英語&翻訳解説【Misty Morning】
まず曲を理解する
恋愛関係を扱ったわかりやすい曲がふたつ続いた後で、ガラッと景色を変える重量感があるナンバーです。
心の奥底にあるものを謎めいた言葉で語っています。
テーマは「わからないこと」
ボブはどう生きて行けばいいのか「わからない」という深い霧の中にいます。
でも「わからない」状態に留まり続けるのではなく、決然と水に「飛び込もう」としています。「水」とは聖書に記された神の教えです。
どんなに険しく見えても、道の先に神を見ることができる者には乗り越えられない苦しみは存在しません。希望を失わない者は、何度でも立ち上がることができるというのが聖書の教えです。
神に希望を見出し、祈りながら真理へ向かう道を歩もうとしているボブの姿をイメージすると少しずつ霧の向こうから謎めいた歌詞の意味が現れてきます。
何について歌っているのか?もっと詳しく知りたい方は「Misty Morningに関するあれこれ」をお読みください。
英語表現と訳し方
Misty
Mistyはmist(霧)から派生した形容詞です。
「霧に包まれた」、「もやが立ち込めた」という意味です。
霧やもやによって視界不良な時だけではなく、加齢や涙によって目がよく見えない場合にも使います。
Foggyと言い換えることができます。
Mistもfogも「霧」を指しますが、厳密に言うと両者には違いがあります。
濃度が高いもの(濃霧)をfog、低いものをmistと呼ぶそうです。
濃霧注意報のことはdense fog advisoryと言います。
Sun
太陽です。
「太陽に比べうるもの」という意味もあります。
旧約聖書には神のことを太陽と表現した箇所があります。
具体的な記述に関しては「Misty Morningに関するあれこれ」をお読みください。
ボブも「見えない」=「見ることができない」神を象徴的にsunと表現しています。
Out there
「あっちで」とか「外に」と言いたい時によく使う口語です。
ここではもうひとつの意味で使われています。
「世の中に」です。
Out there somewhereで「この世界のどこかに」という意味です。
Out thereに呼応するフレーズin hereも会話ではよく使われます。
意味はhereと同じです。
「他のどこでもないこの場所なんだよ」と強調したい時に使います。
Having fun
後ろから説明を加えています。
Have funは「楽しむ」とか「面白がる」です。
「あなたはどこかにいて面白がっている」と言っています。
歌詞にはhaving funとしか書かれていませんが、言っているのはhaving fun watching usということです。
神はただ面白がっているのではありません。
人間がこの世界でいろんなことにチャレンジして、うまくやったり、失敗したりしているのを離れた場所から優しい目で見ている訳です。
「面白がっている」では意味が伝わらないので「(神は)我々を見ている」と意訳しました。
Mystery
「謎」、「不可解なこと」、「秘められたこと」を指します。
Riddleと言い換えることもできます。
Puzzleとも言います。
「頭をしぼらないと解けない難問」がpuzzleです。
A piece of the puzzleと言えば、「謎を解く手がかり」のことです。
To give your more
To receive your less
ひとつ目のフレーズはto不定詞を使ったものです。
「より多く与えること」という意味です。
ふたつ目のフレーズのtoは「~するために」です。
意味は「受け取るものを減らすために」です。
ふたつ合わせると「受け取るものを減らすためにより多く与えること」になります。
受け取るものを減らすためにではなく、受け取るものが減るにもかかわらずという意味だと判断し、意訳しました。
The power of philosophy
Floats through my head
Philosophyとは根本的な価値観のことです。
通常「哲学」と訳します。
Floatは「浮かぶ」という動詞です。
Float through ~ という形になると「~の中をゆっくり流れていく」という意味になります。
Floatには名詞形もあります。
「浮き輪」とか「山車」という意味で使われます。
アイスクリームを浮かせた冷たい飲み物もfloatです。
Light like a feather
Heavy as lead
前段のfloats以下を後ろから説明しています。
As light as a feather and as heavy as leadという意味です。
つなげて書き直すとThe power of philosophy floats through my head as light as a feather and as heavy as leadです。
「哲学はその力によって羽根のように軽く、鉛のように重く、俺の頭の中をゆっくりとめぐる」という意味です。
Time has come
「時が来た」という定型表現です。
Time has come to take an actionと言えば、「行動する時がやってきた」です。
このフレーズは旧約聖書コヘレトの言葉(Ecclesiastes)に出てくる次の一節を別の言葉で言い表したものです。
定められた時が来たというニュアンスを加えるために「時は満ちた」と訳しました。
Straighten out my tomorrow
Straightの動詞形straightenは「真っすぐにする」です。
Straightには「正しい」というニュアンスがあるのでstraighten outという形になると「正す」という意味になります。
My tomorrowは直訳すれば「俺の明日」です。
「これからの自分」、「自分が進む道」という意味で使われています。
いろんな風に解釈できる幅を持ったフレーズですが、霧の中にいて先が見えないんだ、あなたの方向に俺を正しく導いて欲しいんだと言っているので「俺の道を真っすぐにしてくれ」と訳しました。
韻を踏んでいる箇所
次の2か所で韻を踏んでいます。
翻訳する上で難しかった箇所
「与えるものを増やすこと」と「受け取るものを減らすこと」の関係を理解するのが難しかったです。
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