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英語&翻訳解説【Easy Skanking】


まず曲を理解する

Bob loosening up

繰り返し頭の中でフラッシュバックする銃撃事件の映像を消して心をリラックスさせたい。

だからマリファナを吸ってレゲエのリズムに乗ってゆったりと踊ってるんだという曲です。

歌詞には出てきませんが、精神的にすごく不安定な状態です。おそらく眠れない日々を過ごしています。

生身の姿をさらけ出した等身大のボブがここにいます。

この曲のボブは自由の戦士でも神の愛を説く伝道者でもありません。苦しみから逃げようとしてるどこにでもいる普通の人です。

弱くて小さなボブに限りない親近感を覚えながら、気がつくと自分も自然に身体を揺らしてる。そんな愛すべきナンバーです。

英語表現と訳し方

Easy skanking
Skankはジャマイカのスラングで「踊る」という意味です。

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踊ると言うより「レゲエのリズムに合わせ自由に気持ちよく身体を揺らす」という感じです。

Easy skankingで「気楽なダンス」です。

そのまま「気楽にダンス」と訳そうかとも思いましたが、この曲では踊る目的がはっきりしているので「ダンスしてリラックス」と訳しました。

Skanking it easy
Let's skank it easyという意味です。

Easy(ゆったり、気楽)にそれ(it)をskankしよう(踊らせよう)、つまり「こころと身体を気楽に揺らそう」と言っています。

ペアで出てくるskanking it slowも意味はほぼ同じです。

Easyを「楽に」、slowを「ゆっくり」と訳し分けてみました。

Light my spliff
動詞として使う場合、lightは「火をつける」です。

Light a candleと言えば、「ロウソクをともす」、light a cigaretteだと「タバコに火をつける」です。

Spliffはタバコの形に葉っぱを巻いたマリファナタバコのことです。

これがspliff

葉巻のように太くて大きなものをspliff、タバコぐらいのサイズのものをjointと呼ぶことが多いです。

Jointでリラックス中

ジャマイカではラスタが使うマリファナ専用パイプをchaliceと呼びます。

Chalice

元はキリスト教用語で「聖杯」という意味です。

Good God
直訳すれば「善き神さま」ですが、英語圏の人たちにとってGodは日本語話者の口から出る「ああ!」とか「うっ!」と同じです。

反射的に思わず口から出てしまう特に意味はない言葉です。

別に神さまの助けを求めている訳ではありません。

Take a lift
「Liftに乗る」です。

Take a ride(乗り物に乗る)のイギリス版です。

この曲ではliftは現実から逃げ出すための乗り物なのでスキー場のリフト的なものをイメージして「リフトで脱出しなきゃ」と訳しました。

(イメージ画像)

ちなみにイギリスでは、合衆国でelevatorと呼ぶものもliftと言います。

From reality I just can’t drift
倒置してあります。

通常の形に直すとI just can’t drift from realityとなります。

「現実からどうしてもdriftできない」という意味です。

Reality for Bob

動詞として使う場合、driftは「ゆっくり移動する」、「逸れる」、「漂流する」です。

Drift from realityはあまり見かけないフレーズです。

「現実から逃れる」と言う時は、escape from realityを使うのが一般的です。

Staying with this riff

Stayは「とどまる」、「そのままでいる」です。

Riffとはrefrainのことです。

元は音楽用語です。反復して演奏されるフレーズを指します。

ここで歌われているriffは「逃れられない現実」を指すので「エンドレスな反復」と訳しました。

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Take it easy

「気にするなよ」という意味でよく使われる口語表現です。

目的語itは、ボブが置かれた状況とかハードな心理状態を指します。

関連して出てくるtake it slowもほぼ同じ意味です。

Slow(ゆっくり、のんびり)で行こうというフレーズです。

どちらも銃撃事件で受けた心の傷から早く「立ち直ろう」と焦る自分に言い聞かせている言葉です。

Slow and easy といえばコイツ

Herb for my wine
直訳すると「ワインのためのハーブ」ですが、意味は「ワインにはハーブがつきもの」です。

中東からヨーロッパにかけての地域では大昔から薬効をアップさせる目的でブドウ酒にハーブを入れる文化があったようです。

(イメージ画像)

こうした飲み物はherbal wineと呼ばれています。

ハーブとワインには相性があって「良い組み合わせ」というのがあるそうです。

おそらく食べ物に最適なワインを選ぶためのガイドだと思いますが、検索するとこんなチャートがたくさん出てきます。

 Strong drink
Drinkはお酒です。Alcoholic drinkの略です。

Alcoholic beverageという言い方もできます。こちらもアルコール飲料を指します。

Strongをつけると「強い酒」になります。

蒸留酒(spirits)やカクテル(cocktails)といったアルコール度数が高い飲み物のことです。通常ビールは含まれません。

Spiritsの数々

旧約聖書ではwine and strong drinkという言葉が使われています。ワインもstrong drinkとはみなされていなかったようです。

Now therefore beware, I pray thee, and drink not wine nor strong drink, and eat not any unclean thing:

(Judges 13:4 King James Version)

今後、ぶどう酒や強い飲み物を飲まず、汚れた物も一切食べないように気をつけよ。

(士師記(ししき)13:4 新共同訳)

ちなみにstrong drinksの反対語はsoft drinksです。ご存知の通りノンアルコール炭酸飲料のことです。

韻を踏んでいる箇所

一ヵ所のみ、以下のところで鮮やかに韻を踏んでいます。

Excuse me while I light my spliff
Good God I gotta take a lift
From reality I just can’t drift
That’s why I am staying with this riff

翻訳する上で難しかった箇所

Easy skankingの訳し方が難しかったです。すごく感覚的フレーズなのでボブが伝えようとしたフィーリングを大事にして訳してみました。

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