【『百人一首』と人生と】故郷へ帰りたいなぁ、父母は元気だろうか……(阿倍仲麻呂)
【意訳】
唐(とう・中国)へ留学に来た私も、ようやく日本へ帰る日を迎えることになった。
はるかに広がる夜空を見渡すと、美しい月が出ている。あの月は、昔、故郷・春日(かすが・現在の奈良市辺りの地名)の三笠山(みかさやま)に出ていた月と、同じ月なのだなあ。
【解説】
夜空に輝く月を、阿倍仲麻呂は、どんな思いで眺めていたのでしょうか。
奈良時代の日本は、中国大陸の進んだ文化や制度を学ぶために、多くの人材を唐(とう)へ派遣していました。それが「遣唐使(けんとうし)」です。