木村佳代子

画家 / 美術家 / Painter / Artist / https://www.kayokokimura.com/

木村佳代子

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最近の記事

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美術作家ってなんだ

私は絵を描いている。ここ7~8年はおもに花の造形を利用した世界の概念図みたいなものに取り組んでいる。 アートに触れる機会が少ない人との自己紹介で、「風景画ですか?油絵ですか?」と返された時には、「お花の絵、描いてます(ニッコリ)」となって非常に便利だ。 私たち美術系作家は自分たちのことを単に「作家」と呼ぶことが多いが、一般的には作家というと小説家やエッセイストなどの文筆業をイメージするはずだ。この投稿のタイトルに「美術作家」と書いたのは文筆業との違いがわかるようにするためで

    • 「FLORAISON 木村佳代子作品集」関連まとめ

      作品集の刊行を機に重い腰を上げて3年ぶりにnoteを書いてます。 そう、11/7に初の画集が発売されます!! 「FLORAISON フロレゾン 木村佳代子作品集」 発行:日貿出版社 価格:4,400円 (税込) 発売日:2024年11月7日(木) 仕様:128ページ、A4変形、作品約90点掲載 花を題材に描き始めてから10余年、未発表最新作までの軌跡です。 10月30日現在、ご予約を以下の方法で承っております。 ▼ギャルリーためなが http://tamenaga.com

      • アートフェア東京2021

        3/18~3/21の期間、美術作品の展示販売を目的としたアートのお祭り、アートフェア東京(以下AFT)が開催された。 昨年中止となった2年ぶりのAFT、新型コロナ感染症対策のため顔認証による事前予約制のなか、大きな混乱もなく盛況のうち終了。 今回私はエキジビター側として参加した。 自分が出展側になると思いのほか忙しく、ゆっくり他のギャラリーブースを見て回ることができなかったのだけど、久しぶりの大きなフェアにどのセクションも賑わっていたように思う。 客層は30代くらいが

        • 美術館・ギャラリーはいつ回るのが最適か

          この世には「横浜美術館の罠」というものが存在する。 首都圏の多くの美術館が月曜火曜が休館日の中、横浜美術館は木曜が休館日なのだ。 横浜美術館は駅からも遠く、正面玄関まで行って「休館日」の文字を目にしたときの「あああああああ」と頭を抱える姿は比類なき惨劇である。 とまあ、かなり大げさではあるが、営業時間も美術館によってかなり幅があり、公立か私立かによっても大きく違ったりするので、訪れる際は注意が必要だ。 とくに公立美術館は都市部でも駅から離れていたり、最終入場が16:30と営

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        美術作家ってなんだ

          コロナ禍のプチ旅行 番外編

          美術館めぐりの合間に、美味しいものをたくさん食べた。 まずはカレー。 大好きなタイ風カレー。ワンプレートで2つの味を選べる。エビのココナツカレーと野菜のカレーを食べた。美味しい美味しい。 ここは交差点のかどにあり、大きなガラス窓に向かってカウンターとスツールがならぶカフェスタイル。 食後のチャイもおいしかったし素敵なお店だった。また行きたい。 移動して、どーん。かき氷。 ラズベリーとピスタチオエスプーマのかき氷と、桃とカマンベールチーズのかき氷。 昔ながらのガリガリし

          コロナ禍のプチ旅行 番外編

          コロナ禍のプチ旅行2

          前橋で一泊し、群馬県立美術館へ。 ここでは企画展が二つ開催されていた。 ひとつは「catch the eyes-目から心へ-」。 野又穫のペインティングやマティスの版画など、近現代平面作品が並んでいた。これら全てが、収蔵・寄託ということだった。 中でも、500号くらいありそうな李禹煥の再現ペインティング3点が文字通り異彩を放つ。 一度目にしたら眼球にまとわりついて離れない、蛍光色のスプレーペインティングが会場を支配していた。 もう一つは「絵画のミカタ」。 現代作家の作品と

          コロナ禍のプチ旅行2

          コロナ禍のプチ旅行1

          どこかに行くのが大好きなのに、コロナ禍でどこにも行けない、というか行きづらい。 外出好き人間にとって、移動を制限されるのがこれほど辛いとは思わなかった。 県外ナンバーの車が石を投げられたとか、汚染都市東京って目で見られるとか、事実か都市伝説かもわからない情報にビクビクしているのがアホらしくなったのもある。 というわけで急きょ思い立ち、1泊で群馬に行ってきた。 その記録を何回かに分けて記事にしようと思う。 最終目的地は高崎市美術館、見たい展覧会がある。 館林美術館を中継地

          コロナ禍のプチ旅行1

          最近のこと

          随分久しぶりのnoteになってしまった。 ことしは3月から5月までの予定が詰まっていたので、年が明けてから2月末までは制作や打ち合わせに追われていた。そのためnoteは時間に余裕ができたときに書こうと思い、小さな下書きをいくつか用意していた。 3月になり、多くの美術作家同様、5月までのすべての予定がなくなった。 こうなると準備していた文章もお蔵入りとなる。 美術の世界は美術館を皮切りに、百貨店やギャラリーが次々に休業となった。そんな中でこれまでの作家活動を中心に語ることの

          最近のこと

          noteを選んだわけ

          最近、ツイッターの休眠アカウントが削除されるかもしれないというニュースが駆け巡った。故人のアカウントやイベントアカウントなど、稼働はしていないけどメモリアルにフォローしている人にとっては「冗談じゃない」ところ。幸い、適用されるのは欧州圏ということで、現時点で日本は対象外のようだ。 インターネットが一般に浸透し始めて20年あまりがたつ。20年前、大学を出たばかりの私は奨学金500万円の返済を抱え、とにかくまずは働かなければならなかった。と言ってもまともに就職活動をしたわけでも

          noteを選んだわけ

          もののあはれと計画性

          1673年、誰に対しても同じ価格で商品を販売する「正札(しょうふだ)販売」が始まる。革新的な方法だったらしく、今に至るまで小売業は値札販売が世界標準だ。これを始めたのが三井越後屋、今の三越だという。 「もののあはれ」からもわかるように、日本語には情緒的な言葉を大切にする美意識があって、もちろんそれは私も好きだ。感情を表すときには数値を使うより、最近でいうところの「エモい」のほうが共感を得られたりする。 「しばらくSNSを休みます」と発信した人が数日で復帰してるのを見るにつ

          もののあはれと計画性

          展示作品に触れてはいけない理由

          あいちトリエンナーレの芸術文化センタ-を回っていた際に、こんな会話が聞こえてきた。 「向こう側に行くのにどうしたらよいのでしょう?ここを通ってよいのでしょうか?」 「大丈夫ですよ、そのまま作品の間を通ってください。」 「そうですか、すみません。美術館に来たことないので全然分からなくて。」 ↑この間。 立ち入り禁止エリアにロープや線が引かれているように、進入禁止箇所に意志表示があればどんな人も気づくだろう。でも「入ってもよい場所」には表示がない場面がほとんどで、美術展に行

          展示作品に触れてはいけない理由

          あいちトリエンナーレ

          1日半の強行日程で、あいちトリエンナーレに行ってきた。すべては回れなかったけど、ピックアップした展示をダダダダと紹介したい。 ユェン・グァンミン 「トゥモローランド」 パク・チャンキョン 「チャイルド・ソルジャー」 ミリアム・カーン タニア・ブルゲラ 「43126」 クラウディア・マルティネス・ガライ 「・・・でも、あなたは私のものと一緒にいられる・・・」 アンナ・ヴィット 「60分間の笑顔」 ウーゴ・ロンディノーネ 「孤独のボキャブラリー」 キャンディス・ブ

          あいちトリエンナーレ

          展覧会へのおすすめ手土産

          ギャラリーで開催される展覧会の多くが入場無料なこともあり、お花やお菓子などの差し入れをくださる方も多い。普段ギャラリーに行きなれない知人から差し入れをいただいた際に「ググったらお菓子が無難と出てきた」と言われたことからも、「展覧会に行く=お土産持参」という図式が少なからず浸透しているようだ。 「ラフな服装で」と言ってもソコソコ恥ずかしくない格好をするように、「手ぶらで」と言われても何かしら持参しないと格好がつかない気がする、というのもよくわかる話だ。ただ、ほとんどの作家は、

          展覧会へのおすすめ手土産

          私たちは何も知らない

          ソクラテスの「無知の知」の話が好きだ。好きと言っても哲学書を読むとか詳しいとかそういうことではない。「自分は世の中のことを全然知らない」と思う姿勢が好きだ。 美術関係者が全ての美術作品を理解できるかといえばそうではない。私もアートのことはまだまだ全然知らない。好きな作品もあれば嫌いな作品もある、理解できる表現もあれば理解できない表現もある。 本や映画もそうだろう。フィクションが好きな人もいればノンフィクションが好きな人もいる。美しいものを好む人もいれば、面白さや新鮮さに価

          私たちは何も知らない

          アート=自己表現ではない

          いつから誰が言い出したのか、アート作品は自己表現の産物だと思っているひとが一定数いるような気がする。絵を描いたり木を彫ったりは一つの表現手段ではあるが、それは必ずしも「自己を表現する」ことではない。 つねに内なる自分から何かが湧きつづけるシンゴジラみたいな人もいるかもしれないが、「私ってこんな人間です!私をみて!」的パフォーマンスは日常の反発から生じるものだし、それが常態化したら内面は枯渇し別の反発が生まれるはずだ。 思考を視覚化させようとする行為は自己表現とはちょっと違う

          アート=自己表現ではない

          ギャラリーは本当に敷居が高いのか

          「クリムトっていう人の作品を写真でみたんだけど、何を感じれば良いのかさっぱりわからなかったんですよね」 普段アートに縁遠いと思われる知人からこう言われた瞬間、ファイッ!と脳内ゴングが鳴り響いた私は小中高の美術教育について暑苦しく語ってしまい、ヒートアップする私と反比例するようにその場には氷河期が訪れたのであった。いや、ほんと、ごめん。 さて、たまに目にする意見として「ギャラリーは敷居が高い」というものがある。ほとんどの美術関係者は「んなこたない」と思っているはずだが、これに

          ギャラリーは本当に敷居が高いのか