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2024年10月の記事一覧

明日を歩くならば(詩)

明日を歩くならば(詩)

明日 ぼくは道を歩くだろう
人びとは
軽蔑の目でぼくを見るだろう
そんなことは 関係ない
だれが
ぼくを傷つけることができるだろう

価値を決め
切り捨てることを
自由とした
いまだ父権社会を生きる
人類

明日 ぼくは道を歩くだろう
人びとは
愚かしさに笑うだろう
そんなことは 関係ない
だれが
ぼくを傷つけることができるだろう

何もかもが
泡沫の淡いに
水の中のように音がなく
なんて
戯画し

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星と読書人と(詩)

星と読書人と(詩)

100億年の後に
そこに
太陽が生まれた

わたしは
本棚から新刊を取り出して
表紙を見るが興味がなかった

惑星は重力により
新たな釣り合いを持ち
空気のない空間で呻吟をする

そして文庫のコーナーから
ハードカバーのところへ惹かれる
深呼吸をした

雨がふり
火山が爆発し
生命が誕生する

だから買おうと決めたご本は
5冊もあって
ああ本屋って凶暴だなあ

地上は食物連鎖という
暴力の
楽園を

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ままごと(詩)

ままごと(詩)

その王は
威厳のために

誰かを処罰してみせる
もうとっくに王国は死にかけ

ねまった風の支配する大地に
ふりこ運動する肉体たち

男たちはポテトチップスを袋から全部出して
1番大きなのを自分のものだと言い張る

女たちはそれをもらい
まんざらでもない

まっすぐにじゃがいもは
コンベアーどおりに進み

シュミラークルな
味たちの密集

ジュースの缶を折って平伏をさせる
即席の木俑(もくよう)たち

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夕づつ

夕づつ

失ったの
知ってた?

あなたが大人になったとき
流れ星は尾を引かなくなり

タイタニックが
沈んだときの笛の音も聞こえなくなった

手に入れたの
知ってた?

その夢みたいなもの?
生活という言葉での安楽。

その優しさみたいなもの?
ちょっと賢く相手を受け入れたふりをするだけの。

そろそろ
襲ってくるよ

空に飛行機雲がまっすぐでも
溶けたように崩れていくのをみたでしょう?

4歳のあなたが

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窠窟(かくつ)

窠窟(かくつ)

崩れたコンクリートの

ゴロゴロしたかたまりを

人は背負っている

いたいいたいと

おもいおもいと

顔も醜く歪んできて

すべての人間を

抽象名詞にしてしまい

自分だけの肉体に

潜り込む

見えづらい視界の中で

しろい蝶々が

きいろい花に踊っているのが

チラチラ見えた