教養としてシェイクスピアを学びたいならこの本を!
大学生の時に世界で活躍しているビジネスマンの本を読み漁っていた時期がありました。その中でシェイクスピアのセリフが引用されることが多いから教養としてしておくのは当たり前という記載がありました。当時『マクベス』と『ヴェニスの商人』、『ハムレット』を読みましたが、話の内容だけでなく、人間模様やいいタイミングでくる名言は今も覚えています。特に『ヴェニスの商人』の審問は面白く、『ソクラテスの弁明』や『カラマーゾフの兄弟』の大審問官のようなやりとりが良かったです。
そんな時に読んだのが『こんなに面白かった「シェイクスピア」』河合洋一郎監修(PHP文庫)です。
この本は何度も読んでおり、結構しっかりした話の内容と名台詞が記載されていて薄い文庫本なのに大満足です。悲劇、喜劇、史劇、問題劇・ロマンス劇、そしてシェイクスピアの生涯とその時代が紹介されています。何よりいいのがブレイクで「シェイクスピアと絵画」がありハムレットで有名なオフィーリアをミレイが描いたものもあり、ハムレットの作品の背景を知った上で絵画を見れるので理解が深まります。
読んでみてこれは面白いと思った作品を上げていきます。
悲劇
言わずと知れた作品が並ぶ悲劇の作品群です。四大悲劇と呼ばれる『ハムレット』『オセロー』『リア王』『マクベス』は、1度は聞いたことがあると思います。史劇かと思った、『ジュリアス・シーザ』や『アントニーとクレオパトラ』も悲劇に分類されます。人間の欲の部分を全面に出し、悲しみだけでなく、嫉妬や苦しみ、人間不信や様々な心の葛藤が描かれており、内容の面白さだけでなく、自分の人生を考えるのにも役に立ちます。
ハムレット
中世デンマークを舞台にした王子ハムレットの物語です。父の死と早すぎる母の再婚から始まるハムレットの復讐劇です。2つの出来ごとは現実にも起こり得るもので、身近な死というものは人を変えてしまいます。復讐するなら恋人さえもどうなってもいいという犯罪者的な心理も伺えます。
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」というのはあまりに有名なセリフです。個人的には、画家ミレイが描いたハムレットの恋人オフィーリアに注目してしまいます。恋人がどんどんおかしくなるし、復讐劇に巻き込まれ家族までめちゃクチャになってしまします。数々の画家が描くほど惹かれる要素があるオフィーリアを舞台でもみてみたいです。
オセロー
人生がうまくいっているオセローが自分の腹心イアーゴーの罠にひっかかてしまう物語です。パートナーのことが好きなあまり、罠にハマり、疑ってしまうという負の連鎖になります。オセローの気持ちわかる!好き上に疑ってしまい、相手が自分のことを好きなのかもわからなくなってしまいます。オセローの気持ちが本当にわかります。
それにしてもイアーゴーの執念がすごい!なんでこんなに執拗に罠を仕掛けるのか、イアーゴーを駆り立てるその気持ちはなんであろうか。ちなみに、オセロゲームの由来になったのは本作品です。
リア王
老後というか隠居するために、3人の娘の誰に財産をあげようかと色々娘を試す物語です。昭和の亭主関白の父親のようなリア王です。娘も娘ですが、リア王は邪険にされます。熟年離婚や老害と言われる現代にも通づる物語です。三女のコーディリアがあまりにも可哀想で、シンデレラの最初の場面を思い出さされます。
キーワードは人間の愚かさと無力さです。自分を過信しいると騙されることが学べます。
マクベス
魔女のそそのかしで王の座を狙う事になった将軍マクベスの物語です。その割には優柔不断で実行しようとするとウジウジしてしまいます。しかし、マクベス夫人の行動力や決断により王になるための暗殺などを実行し、王になります。それにしてもマクベス夫人の執念と行動力は凄まじいく、なんならマクベス夫人が主人公ではないかと思うほどです。
物語では、自分の気持ちに正直になれない行動が身を滅ぼすことを示唆していると思います。
「バーナムの森が動くまでは」は有名なセリフです。
ロミオとジュリエット
名家同士の争いに巻き込まれる2人の恋の物語です。お互いが好きなのに一緒になれないもどかしさがあります。運命とは残酷で色々な障害が出てきてしまいます。その度に恋は燃え上がりますが、恋愛の難しさがわかります。悲劇ではありますが、愛する2人の美しさは最高です。争いごとから最愛の子供達をなくす悲しさも悲劇として涙を誘います。
名言「ああ、ロミオ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの」
ジュリアス・シーザー
「賽は投げられた」、「ユリウス暦」、「ガリア戦記」で有名なガイウス・ユリウス・カエサルの話です。カエサルはCaesarと記載し、英語読みをするとシーザーとなるためにタイトルとなります。
タイトルとは異なり、ブルータスがメインで主役のように描かれています。自分の志である市民のためのということを前面に出し、友人シーザーとの駆け引きあ面白いです。言葉の力を感じる内容です。「ブルータスお前もか」は有名。
アントニーとクレオパトラ
ローマにいるアントニーとエジプトのクレオパトラとの遠距離恋愛の話です。
大人の事情たっぷりの政治や軍事が絡まる恋愛劇です。歳の差ほど難しく、燃え上がる恋というものはありません。周りを気にせず自分たち中心の世界に入ってしまうのは経験があります。恋というのは、蜜にも毒にもなりますね。でも、やっぱり恋愛って楽しいから溺れてしまします。恋は盲目というもので、その人だけ見えてしまい周りが見えなくなってしまいます。苦しいけど楽しい中毒性があります。
僕も勘違いしていましたが、絶世の美女と言われるクレオパトラですが、エジプト人と思っていたらギリシア人のようです。クレオパトラも何世代に渡りいるようで、ここでいうクレオパトラは7世です。
喜劇
喜劇は、本当に面白いです。今でも笑える要素もありますし、示唆に富む人生などの教訓を得られます。
夏の夜の夢
森へ駆け落ちする貴族の2人。妖精の惚れ薬で森で劇の稽古をしていた人々とカオスな状態に・・・この内容が概要だけでも面白くて是非劇で見てみたいと思いました。笑いながら観覧できるだけでなく、愛についても考えられハッピーエンドになる話だと思います。
シェイクスピアの恋への考察は、本当にすごいと思います。恋愛について、悩みは多いですが、それも人生で重要で人は成長を伝えています。辛く悲しいことや苦しいことがある恋愛ですが、人生を幸福にし、自らの成長の原動力になることも忘れないようにしたいと思いました。
ヴェニスの商人
犬猿の仲の金貸しのシャイロックと貿易商アントーニオの借金の担保であるアントーニオの肉1ポンドを巡る喜劇です。
友人のために忌み嫌うシャイロックからお金を借りるアントーニオは不幸なことに事業がうまくいかず返済できなくなり、担保していた自分の肉1ポンドを払うことになります。しかし、そこはなんとか解決し、チャンチャンと終わります。面白いやり方で事件を解決する辺りが本当に面白いし、愛の証明についても知れるので色々な側面を学べます。
劇は、人間模様だけでなく、資本主義や当時のキリスト教とユダヤ人との関係も知れる教養が身につく内容となっています。本で読んでも読みやすいのでおすすめです。
十二夜
男装したヴァイオラが引き起こす三角関係の話です。しかも、一方通行の三角関係なのでハッピーエンドで終わらないはずなのに喜劇になっています。もう、恋愛好きとしては、たまりません。
男装したヴァイオラは仕えているオーシーノー(イリリア公爵)に恋をし、オーシーノーはオリヴィアという伯爵令嬢に求婚する。そして、オリヴィアは男装したヴァイオラに恋をするという片思いの三角関係です。
シェイクスピアの喜劇の最高峰と称されるようで、是非劇で見たいと思いました。
お気に召すまま
兄から妬まれて森へ逃げ込んだオーランドーと同じ時期にいとこのシーリアと家出をしたオーランドーの恋人ロザリンド。お互いが別々に森で暮らしていたが、男装したロザリンドとオーランドリーが出会って・・・
都会の暮らしより、森で恋人と暮らしていった方がいいと思ってしまうほど、森の暮らしは人の心を変えるのでしょう。都会という喧騒と人間関係の煩わしさがない空間は本当にいいことだらけなのだと思います。本来の自分らしさを取り戻し癒されるなら森へ行ってみたいなと思いました。
じゃじゃ馬馴らし
領主が酔っ払っていたスライという鋳掛け屋に殿様になっていると思い込ませる悪戯を仕掛ける話で、その中の劇中劇が「じゃじゃ馬馴らし」である。
内容は、大金持ちのバプティスタには姉キャタリーナというじゃじゃ馬娘と妹ビアンカというおしとやか姉妹がいる。妹ビアンカに3人の求婚者がくるが姉キャタリーナが結婚しなければビアンカは結婚できないとバプティスタが言い放ちます。そこに現れたのが紳士ペトルーキオで姉キャタリーナをじゃじゃ馬馴らしする話です。
正直、大丈夫かというDVな側面もありますが、愛というものに触れる劇となっています。
史劇
史劇の中で1番多いのがヘンリーシリーズです。その中で面白そうなのが3部あったので記載します。
ヘンリー六世第二部
ヘンリー六世三部作の1つです。赤バラのランカスター家と白バラのヨーク家の争いである薔薇戦争勃発の時期の話です。権力闘争の話で暗い話ではありますが、キャラがしっかりしているとし評価されている作品です。
ヘンリー五世
休戦だった百年戦争が再び口火を切る時代の話です。ヘンリー五世の演説は有名です。
ヘンリー五世は分かりやすいあらすじを見つけたので、参照してみてください。
ヘンリー八世
有名な離婚問題からイギリスの宗教改革まで発展したヘンリー八世は、6回の離婚とそれにまつわる処刑を敢行した暴君です。そんなヘンリー8世ですが、のちのエリザベス女王を授かるというのは不思議な話です。反面教師なのか歴史というのは何があるかわかりません。
問題劇・ロマンス劇
問題作は本文を借りてすれば、
終わり方が曖昧なのですっきりしなかったり、余韻を考えるものとなっています。全てがチャンチャンって終わるような悲劇、喜劇、史劇とは違いちょっと難しい内容です。
ロマンス劇は恋愛ものというより、ハリポタまではいきませんが、ファンタジーな世界です。
この中で気になったのは1作ありました。『テンペスト』です。
テンペスト
ロマンス劇に分類される作品です。魔法使いの復讐劇のようなものですが、幻想や狭い世界からの解放という視点で見ると、面白いと思いました。真実の愛など、現代のディズニーに似ている主題があるみたいで示唆に富む内容だと思います。