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英語&翻訳解説【Crisis】


まず曲を理解する

厳しい現実を乗り越えようとしているすべての人に向けた励ましの歌です。

日の当たる場所にいる権力者たちは様々な問題を話し合うだけで終わっています。

一方、光が差さない場所で多くの人が今日も苦しんでいます。

絶望的状況です。

それでも我々は生きて行かないといけません。

暗闇に光をもたらしてくれる神に感謝して自分がやるべきことをやり、与えられた命の時間を謳歌しようと歌っています。

我々は神に愛され祝福された存在なんだ。どんな「危機」にも出口はある。信じてなすべきことをなす者に神は救いをもたらしてくれる。それがこの曲のメッセージです。

英語表現と訳し方

They say ~
「~と言われている」、「~だそうだ」という意味の慣用表現です。

People sayと言い換えることができます。

Theyは特定の人たちではありません。自分以外の世間一般の人たちです。

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人生を夢だと思っている「やつら」と区別するため、「人は言う」と訳しました。

They sayと同じ意味のフレーズにit is saidというのもあります。

こちらは100%書き言葉です。日常会話で使う人はいません。

Love is a stream
That will find its course
訳すのがイヤになるぐらい英語としてカッコいいフレーズです。

Streamは「流れ」です。

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Upstreamと言えば「上流」、downstreamは「下流」のことです。

Courseは「動いていく道」、つまり「進路」のことです。

フレーズ全体を直訳すると「愛とは自ら行先を見つける流れだ」となります。

「愛とは道を見い出す流れ」と訳しましたが、感じるままにいろんな風に訳せるとても詩的な表現です。

Making matters worse
Mattersは「物事」です。

いろんな事をまとめてざっくりと表現したい時に使える便利な言葉です。

Make ~ worseで「~を今より悪くする」、「~を悪化させる」です。

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くだけた口語的表現です。

動詞worsenに置き換えることができます。

No matter what ~

「たとえ何が起ころうと」という定形表現です。

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Whatのところにいろんな関係代名詞を入れることができます。

No matter whichだと「たとえどれでも」、no matter whoだと「たとえ誰でも」、no matter whereだと「たとえどこでも」です。

Whatever(何でも)を用いてwhatever the crisis isと言い換えることができます。

Come what mayも同じで意味で使われます。

Crisis
「重大局面」や「運命の分かれ目」のことです。

「病状が良くなるか悪くなるかの境目」という意味でも使われます。

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訳語が長すぎると歌詞として不適切なので、通例となっている訳語を採用し、「危機」と訳しました。

Energy crisisと言えば「エネルギー危機」、financial crisisと言えば「財政危機」のことです。

「危機管理」はcrisis managementと言います。

Give Jah all the thanks and praises
ボブの歌詞でお馴染みのフレーズです。

One Loveではこう歌ってます

ここではall(すべての、あらゆる)という形容詞を入れて少しアレンジしてあります。

命令形になっていますが、giveの前にはLet’s が隠れています。

Let’s give ~で「~を捧げよう」です。

「感謝と賛美はすべてJahに」、「感謝と賛美をすべてJahに」、「感謝と賛美のすべてを」と前後の歌詞に合わせて訳し分けてみました。

Little been done
Has を抜かした口語的フレーズです。

きちんと書き直すとLittle has been doneになります。

「ほどんど何もおこなわれなかった」という意味です。

「多くのことが語られた」を受けた箇所なので「ほとんどが話だけで終わった」と訳しました。

Killing the people
直訳すれば「人々を殺している」ですが、人殺しをしていると指摘しているのでありません。

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死ぬにまかせている(letting the people die、leaving the people to die)と言う意味を込めたフレーズです。

「死者が出るのを防ぐため、積極的に防止策講じない」ことによって間接的に人々を「殺している」という意味です。

本当の愛を知らず現実の世界に生きていない「やつら」に対する批判なので、「見殺しにしている」と意訳しました。

House of the rising sun
象徴的なフレーズです。

「昇る太陽の家」とは「日の当たる場所(a place in the sun)」のことです。

歌詞の冒頭に出てくる「太陽が輝くことがない場所」と対比させてあります。

House of the rising sunは、The AnimalsBob Dylanが歌った有名曲のタイトルでもあります。

「朝日のあたる家」という曲名で広く知られているのでそのまま使用しました。

Live it up
あまり使われない口語表現です。

英英辞典では次のように定義されています。

To have an exciting and very enjoyable time with parties, good food and drink, etc.

(Cambridge Dictionary)

To do things that you enjoy and spend a lot of money

(Longman Dictionary)

「楽しい時間を過ごす」、「楽しいことをやる」という意味のフレーズです。

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「危機」と「楽しむ」という言葉は矛盾してる気がしますが、どんな危機がやってきても、いつも通りやるべきことをやり、主に感謝と賛美を捧げ、与えられた命の時間を楽しむんだという意味が込められています。

Mercies endureth for-I-ver
Mercyは「憐れみ」とか「慈悲深さ」のことです。

ユダヤ・キリスト教の世界では「神の恵み(blessing)」を指します。

Endureは「持ちこたえる」、「持続する」という動詞です。

For-I-verはI-wordと呼ばれるラスタ用語です。

Foreverという意味です。

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ストレートに訳すと「憐れみは永遠に続く」ですが、真理を求め、毎日欠かさず聖書を一章ずつ読んでいたボブらしく「神の恵みは尽きることがない」と訳しました。

Children, come on and give Jah…
Jahの後にall the thanks and praisesが隠れています。

呼びかけている相手childrenは一般名詞の「子供たち」ではありません。

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God’s children(神の子供たち=主を信じる仲間)という意味です。

同じ神を信じる者たちへの呼びかけのフレーズです。

韻を踏んでいる箇所

次の3か所で韻を踏んでいます。

They say the sun
Shines for all
But in some people world
It never shine at all

They say love is a stream
That will find its course
Some people think life is a dream
So they making matters worse

Killing the people,
Having their fun
They just want to be the leader
In the house of the rising sun

翻訳する上で苦心した箇所

Killing the peopleの解釈が難しかったです。権力を持つ連中を激しく攻撃するような歌詞ではないので何度も聴き直してボブがこの直截的言葉に込めた意味を摑んでから訳出しました。


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