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英語&翻訳解説【One Drop】


まず曲を理解する

Bob feeling the vibe on stage

Positive Vibrationと同じタイプの曲です。

アタマで考えるのではなく、心と身体で感じようと言っています。

ワンドロップとはルーツレゲエの心臓とも言えるビートのことであり、同時に「救いのリズム」のことです。

自然と身体を揺らす鼓動のようなバックビートに身を委ねて真理を心に迎え入れようというのがこの曲に込められたメッセージです。

社会のシステムを操るやつらは俺たちを敵対させ、争わせている、だから生きるのが苦しいんだ。主が教える通り、互いに愛し合い、生き方を変え、間違ったシステムに立ち向かうんだ。そうボブは促しています。

リズムを紹介しつつ、神の言葉に従いながら生きていくことの大切さを伝えるナンバーです。

英語表現と訳し方

One drop
ウェイラーズのドラマーCarlton Barrettが世界に広めたリズムにつけられた名前です。

(Carltonやルーツレゲエのリズムについては「One Dropに関するあれこれ」をお読みください。)

Dropというのはバスドラム(bass drum)のキックのことです。

bass drum

音楽の世界を離れると、one dropとは液体の「ひとしずく」を指します。

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One drop of water(一滴の水)という風に使います。

Rap
ラップミュージックのrapです。

何かをトントン、コツコツと素早く叩いて音を出すという意味です。

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ここではドラムを叩くことを指しています。

One stop
Make one stopで「ひとつ休む」という意味です。

叩く時間はあるけれど、叩かずにひとつ休むんだと言っているので「ひとつタメる」と意訳しました。

ハイフォンで繋いでone-stopという形にすると、「一ヵ所で用が足りる」というまったく別の意味になります。

Shopping all kinds of products in one place

One-stop shopping(一ヵ所で必要なすべて買い物をすること)という風に使います。

Generation gap
通常は「世代間格差」ですが、リズムの説明の続きなので違う意味です。

Generationは「発生」、gapは「間隔」です。

Gap generation(間隔を生み出すこと)と読み替えて「間をあける」と訳しました。

Gapは聖書にも登場します。

日本語版聖書新共同訳では「破れ口」と訳されています(エゼキエル書22章30節)。

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崩れたり、穴が空いてしまっている城壁の「破損箇所」のことです。

Filling the gapというのは「リズムの裂け目をふさぐんだ」ということです。

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Drumbeat

英語ではこんなのもdrumsです

Drum(太鼓)+ beat(ビート)です。

似た言葉にheartbeatというのがあります。

「心臓の鼓動」のことです。

Pulseもレゲエビートの説明によく使われます。

Steel Pulse

こちらは「脈拍」です。

Backbeatというのもあります。

4分の4拍子のカウント2とカウント4を強調するアフリカ系音楽に共通するリズムのことです。

System
レゲエ用語Babylonの別の言い方です。

Systemとは、権力の側にいる連中(baldheads)が支配する資本主義、物質万能主義に毒された弱者を抑圧する社会体制のことです。

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自分たちが理想とする生き方と相容れないsystemと闘うのがラスタです。

Let us down
Let ~ downは「~をがっかりさせる」という慣用句です。

「見捨てる」という意味もあります。

同じ意味でabandonもよく使われます。

沈没しそうな船から退去しろと命じる時は、Abandon ship!と叫びます。

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Pull your rights from wrong
Pull A from Bで「BからAを引き出す」です。

Rightsは道徳的に正しいこと、wrongは道徳的に間違ったことを指します。

正しいこと(善)と間違ったこと(悪)は別々の存在ではなく、悪の中にも善が存在するんだ、主はそれを引き出してくれるんだと歌っています。

Dread
ジャマイカ式スラングです。

標準英語のdreadful(ひどい、恐ろしい)に相当します。

髪の毛をdreadlocksにしている人=ラスタという意味でも使われる言葉です。

Dreads

Hunger and starvation
どちらも「飢え」を指します。

同意語を二つ重ねて意味を強めるのは英語でよく見かけるパターンです。

One and only(唯一無二)とか、all and every(すべて)とか、each and every(それぞれ)とか、定型フレーズがたくさんあります。

Lamentation

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「嘆き悲しむこと」です。

日常会話では決して耳にしない硬い言葉です。

旧約聖書で多用されています。

その名もThe Book of Lamentations(哀歌)という書物もあります。

Revelation
新約聖書巻末の書「ヨハネの黙示録」を指します。

正式にはThe Book of Revelationと言います。

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小文字始まりでrevelationと書く場合は、「隠されていたものを明らかにする」という意味になります。

ヨハネの黙示録には別の呼び方もあります。

The Apocalypseです。

ちなみにアルバムSurvivalが発売された1979年には、偶然とは思えないタイミングでこんな映画も全米で公開されています。

Apocalypse Now

Redemption
ボブのファンなら誰もが知っている名曲Redemption Songのredemptionです。

キリスト教用語で、通常「贖い(あがない)」と訳される難しい言葉です。

説明無しではキリスト教に詳しい人以外には分からないので、嚙み砕いて「罪からの解放」と訳しました。

Teachings of his majesty

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Teachingsは「教え」とか「教義」です。

小文字始まりのhis majestyは天にいる主(Lord in Heaven=God)のことです。

大文字始まりにすると意味が変わります。

His Majestyで「皇帝陛下」です。

この箇所で歌われているのは聖書に記された主の教えのことです。

ハイレ・セラシエ一世がラスタに教えたことではありません。お間違えなく。

ちなみにラスタはセラシエをHIMと呼びます。His Imperial Majestyの略です。

Ism and skism
ふたつひと組で使われるラスタ用語です。

Ismは「主義」です。capitalism(資本主義)とかfeminism(男女同権主義)とかfundamentalism(原理主義)なんかのismです。

原理主義 はヤバイですね

Skism(schism)は「分断」です。辞書的にはキリスト教徒が教派によって分断されている状態を指します。

A-what make them a-go on so?
Whatの前のaは特に意味はありません。

Goの前のaはパトワ独特の文法で未来を示しています。

Go on soは「そうし続ける」です。

全体を標準英語に直すと、What is making them go on so?(何が彼らにそうし続けさせるのか)となります。

Frighten them
Frightenは「怖がらせる」、「怯えさせる」という動詞です。

「ひどく怖がらせる」と言う場合、frighten to deathを使います。

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The guy frightened me to death(その男は私を死ぬほど怖がらせた)という風に使います。

Scareと言い換えることもできます。

韻を踏んでいる箇所

次の6か所で韻を踏んでいます。

Feel it in the one drop
And we still find time to rap
For making the one stop
The generation gap

Playing a rhythm
Resisting against the system

Every day
We got to keep on fighting
They made the world so hard
Every day
The people are dying

For hunger and starvation
Lamentation
For read it in Revelation
You’ll find your redemption

And then, give us the teachings of his majesty
For we no want no devil philosophy

Playing a rhythm
Fighting against ism and skism

翻訳する上で苦労したポイント

One dropの説明が非常にファジーで感覚的なので、ボブが伝えようとした内容を汲み取って分かりやすい日本語にするのに苦労しました。

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