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映画『あんのこと』僕にできることは何か?

2024年6月に公開された入江悠監督の最新作『あんのこと』がアマゾンプライムで配信されているのは知っていた。知っていたが、観るのに勇気がいると思って躊躇っていた。

というのも本作が公開された当時、戸田真琴さんによる本作の映画評をツイッター(X)経由で読んでいたからだ。

映画評の中で戸田さんは、実際にあった事件などを安易に映像化するべきではない。死者は作られた作品について口を出すことができないという趣旨のことをおっしゃっていた。また同時に観客も「感動」として消費するべきではないのでは?とも投げかけられている。

そう、だからこそ観るべきか悩んだのである。

ちなみに、戸田さんの映画評について入江さんは以下のように反応している。


また、この映画評をきっかけに入江さんと戸田さんの対談も実現している。


僕はとうとう覚悟を決め、アマプラで『あんのこと』を鑑賞した。

薬物、売春、毒親、そしてコロナ禍。非常に重たい映画ではある。しかし、主人公あんちゃんは懸命に生きようとしていた。その愛おしさだけでも観てよかったと思える映画だった。(そして映画館で観れてないことを後悔するのだった)

結果的に多々羅は悪い奴だったかもしれないが、雨の中薬が止められなかったあんちゃんを抱きしめるシーンは、あれは彼女を救いたいという本心だったはずだ。

そしてあんちゃん。自身は最悪な家庭環境であったにも関わらず、老人ホームや他人の子どもの世話ができるのは聖母ではないだろうか。あんちゃんから連想したのが、上間陽子著のノンフィクション『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』に出てくる風俗や売春を辞め、猛勉強して看護師となった少女だ。その少女も親に問題があったと記憶している。

映画を観終わった後に僕にできることは何だろうと考えた。非力すぎて何もできないが、まずはこの映画を推すことにする。本作に限って言えば「感動ポルノ」ではないと断言できるからだ。

『あんのこと』12月現在ではアマプラでのみ配信されている。
ぜひこれを読んでる方も勇気を持って本作を観てほしい。

おわり。

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