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読書感想文16(捨てられる日本)

ジム・ロジャーズ(2023)”捨てられる日本~世界3大投資家が見通す戦慄の未来~” 花輪陽子訳 ,アレックス・南レッドヘッド訳 、SBクリエイティブ発行


はじめに
第1章世界から見捨てられる日本
――この国で始まった恐怖のシナリオ
シナリオ1 日本円は捨てられる
シナリオ2 膨大な負債を抱え、日本は沈没する
シナリオ3 金利上昇と通貨切り下げで、日本経済は大打撃を受ける
シナリオ4 インフレで競争力が低迷する
シナリオ5 低迷する食料自給率が新たな危機を生む
シナリオ6 人口減少、少子高齢化で国力が地に落ちる
第2章 「二流国」に転落した日本
――激変する世界の覇権地図と、この国が進むべき道
★「失われた30年」の正体
★覇権国アメリカの時代が終焉する
★米中衝突リスクに日本はどう備えるか
★サプライチェーンの脱・中国化が進む世界
★日・中・韓、どう付き合うか
第3章 日本政府はもう、頼りにできない
★変化を嫌う政府は国を滅ぼす
★ますます深刻化する上級国民と下級国民の分断
★国が個人から資産を奪い、借金を返す
第4章 国を頼れない時代の人生戦略
★海外に活路を見出す日本人
★有事に備える資産防衛術
★危機の時代の投資戦略
第5章 日本が「捨てられない国」になるロードマップ
★円安は日本再興の起爆剤になりうる
★日本発・ビジネスの勝ち筋
★日本に大チャンスが到来する産業 (1)「観光業」
★日本に大チャンスが到来する産業 (2)「農業」
★日本に大チャンスが到来する産業 (3)「教育」

この本の目次より

ざっくりとした内容が知りたい方は、下の記事を参考にしてください(注:リンク先の記事には広告が出ます。)

私の所見

 さて、今回は、かの投資の神様と呼ばれウォーレン・バフェット氏と並び立つ存在「ジム・ロジャース」氏の未来予想本です。投資で儲けようと思ったら参考にできるのが、3大投資家と呼ばれる人たちの考え方だよねーというのが私の持論です。この方の本を読むのは2本目ですが、日本の未来に対しては悲観的なご意見が多いようです。
 まあ日本人の若い皆さんは危機感を感じてはいるでしょう。アラ還の方は逃げ切れるでしょうが、今後の20年から30年には「崩れ去る時代」が来るという方もいらっしゃいますし、今の10代から40代は気を付けた方がよいですな。避けられない未来というのも、各国の歴史に多々ありますからね。

崩壊模様、それはだれしも気になるところ。

 「日本の勝算」という本を書かれたデービッド・アトキンソンさんと「2040年の未来予測」を書かれた成毛眞さん(どちらも、アラ還を過ぎようとしておりますが・・・)が「日本の未来」について対話している動画を見たときから、日本の崩壊模様について観測してみたくなりました。(ちなみにどっちも所持している本なのですが、気になったところしか読んでないので読破はまだしてません。)

私が気になったところ 

 さて今回の本で、私が気になったのは、第1章シナリオ5低迷する食料自給率が新たな危機を生む、第2章「失われた30年」の正体、第4章★有事に備える資産防衛術の3点です。

1.低迷する食糧自給率

 食料自給率とは、その国で消費される食料のうち、どのくらいの割合を国産が占めているかを表す割合で、分子を「国内生産量」、分母を「国内仕向量」とすることで求められるそうだ。
 さて令和4年度の食料自給率は、38%。つまり食料全体の約6割は海外からの輸入に頼っている状態だ。

過去を振り返ると、食料危機や食料価格の高騰をきっかけに暴動が起こり、崩壊してしまった国は数多く存在する。

p42により引用

 著者は、ウクライナ進行等の戦争や大災害で輸入品が高騰し、食費が高くなった場合、食べ物に困る人が増えて暴動がおこるといっています。日本の歴史上で言えば「飢饉」が原因よる「米倉庫の破壊」やうちこわしが多発した江戸時代のお話が有名ですね。
 1732年    享保の大飢饉 (長雨とイナゴなどの虫害が原因)
 1782-1788年 天明の大飢饉 (冷害と岩木山と浅間山の大噴火が原因)
 1833-1839年 天保の大飢饉 (長雨、大雨、暴風による大凶作が原因)
詳しくはこちらで

 まあ、この時の幕府の対策も問題点と禍根を残していますので、時の政府に頼りすぎないと、いざとなったら政府は市民は救えない、やむなく見殺す😒というのが教訓ですかね。
 著者は、解決策として「過度の保護主義をやめて、外国人を雇え!」と言っておりますが、日本人の外国人へのヘイトと苦手意識が薄くなるにはまだまだ時間がかかるでしょう。日本人が全員帰国子女になれば話は別でしょうが、留学や学費のお金と時間の問題は根深いうえに複雑ですから、難しいでしょう。IT技術に期待します。

2.第2章「失われた30年」の正体

  「失われた30年」と言われて早数年、イノベーションが日本に起こったことはありません。トヨタの完全太陽光電気自動車や水素自動車がありますが、あれも太陽電池や蓄電池という90年代後半の発明の延長に過ぎないのです。今求められているのは、ChatGPTのような、世に革命を起こすイノベーションだ!と思いますが、大学にお金がない、生徒数は減る一方、全国民総貧困時代なので国内発イノベーションは難しいでしょう。起業家たちよ、頑張って。
 著者はこの日本の状況を見て、下記のように述べています。

 まるで「英国病」に悩まされたころのイギリスを見ているかのようだ。戦後の一時期この国は「一流国」であった。しかし、そのころの栄華は今や見る影はなく、もはや「二流国」に転落した、といっても過言ではない。
 一流国は永遠に続くことはなく、台頭してきた別の一流国に取って代わられる。
 これは歴史の必然で、日本もこの法則から逃れられなかった、ということである。

p60

 この著者がいう「英国病」がどんなものかは、本を読んでほしいですが、驚くほどに現在の日本と似たり寄ったりなんですね。歴史は繰り返す!
 イギリスは資源である、北海油田の開発で復活しましたが、日本は大量の天然資源が発見されることは現実的ではないため、期待はできません。
 さて「失われた30年」の原因として著者は以下のように述べています。

 日本も、戦後の一時期「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と輝かしい成功を収めた時代が確かにあった。しかし情報化社会への適応が遅れたのは痛手だった。・・・「IT革命」に乗り遅れ、さらには韓国や中国の台頭を許し、ここ数十年にわたり衰退の道をたどっている。

P72

 まあ、バブル崩壊で、てんやわんやしていたら、「情報化社会」という新しい波に乗り遅れたということですね。
 民間で言えば、ホリエモン氏などの、現在成功しているように見える小人数の人たちはIT革命が来ると踏んでみていたようですが、
 大半の人はバブル崩壊によるいざこざと先行きへの不安でえらいこっちゃ、
政府は、団塊の世代と団塊の世代ジュニアの雇用と経済を守るのにえらいこっちゃ、
 90年代後半の就活生(今の40代50代)は、働き口を得るのにえらいこっちゃという
 3重えらいこっちゃだったわけです。そんな時に未来を見る余裕がなかったのでしょう、その時期に未来へ投資できなかったツケが、今の世代に来ていると思いました。

3.第4章★有事に備える資産防衛術

 著者は資産を
 スイス・ルクセンブルク・シンガポール
 に置くといいという。なぜなら、どれも歴史的な資産運用がとられてきた国々だからだと。
 外国に銀行を開いたことが、1度しかないので、物は試しにやってみたいと思います。まずは最低預金額の確保と各国の言語習得からですね
米国株投資は最善の一手とは限らない
投資には柔軟な発想が必要であり、一括投資はリスク分散の面でも危険ということでしょう。
 また、金利格差には気を付けてとも言っています。現在は、日本の低金利と米j国の高金利のため、円を買って、外国株を買う人が増えており、円安(1ドル150や200円)になっていますが、両国金利差がなくなってくれば円高(1ドル85円や75円)になるというメカニズムがあります。

 つまり、株式投資にのめりこみすぎず、ほかの国にも資産を置いておくがベストじゃ!というのが防衛術の一つなのでしょう。

まとめ

 今回の未来予想本も。「日本オワタ」という感じの本でした。ジムさん本人は親日家なので、日本がんばってほしいと随所に書かれています。
 私個人的には、英語圏の国に逃げるという逃亡をとるか、秋葉原周りの物件が安くなったら引っ越すという趣味をとるかのどっちかで迷っております。

 また次回お会いしましょう。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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