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LINE恐怖症

 来週、11月13日にチーフ昇格試験を受けることとなった。

 時間を見つけては試験勉強をしているが、正直、何の実感も無い。

 前職では平社員から脱却することの無いまま6年半の勤務を終えてしまった私が、転職して僅か7ヶ月で昇格のチャンスを掴んでいる。同期の原価率さん(仮名)、武田真治さん(仮名)は既に昇格済みで、私はむしろ遅れをとっている方なのだが、それでも時期尚早感は否めないのだ。

 おそらく前店長の“理想女子”(仮名)から高い評価をいただいたことが今回の推薦に繋がったのだと思う。

「言われたことに対して真面目に取り組む姿勢を、理想女子さんは高く評価していました」

 そのマネージャーの一言で救われた気がした。この2ヶ月間の努力と苦労は決して無駄ではなかった。さらに、

「理想女子さん、当方さんのこと褒めていましたよ。クレーム報告書とか事務作業が上手いって」

 別の日、先輩社員の発言。なんと理想女子は私の居ないところで私を褒めてくれていた。仕事で報われることなんてほぼ無かった16年間。もしかすると、今が人生のピークなのかもしれない。

2024.10.22『私と女性店長の3ヶ月日記(後編)』より引用

『努力は必ず報われる』は妄言であるととうの昔に気付いていたからこそ、努力がストレートに報われた(かもしれない)事実に戸惑いを覚えている。万年平社員からの脱却は長年願い続けていたはずなのに、今の心境はとても複雑で、素直に喜べなかったりもする。

 理由は複数ある。まず、私はお金が欲しかっただけで、職位や肩書は副次的なものに過ぎないことに気づいてしまったからだ。9月の給料は手取りで30万を超えた(※低学歴・無資格の負け組底辺でも努力と精神力次第である程度は稼げることを身をもって伝えたいので、あえて金額を公表しています)。それはイレギュラーだとしても、ここ数ヶ月は残業が多いこともあり27〜28万がデフォになりつつある。前職の手取りがMAX21万だった(かつ休日にタイミーもやったりしていた)ことを考えれば、平社員の現時点で既に満足しているのだ。数年前から掲げている目標「年収450万」も、早ければ来年には達成できるかもしれない。

 二つ目の理由は、既にキャパオーバーを感じているから。10月は10人ほど入った新人スタッフの面接、契約、教育、シフト希望回収等の各種連絡に追われ、それ以外のことはほとんど覚えていない。任される業務がどんどん増えていく上、新人が育たなければ私の責任も問われてしまう。万が一でも試験に合格し、レポートや面接もパスし、晴れてチーフに昇格したら、その先はどこまで業務が増えてしまうのか。何時になったら帰れるのか。目が死んでしまわないか。昇格が早ければ2〜3ヶ月後というフェーズまで来ているというのに、喜びよりも不安の方が大きいのだ。

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 そんな中、前述の新人スタッフ絡みで、連絡をスムーズに行う為に5~6人とLINEを交換してしまった。そんなの普通だろと思うだろうが、私はLINE恐怖症なのである。特に仕事においてLINEは慎重に扱わねばならない。最低限の業務連絡に留めないと、過度な連絡はセクハラ等の問題に発展しかねない。事実、私は前職で先輩の女性スタッフに悩み相談をし過ぎたことが原因でブロックされた過去を持つ。LINEアカウントを聞かないこと自体が「あなたとは適度な距離を保ちますよ」という信頼の証でもあるのだ。

 それなのに今、友だち一覧には既に4名もの女子高生スタッフの名前がある。まだ数回しか会っていない私に何の疑いも持たずアカウントを教えてくれたスタッフの素直さに正直驚いている。もちろん私は最低限の業務連絡に留めており、プライベートな話は一切していない。それでも今後やらかしてしまわないか不安なのだ。

 逆に、プライベートな話を一切していないからこそ不安とも言える。

「もう少しスタッフとのコミュニケーションをとったほうが良い」

 9月の評価面談でマネージャーに言われた一言。業務連絡や業務上の指示しか出さないのであれば、それは円滑なコミュニケーションとは言い難い。LINEだろうが口頭での会話だろうが、どちらにも当てはまるだろう。そんな人間がチーフになって良いのか。私は一部分においては認められたのかもしれないが、まだまだ課題は山積みなのだ。それでも試験勉強なら出来る。まずは出来ることから少しずつやっていくしかない……。

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