書くこと基本にしています。
手紙を折ります。封筒に入れます。
封をします。
切手を貼ります。
ポストの前まで行って、投函します。
相手に手紙やはがきを書くって、と~っても手間がかかります。
でも、だからこそ、
自分が手紙をもらうと、うれしくなります。
そして、
手紙を書くのが苦手な人はいるけれど、手紙をもらうのが苦手な人はいない。
別れた人の手紙を捨てられないのは、手紙を書いたその時、自分のことを思ってくれていた「時間」や「思い」がつまっているから。それを感じているから。
別れてしまったけど、互いの人生の大切な一時期を一緒に過ごせた「記念」だから。
その時の思いに嘘はないから。
SNSやメールが全盛の時代。
私も、簡単なやりとりや連絡はLINEなどを利用します。
でも、心からのお礼や自分の思いを届けたいとき、手紙を書きます。
手紙だからこそ、本当に伝えたい大切なことをしたためられるのかもしれません。
「修身教授録」の森信三先生の教えは膨大で多岐にわたります。
ですが、例えば「躾の三原則」として「あいさつ、ハイの返事、履物をそろえる」を示されたり、「人間が謙虚になるために手近な、そして着実な道は、まず紙屑拾いから」など、観念、スローガン的な内容ではなく、何をどうすると良いか、具体的な方法や対処を日常生活の行動として示されています。
なので、もちろん、実践できるか続けられるかは別として、現実の中で、自分がどう行動していくと良いか、わかりやすく指針を得られます。
そんな森先生は、ハガキ(手紙)を通じて、人々のご縁を大切にされていました。全集の「40日間の私信」という項には「1日平均15枚、封書を3通」書かれていたことが示されています。最終的には、40日間で葉書を合計600枚、手紙は120通近かったそうです。
手書きのはがきや手紙を書くと分かりますが、パソコンで入力するのとは違い、かなりの時間がかかります。手軽に消したり、編集したりできないので、緊張感も違います。それほどのエネルギーを注いで、縁ある人を大切にされていたようです。
このハガキを書くことについて、たくさんの言葉を遺されています。
・はがきの活用度のいかんによって、その人の生活の充実さ加減が測定できる。
・縁なき人の書物を数十ページ読むのが大事か、それとも手紙の返事を書くほうが大事か。・・・このいずれかをとるかによって人間がわかれるともいえよう。
・たった1枚のはがきで、しかも、たった一言の言葉で人を慰めたり励ましたりできるとしたら、世にこれほど意義あることは少ないであろう。
この秋からハガキ代は85円、封筒(定形郵便物)は110円に値上がりしました。
人件費や輸送コストの上昇、デジタル化による郵便物の減少などが背景にあるそうです。
スマホを手放せない時代になりましたが、「圏外」になる地域もあります。時に、つながらないこともあります。
でも、郵便は別。
電波が届かないところにも、手紙は届く。
手紙を書くことを忘れずにいたいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです