アリサカ・ユキ

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アリサカ・ユキ

青空文庫のコラム。 アリサカ・ユキの問題解決型の 「カジュアルにまじめにブンガク」するブログ 「賢い物語」 https://a-y-wise-storise.com/ トランスジェンダー、トランスエイジです。

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  • Xで、ここで発表してない詩も書いています。

  • 青空文庫コラム

    青空文庫のご作品の感想を伝えていきます!! 週に一つ以上、掲載いたします。

  • 聖光のアナスタシア

    詩で描かれる剣の世界のファンタジー。 亡国の姫が帝国に反旗を翻し、国を取り戻すまで。

最近の記事

明日を歩くならば(詩)

明日 ぼくは道を歩くだろう 人びとは 軽蔑の目でぼくを見るだろう そんなことは 関係ない だれが ぼくを傷つけることができるだろう 価値を決め 切り捨てることを 自由とした いまだ父権社会を生きる 人類 明日 ぼくは道を歩くだろう 人びとは 愚かしさに笑うだろう そんなことは 関係ない だれが ぼくを傷つけることができるだろう 何もかもが 泡沫の淡いに 水の中のように音がなく なんて 戯画した世界 明日 ぼくは道を歩くだろう 人びとは 一等星ばかりにしかやさしくできず

    • 努力が機会につながる。能力主義でなく。 「無題抄」 上村松園 を読んで。(青空文庫コラム)

      (あらすじ) 絵以外は、私(松園)には余技であり、とくに熱中する気にはなれない。 しかし、優れた才能のある人は、その余技においてもずば抜けている。 芸術は、自分の力の及ぶ限りをし、あとは神仏のお力にすがる。 機会はうっかりすると逃げ出してしまう。 機会を掴むのにも、不断の努力と精進が必要である。 (感想) 荘園は余技のことを考えたとき、絵の弟子である、九条武子夫人を思い出します。京都女子大学を設立した教育者であり、歌人、画家、社会運動の活動もしていたかたです。ど

      ¥300
      • 星と読書人と(詩)

        100億年の後に そこに 太陽が生まれた わたしは 本棚から新刊を取り出して 表紙を見るが興味がなかった 惑星は重力により 新たな釣り合いを持ち 空気のない空間で呻吟をする そして文庫のコーナーから ハードカバーのところへ惹かれる 深呼吸をした 雨がふり 火山が爆発し 生命が誕生する だから買おうと決めたご本は 5冊もあって ああ本屋って凶暴だなあ 地上は食物連鎖という 暴力の 楽園をつくる さて読書のお供の ケーキとコーヒー!! その手のお店に行く 人類は生

        • 青空文庫コラムに手がつけられない状態です。すこし、日常が忙しくて、図書館に行けなくて。 読んでくださるかた、日曜日までにはあげますので、そのときは、ぜひ。

        明日を歩くならば(詩)

        • 努力が機会につながる。能力主義でなく。 「無題抄」 上村松園 を読んで。(青空文庫コラム)

          ¥300
        • 星と読書人と(詩)

        • 青空文庫コラムに手がつけられない状態です。すこし、日常が忙しくて、図書館に行けなくて。 読んでくださるかた、日曜日までにはあげますので、そのときは、ぜひ。

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        • 5本
        • 青空文庫コラム
          10本
        • 聖光のアナスタシア
          4本

        記事

          ままごと(詩)

          その王は 威厳のために 誰かを処罰してみせる もうとっくに王国は死にかけ ねまった風の支配する大地に ふりこ運動する肉体たち 男たちはポテトチップスを袋から全部出して 1番大きなのを自分のものだと言い張る 女たちはそれをもらい まんざらでもない まっすぐにじゃがいもは コンベアーどおりに進み シュミラークルな 味たちの密集 ジュースの缶を折って平伏をさせる 即席の木俑(もくよう)たちは 甘いだけのリンゴをもらうつもり 責任を取れと偉い人は言って 自分のするこ

          「洋灯」 横光利一 を読んで。(青空文庫コラム)

          (あらすじ) このごろ、停電が多く夜が暗い。 知人がランプをくれた。 それを見ていると、祖父の葬式や四人の叔母のことなどが思い出される。 (感想) 主人公は、彼の父が外国へ働きへ行くので、母の故郷で母子で暮らすことになった。そこは農村であり、(おそらく)電気がなく、どの家にもランプが用意してあったのです。 そこで暮らした三年間は、主人公には忘れ難い。 そのあたりに住んでいる四人の叔母たちがどんなふうに周りから思われていて、実際に接するとどうであったか、大人になった

          「洋灯」 横光利一 を読んで。(青空文庫コラム)

          夕づつ

          失ったの 知ってた? あなたが大人になったとき 流れ星は尾を引かなくなり タイタニックが 沈んだときの笛の音も聞こえなくなった 手に入れたの 知ってた? その夢みたいなもの? 生活という言葉での安楽。 その優しさみたいなもの? ちょっと賢く相手を受け入れたふりをするだけの。 そろそろ 襲ってくるよ 空に飛行機雲がまっすぐでも 溶けたように崩れていくのをみたでしょう? 4歳のあなたが漕いだブランコは 夜中は動いてない恐怖を思い出して? 静かに、重さもなく軽やか

          窠窟(かくつ)

          崩れたコンクリートの ゴロゴロしたかたまりを 人は背負っている いたいいたいと おもいおもいと 顔も醜く歪んできて すべての人間を 抽象名詞にしてしまい 自分だけの肉体に 潜り込む 見えづらい視界の中で しろい蝶々が きいろい花に踊っているのが チラチラ見えた

          (詩篇ファンタジー)聖光のアナスタシアcode:4

          港町キースが落ちた? 女は目の前の男を睨んだ。 切り裂きの姫カタリア 黒騎士 ほほう、わが姉君とな。 お前も血が騒ぐか? ハールートの王子よ 俺は帝国の騎士だ 民のため 敵は斬る 生かして連れてこい 同じ血を引く姉君だ 使い道もあろう 黒騎士は 深く礼をし 背中を向けた ---------- 山間より敵の援軍のようです!! 従卒の叫び 黒影 影のようにしかし重厚に ブラックナイツだ!! 騎士団長が、一歩下がった。 姫さま、ハールートの 兄弟国の戦闘のス

          (詩篇ファンタジー)聖光のアナスタシアcode:4

          「雪の障子」 島崎藤村 を読んで。(青空文庫コラム)

          (あらすじ) 語り手は雪が降ったことに喜ぶ。 この雪の中での動きが、昔の人が表現に凝ったことだ。 この寒さに耐えてよく生きる強さがあった。 (感想) 雪の日の記憶は、語り手の幼いときに結びついています。坂道の凍ったところで、氷滑りをしていたのだと。 「降ったばかりの雪は冷たいようで、実は暖かい」。 そして、「雪の中にはいろいろなものが隠れている」と言います。 鷺娘という古舞があります。語り手は、この物語にあるものが雪の世界あるものだ、と言っています。 鷺娘の

          「雪の障子」 島崎藤村 を読んで。(青空文庫コラム)

          聖光のアナスタシアcode:3

          「復讐をなされますか」 静かな声 僧の目は穏やかに アナスタシアは光強い視線を返し 「父の声音を覚えています」 僧は目を閉じた 「こころのままに。償えない罪を その手にしていくのが人がゆえに」 僧は膝をついている彼女の頭に手を置いた 朗々と 鐘楼より響くような 祈りの言葉 僧から アナスタシアは 眼前を見やる 兵士たち 勇敢な向こう見ずな いま 帝国兵たちを 切り捨て進む 国のため? 子のため親のため パートナーのため すべてを背負う 鉄の傷も血の汚れも

          聖光のアナスタシアcode:3

          聖光のアナスタシアcode:2

          ついに砦を落とした 歓声 剣と剣の平を合わせる友情 従卒は 土埃に汚れた顔で 馬上のアナスタシアを見た 「始まりでしょうか? 我々が国を 取り戻す戦いの?」 「私たちは弱かった 知らしめてあげましょう? 地獄から這い上がったものたちこそが 真実の騎士であると」 星光がそろそろ輝く 王国 ハールートと マールートは それぞれ 双子の王が 納めていた 帝国を名乗る 北の大国 ガリキア アルカナ大陸は 蹂躙されていく 圧政が敷かれた 支配戦争から15年 マールー

          聖光のアナスタシアcode:2

          「物を大切にする心」 種田山頭火 を読んで。(青空文庫コラム)

          (あらすじ) 私はお遍路参りをしていた。親しく一緒に歩く人ができた。 その人は貰ったたくさんのマッチをたばこの火付に一本でいいところを何本も湯水のように使った。彼の信心に疑いを持つ。 あるマダム。女中が洗濯の水を溢れさせるが、彼女は澄ましている。 この人たちは、本当の意味の、ものの値打ちが、わかっているのだろうか? (感想) 物を大切にする、というのは、正しいと思う。けれども、現代人の多くはそれを実践していないのかもしれない。大量に買い、大量に廃棄しているのが、ぼ

          「物を大切にする心」 種田山頭火 を読んで。(青空文庫コラム)

          聖光のアナスタシアcode:1

          城砦に旗が翻った 城主は心に決めている 守るべきもののために この剣はあるのだと 互いに圧迫をする戦いに うみ疲れたのではなかったか アナスタシアは3歳で、 太く強い腕に抱かれていた 彼女は18になっても覚えていた 決意という強さを見せてくれた この人のことを

          聖光のアナスタシアcode:1

          「街の子」 竹久夢二 を読んで。(青空文庫コラム)

          (あらすじ) ジャッキイ・クウガンの映画があるらしい。 春太郎はお姉さんと共に見にゆきます。 母と死に別れて、さまようが、最後には実の父に出会う話。 その映画を真似して自分の人生を空想する春太郎。 悲劇と感動を妄想で体得してみるけど、親はお仕事行っているんだっけ! ふと気づくともう校舎の前だった。 (感想) 物語は、スラスラと読めますし、特に何も考えないで、ああ、親子の愛情はいいなあ、というすなおな感想をもつお話だと思います。 なので、以下はちょっと蛇足気味

          「街の子」 竹久夢二 を読んで。(青空文庫コラム)

          「郷愁」 織田作之助 を読んで。(青空文庫コラム)

          (あらすじ) 世評を小説に盛り込もうとしてもうまくいかない。新吉は、悩みに悩み、なんとか原稿をこしらえる。 締め切りに間に合うよう中央郵便局へ電車で行く。その途中、夫に不明瞭な電報で呼ばれた女に出会い、彼女は、相手がどこへこいと言ったのかよくわからず、新吉に尋ねる。彼は彼女の身なりの貧しさが気になった。 そしてたどり着いた駅では、「浮浪者」が寝ており、隣でその息子が、立ち膝で上の方を見上げていた。その目には、憂愁があった。 新吉は、世相とは、なんのことであるのか勘付く

          「郷愁」 織田作之助 を読んで。(青空文庫コラム)