「読書感想文って必要なくない?」について。
先日twitterでトレンド入りした「読書感想文って必要なくない?」について。
読書感想文、ツラかったなー。あらすじで大半を埋めるのは違うんだろうなとは思いつつ、どうやって書いたら正解なのかが全然分からなかった。twitterでも文字数埋まるかどうかなのに原稿用紙3枚とか言われた日には、、、その文字数を言語化する時点で感じたこと以上に取り繕った文字が並んでしまうのが目に浮かぶ。
そもそも読書感想文って難しい
今になって考えてみると、企画書や提案資料を作るくらいのスキルを必要とされている気がする。ドリルをやるのとは訳が違う。課題図書を読んで感想文を書きましょうと簡単には言えない。全然難しい。
制作の過程
読書感想文を完成させるまでの過程を分解して考えてみる。
1.本を読む
第一のハードル。まずは本を読まないと始まらない。活字慣れしていないとちょっと大変。大変かもしれないけれど、ここは頑張ろう。
2.感想を持つ
意外とこれがキツいんじゃないだろうか。「面白い!」と思える本ならまだしも、共感も感情移入もできなかった本に対しては感想も何もない。もしそうなったら、スパッと諦めて別の本に着手するべきなんだろうが、課題図書が決まっていたりそもそも読書が苦痛だったりすると余計にキツい。必ずしも感動したとか学びを得たである必要はない。笑ってしまったとかここは変だったとかあの登場人物ならあんな行動しないとかツッコミ入れたくなることでも。
3.感想を言語化する
例えば映画を観たとする。すごく良かった。面白かった。と思ってもそれだけでは足りない。なんとなく面白かったでは感想文には至らない。作品の「どんなところ」に対して「どう思ったのか」を整理しよう。作品全体ではなくできるだけ細かく、どのシーンの何に注目して(セリフ?ストーリー展開?演技?)どう思ったのかを、そして具体的に言語化し徐々に文章に近づけていく。
4.説明を入れる
もしかしたら余計なのかもしれないが、その本を読んだことがない人にも伝わるようにとか考え始めると、書く感想の「どんなところ」を具体的に説明しないといけない。要約スキルも必要になってくるし、読み返したり該当シーンを探さないといけない。慣れてくれば初回に読んでいる時から付箋を使うのかも。
5.文章量を満たす
原稿用紙●枚以上。なんて制限があったらなおさら大変。感じたことを全て書いても文字数が足りないかもしれない。そうなれば正直な感想は二の次で、必死にカサ増しすることになる。
課題としての読書感想文
読書感想文を書きましょうというただ1つの課題かもしれないが、こなすにはこれだけの過程が必要で、それぞれでつまづく可能性があるし、どこでつまづいても完成しない。
小説好きとしては、せめて読書嫌いにはならないでほしい。
読書感想文という課題は、文章に触れる機会・読解力・思考の整理・言語化・文章力・論理的思考などが刺激される、とても良いものだと思う。だからこそ成果物だけではなく過程に寄り添えると美しい。別に学校に押し付けなくても、家庭でも塾でも自治体でも。まず感想を持ってもらうためにたくさんの書籍を紹介してそこから好きな本を選んでもらうとか、自分の感想が整理できないなら「どこがすごかった?」「それってどのシーン?」など会話で整理を促すとか。
読書や作文が目的なら、別に「鬼滅の刃」ノベライズ版だっていいじゃないか。
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