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Photo by
aoyagi_gahaku
金魚鉢からドルフィンキックへ
金魚の泳ぎを眺めるのは楽しい。色々な種類がいるが、ここでは標準的な姿のワキンをイメージしよう。
金魚の推進力はもちろん、おびれが水を押す反作用によるが、おびれは垂直で左右にヒラヒラと動くので、後方への力だけではなく左右への力も働いてしまうから、からだが左右にうねるのを避けられない。これをフィッシュキックと呼んでおこう。
イルカやヒトのバタフライのドルフィンキックも同じ原理だが、こちらは、それぞれ、ヒレ、揃えた両足は水平なのでうねりは上下に起こる。
ついでに他の鰭も見ておこう。背びれはバランスをとるためだろう。胸びれは一見、方向転換のためかと思うが、忙しく動かしてもあまり効果がなさそうで、これもバランスのためのようだ。時折、両側同時に前方へ動かして、ちょっとバックする様が見られるのが面白い。
方向転換の主役も尾鰭のようだ。金魚すくいで、急な方向転換で逃げられた時に尾鰭が鋭く動くのに気付いたことがある人も多いのではないか。
これに対して、イカやタコ、クラゲなどはジェット推進のように水を後ろに送り出すので、うねりはなく直進できる。クロールのバタ足もどちらかというと、こちらに似ているようだが、バタ足は複雑すぎるので別稿で考えよう。
いずれにせよ、金魚をはじめトップスイマーの泳ぎをじっくり観察するのはとても興味深く勉強になる。