育休54日目 目指すのは「制度の充実」ではなく「わかり合える関係」
つい先日の報道である。
1人の女性が生涯で出産する子どもの数を示す「合計特殊出生率」が「1.20」となり、過去最低となったようだ。
子育てする社員の同僚を支援する制度
少子化の進行は、とどまる所を知らない。
そんな報道の裏で、ある会社は社内同僚に対して気を遣うことなく産休・育休を取得することができる制度を始めたそうだ。
簡単にまとめると、
・育休を取得すると取得者のボーナスは激減する
・その減った育休取得者分のボーナスを同僚に分配する
これは子育てする当事者だけでなく、関係する会社の同僚を支援する制度である。
なかなか素晴らしいじゃないか。
記事の内容を見る限りは、お互いにWin-Winであるように見える。
どの職場でもボーナス配分制度は通用するのか
一方で、この制度がどの職場でもマッチするとは限らない。
社内文化や雰囲気、社員の年齢構成や男女比率など、要素が異なれば社員の反応も大きく変わってくるだろう。
おそらくこの会社では、社員同士がきっと分かり合えていたんだと思う。
もし仮に、わかりあえていない社員がいると、どんなことが起こるだろう?
「お金で解決するのかよ?」
「これ以上仕事増やすとか勘弁してくれ」
「お金じゃなくて休みをくれよ」
「子持ち様は育児を理由に会社を休めていいよな笑」
命の誕生ほど尊いことはない。
しかし、わかりあえない者同士だとハレーションにより勝手なことを言い出すことは容易に想像できる。
そんな集団で、はたしてボーナス配分制度が通用するのか、定かではない。
「わかり合える同士」だった結果、制度が生まれた
この制度は、社内の"シナジー"によって生まれたのではないだろうか。
育児に専念する者も、その分の仕事を巻き取る者も、お互いをリスペクトし、立場を越えて寄り添い合った結果、辿り着いたと推察する。
わかり合える関係の下で、お互いが少しでも気を遣うことなく育児や業務に勤しんでもらいたいから、結果的に制度が仕上がった、と。
出生率の低下は喫緊の課題だが、独身を貫く人、子育てに関心のない人にとっては、少子化問題はそれほど重要ではない。
しかし、生き方や働き方が多様化した現代で、お互いが気持ちよく生きていくためには、他者を理解し、対話し、垣根を越えて制度を設計する必要がある。
僕たちが目指すのは、「制度の充実」ではなく「わかり合える関係」の構築である。
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