コロナ禍のプチ旅行2
前橋で一泊し、群馬県立美術館へ。
ここでは企画展が二つ開催されていた。
ひとつは「catch the eyes-目から心へ-」。
野又穫のペインティングやマティスの版画など、近現代平面作品が並んでいた。これら全てが、収蔵・寄託ということだった。
中でも、500号くらいありそうな李禹煥の再現ペインティング3点が文字通り異彩を放つ。
一度目にしたら眼球にまとわりついて離れない、蛍光色のスプレーペインティングが会場を支配していた。
もう一つは「絵画のミカタ」。
現代作家の作品と、その作家が美術館コレクションから選んだ作品を並列展示していた。
最近こういった混交展示をよく見かけるが、時代や希少性などの先入観なく作品を観ることができるので結構好きだ。
遠目から見てあの絵いいな、とおもったら中村一美作品だった。
撮影禁止と撮影可の作品が混雑していたので、カタログから。
左から丸山直文、中村一美、門田光雅の3作品。門田光雅さんは絵の具の質感や筆致に焦点を当て、いまだに油絵の具の匂いがしてきそうな作品を、コレクションの中から選んでいると感じた。
この美術館では、お土産に陶器でできた小さな家を買った。
舘林美術館で安野光雅展見てきたばかりだったから、脳内が旅の絵本になっていた可能性もある。
かわいいかわいい。こういうの、飾って楽しむより、おもちゃみたいにガチャガチャ触っているのが好きだ。あれこれ配置を変えて眺めてる。
群馬県立美術館は展示スペースの天井が高く、コレクションも豊富でとても良い美術館だった。外観や内装の写真を一枚も撮らなかったことが悔やまれる。
群馬県立美術館
http://mmag.pref.gunma.jp/
その後、最終目的地の高崎市美術館、「Flower展」へ。
「生命の花」「暗示する花」「女神の花」「増殖する花」というテーマで、6人の作家を個展形式で紹介する展覧会。
参加作家は、ホセ・マリア・シシリア、新恵美佐子、大村雪乃、ましもゆき、大竹夏紀、渡辺香奈。
ポスターやパンフレットのキービジュアルとなっている渡辺香奈さんの作品は、10メートルくらいある。
ましもゆき作品はフラクタル図形のような連続性の中に、ドキッとするような緻密な世界が描かれる。大好きな作家だ。
渡辺さん、ましもさんの展示室は建物の形状に合わせて扇型をしている。アールの壁を活かした展示構成がとても見やすかった。
自分がもしここで展示するなら、、と考えるのも楽しい。
高崎市美術館は駅前にあって、電車でも行きやすい。建物は大きくないけど、展示室が3階まであり物足りなさは感じなかった。内装が科学博物館ぽいのも面白い。
Flower展は2020年8月30日まで。
高崎市美術館のインフォメーションページ
https://www.city.takasaki.gunma.jp/docs/2014011000353/
群馬にはアーティストが多数生活しているらしい。東京にもアクセスしやすく、美術関係の施設やサービスが多いそうだ。
どこに行ってもそうだけど、短期訪問は良い面ばかりが目についてしまう。実際に暮らすとなると、その土地に馴染めるひと馴染めないひとが出てくるだろう。
自分がここで生活したら馴染めるだろうか、とぼんやり考えた。
私の生まれは東京で、これまでも今もほぼ首都圏に住んでいる。田舎や実家というものが無いから、地方をずいぶん羨ましく思った時期もあった。
逆に言えば、都市部特有の恩恵を受けて生きてきたことになる。そのことには自覚的であるべきだろうと思う。
見たい行きたい美術館やギャラリーが、まだまだ前橋・高崎エリアにはたくさんあった。
コロナ対応で企画がなくなっている場所も多く、なにより死を意識するほどの暑さでは無理はできないとあきらめる。
家に帰るまでが遠足なのだ。
番外編へとつづく。