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12. セールス(営業)マン【DX】 Part4  セールスに必須「クロージング」スキル

昨夏行われた「Tokyo 2020 オリンピック」。
国を代表したアスリートが参加する世界的大会は、 始まってみると一流アスリートの熱戦に心打たれ、日本の代表アスリートの戦いに一喜一憂する
3 週間でした。オリンピック閉幕後、今度は「新型コロナ感染症」と現実
に引き戻されました。

我々はビジネスを止める訳にはいきません。
今となっては、ビジネス環境が「新型コロナ感染症」以前に戻る事はないでしょう。しかし1年余りで「できなかった事ができるようになった事」も多くある事に気が付きました。
そんな中、私たちは「セールスのスキル」について3回発信してきました。発信するために原稿をまとめていて、改めて感じ考えているのは、やはり「セールス活動は現状認識をし、頭をフル回転してロジカルに進めないと、成約には結びつかない」という点です。

今回は、セールススキルの中でも最も重要な一つである「クロージング」についてお伝えします。​「やはり!ロジカル」です。​以前お伝えした「売れるセールスマンと、売れない​セールスマンの違いは何??」
​答えは『的確な質問をしている』でした。
​「こちら(セールスマン)が決めつけて、​『進める』」のではなく、​「答えはセールスマンが持っているのではなく、お客様が持っている」​。
その答え(困り事やニーズ)を「的確な質問」によって引き出していき、いかに成約まで導いていくか、​楽しんでください。​

クロージング

ソリューションの提案とプレゼンテーションが終了し、お客様は現在抱えている問題(困り事)を「解決したい」と考えています。​
商談を「クロージング」するということは、お客様が「解決策」を承認し契約するということです。
​但し、こちらの提案をすべて理解している場合だけではありません。
その場合、契約にサインナップしたとしても、「キャンセル」や「後の問題」に通じる場合もあります。​焦らずに落ち着いて、クロージング(契約)を確固たるものにしてください。​

テストクロージング

お客様に問題解決の提案を示した後、必ず実施しなければならないのが
「お客様がプレゼンテーションを聞いて、どう思われたのかを確認する」
テスト・クロージング(「買い気」「サインナップ」のチェック)です。​
『いかがでしょうか!?』​
『いかがでしょうか!? ご理解頂けましたでしょうか!?』​
 
この後に、お客様から「心配事」や「ためらい」の言葉が出てきたら、次のステップであるクロージングに入っていきます。​
しかし、私たちが「問題解決策」を示したにも関わらず、お客様に理解頂けてなければ、どこが不明瞭で、どこがニーズに即していないのかを確かめ再度整理し、もう一度プレゼンの機会を頂きましょう。​

 ■ 核心の "No" を見つけ出す​
お客様が様々な「No」を言う事もあります。​その場合、核心の(本当の)「No」を洗い出す必要があります。​表面の「No」に振り回されないようにしましょう。​

"核心"の「No」を探す

「本当のNo」の中で一番貰いたくない「No」は​「必要性(がない)」
 → そもそも、ターゲットではありません。

クロージングのステップ

クロージングは、以下のステップで行います。

クロージングのステップ

■ クロージングの目的とは ■​
お客様の心配事を取り除き、決心のお手伝いをすること​

お客様の心配事

お客様が異議を唱えたり「気がかりな点がある」と言ったりすることは、面談のどの段階でも起こります。​お客様が心配を口にするのは、「ニーズ表現の一つの方法だ」と捉えることが大切です。プレゼンテーションの後に出てくるお客様の心配事は、私たちの解決提案を理解しているが、意思決定に際しての「デメリット」が先にイメージされてしまうため、お客様は迷ってしまいます。​例えば、「良いのは分かるけど、失敗したらどうしよう」とか。​
従って、私たち営業マンはお客様の心配事に対して、恐れることなく、率直に対応することで、私たちの献身的な姿勢を伝えましょう。​

心配事解消のスキル(1)

まず「心配事が何か分らない時は、確実に分るまで​質問をして探る」​
質問によって理解できること:​
・不審の場合:お客様が、なぜ疑問を持ったのかが​理解できる​
・誤解の場合:お客様が、具体的に 「何を」「なぜ」​必要としているのか​
・不満の場合:私たちが満たせないニーズと、​その裏側のニーズや個別の
       状況が​理解できる​
※ お客様が求めている特定の特徴や利点/利益を​提供できなくても、なぜ
 それが重要かを理解でき​れば、対応を考えられる。​

【 事例 】​
お客様:「提案内容はよく分かりました。でも、ちょっと気になる点がありましてね」​
セールス:「そうですか。それはどのような点が気になっていますか?
お聞かせください」​

【 ポイントは 】
心配事解消のために、お客様に接する際の心構え​
・積極的に対応する​
・会話を促す努力をする​
・お客様の考え、気持ちを尊重する​
・結論を急がず、粘り強く取り組む​
※ お客様と議論を闘うのではありません。​お客様を論破するのでもありません。例えば、「ああ言えば、こう言う」ではない​

心配事解消のスキル(2)

■ 誤解の解消
先ずは:心配事を理解するための質問を実施する
どのタイミングで:営業(セールス)が伝えているメリット
(ベネフィット)を、提供して貰えないのではないか、とお客様が
訝しがっているのが明らかなとき

■ 具体的なスキルは
1.心配事を「ニーズ」に置き換え確認
  ↓ ↓ ↓
2.プレゼンの実施
 
・ニーズの受け止め
 ・関連する利点、利益の紹介
 ・合意の確認
例えば:
お客様は、デジタルプリントに次の特徴と利点があることを知りません。
特徴:デジタルプリント
利点:デジタル入稿のため、直前まで訂正・修正が可能

① 心配事をニーズに置き換え確認とは?
後ろ向きな言葉を「~したい」というニーズの表現に置き換えて確認する
【以下で事例を説明します】
=======
【事例】
お客様:「デジタルプリントシステムによって、在庫管理の心配をしなくてもよいという点は気に入りました。でも・・・デジタルプリントシステムには、心配な点があるんです。
うちは、部門毎にそれぞれ扱う商品が違うため、リーフレットの急な変更や修正に対応できないと、すべて私にクレームが入ってきます。只でさえ忙しいのに、その管理までとなると、私としては、頭が痛いです。」
営業マン:「なるほど・・・という事は、デジタルプリントシステムは印刷に入る間際(ギリギリ)まで、修正や変更に対応できるものでなければならないという事ですか?」
お客様:「そうです!それができればね」

② プレゼンの実施とは!?(FABE)
営業マン: ※ まずは<ニーズの受け止め>
「デジタルプリントシステムを検討されるときは、仕事の流れに細心の注意を配らなければならないのは、大変ですよね」

営業マン: ※ 次に<関連する利点、利益の紹介>
「ご安心ください。幸い、私どもがお勧めしておりますデジタルプリントシステムは、従来の印刷方式の版を作ってプリントする方式と異なり、デジタル入稿のため、間際までの訂正・修正が可能です。ですから、プリント直前の急な修正・変更にも対応できますので、他部門からのクレームに悩まされるといったお悩みからも解放されます」

営業マン: ※ 最後に<合意の確認>
「いかがでしょうか。納得(理解)頂けたでしょうか」

心配事解消のスキル(3)

【不審の解消とは】
先ずは:心配事を理解するための質問を実施する(くれぐれも自身の
   考えを押しつけない。思い込みを決めつけない)
どのタイミングで:ある特徴と利点/利益に対して、お客様が満足して
        いないことが明らかなとき。

■ 具体的なスキルは
1.心配事の受け止め
2.より大きな視点に注目
(もって行く)
3.受け入れられた利点・利益の重要性を強調
4.合意の確認

【事例】
お客様は次のような不満の言葉を表明しました
お客様:「確かに良いことは理解しました。しかし・・・・この見積り金額をもう少し考えてもらわないと」

※ 心配事の受け止め:
お客様の心配事を理解し尊重している姿勢をわかってもらう

営業マン:「そうですか。採用の際に少しでも費用を抑えたいということは、よくわかりました。私も○○様の立場なら、そう考えます」

※ より大きな視点に注目:
他のニーズも考慮した、全体像の中で、不満を引き起こしているニーズがどのくらい重要なものなのかを、お客様に考えてもらうために、少し話を戻して、大きな視点から見てもらうように促す。

営業マン:「それでは○○様よろしいですか。○○様から伺ったことを踏まえてご提案いたしました。新しいソリューションで今期の出費を抑えるコスト削減についてどうだったか、振り返ってみたいと思いますが、よろしいでしょうか?」

※ 受け入れられた利点・利益の重要性を強調:
私たちが満たせないニーズよりも、満たせるニーズの方がお客様にとって大きな意味があることを認識してもらう。

営業マン:「○○様、ちょっとよろしいですか・・・デジタルプリントシステムを採用した場合、今まで毎月発生していた、受付業務の管理、手配にかかるコスト、コールセンターのコストも大幅に削減できる点を話し合ってきました。更に、ターゲット・既存顧客とそれぞれの顧客が反応した内容を、リアルタイムでアプローチし、顧客の流出も防ぎ、新たなファンを獲得することができます。

営業マン:また、経費削減の効果も考慮頂くと、無駄な予算を使わずに大きな成果を得られることになります。」(FABE話法を使ってまとめる。)

※ 合意の確認:
お客様の不満が解消され、合意したかの確認

営業マン:「いかがでしょうか! これでしたら、お役に立てるのではないでしょうか!?」

タイミングを掴む!!「買い信号をキャッチ!」

さて、「心配事の解消」で「合意の確認」まで取ることが出来、ここからは一気にクローズ(契約)まで進めます。お客様の「仕事の緊張感」はピークに達しています。それを読み取るには観察が大切です。
お客様は、今までと違った行動・しぐさ・発言・表情をします。
これがピークに達した信号です。
お客様が発信する信号を確実にキャッチできるよう、商談に集中することです。

■ お客様の信号は!?
1.動作・表情の場合
・今まで会話していたのが…急に黙して考え込む
・思索顔が明るくなった
・パンフレット/提案書をもう一度見直す
・体を乗り出して、真剣に話を聴いている
・一点をみて考え込んでいる

2.言葉での信号の場合
・条件のダメ押しをしてきた
・納期を気にする
・同じ質問を何度もする
・付加サービスについて質問する
・値切り

3.動作と言葉での信号の場合
・第三者を呼んで相談
・別室へ移る
・「よわったな…」「困ったな…」と頭をかく

ゴール(契約)に進む

お客様が「前向きな信号」を出し、営業マンが信号を受け取りタイミングを掴んだら、ゴール(契約)に進むことです。

■ タイミングを掴んだら、一気にゴールを目指す
ここでは代表的なクロージング【決め言葉】を紹介します。

① 仮定クロージング
決断を促すため、間違いなく契約すると仮定して「質問」をする方法
例:「今期の重点課題であるLTV(ライフタイムヴァリュー)のアップ(顧客の囲い込み)に掛けるためにも、早速顧客DBの確認とターゲティングを、明日15日から実施しませんか」

② 選択クロージング
二者択一な「質問」をすることで、答えを選ばせる。
例:「キャンペーンが来月と考えると、DMの発送は今週と来週どちらがよろしいですか」

③ 要請クロージング
素直に契約を要請する。
「是非とも、契約の程よろしくお願いします。」
「ご一緒に、LTV up(顧客囲い込み)戦略を成功に導きましょう」
※ お客様は「信号」を出した時点で、誰かに背中を押してほしいと考えています。信号を受け取り、勇気を持って背中を押しましょう。

■ 結論を迫る
「よしやるよ」「おたくに決めようか」
などの言葉を待っているようでは、商談を締結することはできません。
「信号」を受け取ったら、こちら側から積極的に働きかけること

■ 契約条件を明確にする
・システム導入、開始の条件
・支払いについて
・法律など、保護条件について

■ 契約書、約定書、SLAの締結
・内容説明、サインナップ
・決めて頂いた正しさを訴える
(お客様の意思決定が正しいことを強調する)
・横やりが入ることを伝える(他社、別部門)

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まとめ:セールス(営業)マン Part4

私が主催する「ビジネストレーニング(研修会)」で、参加者の方が
言われることに、
「この分析の仕方知ってます。研修で遣った事があります」
「このフレームワーク、ビジネス書に載っていて知ってます」
「マーケティングのセミナーで習った事があります」 とか。
全く知識がない状態で臨むのとでは「知った」状態で臨む方が良いと思いますが、残念ながら成果に結びつけるのは難しいです。
特にセールスに関しては難しいです。

ニーズを引き出し、プレゼンテーションをしてクロージング。
リアルタイムにお客様がいらっしゃる状態で進めていきます。
解っているだけでは、運がよくお客様が始めからニーズが明確で「契約しよう」と決めている場合以外は、なかなか成約に結び付きません。
思い通りに成果に結びつけるには、お伝えしてきたスキルを充分に理解し身につける。身につける為には、様々な場面を想定し定期的なトレーニングが必要です。更にトレーニング内容を的確にフィードバックしてもらうことです、日々努めてください。
皆さんの素晴らしい成果を期待しております。



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