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理解につながる「聴く」を努力して実践する

『 LISTEN』

とにかく僕は人の話を聞くことできないんです。「聞くこと」のできない自分を意識したのは娘が生まれてから。言葉を話し出し、会話ができるようになった娘の話を遮って話してしまうことがあるなと自覚した瞬間があったのです。

「昨日ね、〇〇ちゃんがね、保育園をね、」と娘が言ったところで、「あら休み?風邪ひいちゃったかな?」と娘がこれから話すであろう言葉を予測し、娘の言葉を奪って会話してしまったことがありました。

娘が言いたいことを娘の言葉が終わる前から予測して補足する形でこちらが喋ってしまう。娘は「そうそうそれ言いたかったんだ」という気持ちと「まだ私が考えていること話しきってない」という気持ちを合わせたような半分笑って半分苦い娘の顔を見た時に「あっこれはいけないぞ」と感じました。

思い返してみると僕は学生に対しても同じことをしていたなと。「先生これ、、」と何かを聞きたそうに話してきた学生に対して「あぁそれはあっちに持っていって〇〇すればいいよ」と、学生がまだ自分が聞きたいことを話す前から、聞きたいであろうことを汲み取って話してしまう。

あぁ僕は人が話すことを待てないんだなぁとしっかりと認識しました。

そこから「聞く」を知りたいと思うようになります。「聞く」を意識するほどに、そもそも「聞く」って意識したことがなかったし、どうやって「聞く」か知らない。そんなときに書店で出会ったのが『LISTEN』です。

読み進めていくと、まさに自分のことを書いていると思う箇所が何度も出てきます。

誰かと話をしているときに、自分の頭に浮かんだ考えに気を取られてしまい、相手の話が「音声オフ」の状態のようになってしまった経験はありませんか?
言葉をさえぎって話してくる人は、自分が思いついた何かをあなたもきっと聞きたいだろうと思っている。

相手がはなしているとき、その話を聞くことよりも「次に話すこと」を考えてしまっている。だから相手の話を「聞く」ことができない。僕は話を聞いているようで頭の中で「寄り道」をしていたんです。

そんな寄り道状態で相手の話を聞いていない僕のような人が会話の中で相手の話に集中し、「聴く」ことができるようになるヒントが本書には散りばめられています。その中でも、僕がとても印象に残ったのは以下の文章。

相手の言葉をじっくり考えることは自分の心にその人を招き入れること

確かに誰かのことを想う時って、その人と話している時よりも、会話の後でその人と話していた時のことを思い出す時だよなぁと思います。相手の言葉を後になってじっくり思い出して「聞く」ことで友情や愛情が育つんだなぁと感じました。

相手が発した言葉をしっかりと聞いていなければ、この思い出すという行為もできません。自分の頭の中で寄り道をせず、話し手に全ての意識を集中することであとで思い出す言葉を聞き、娘や学生に対する想いを育てていけたらなと考えています。


聴くことのゴールは理解

もう一つ印象に残ったのがこの言葉。この本を読むまで僕にとっての「聴く」は自分が話し始めるための「きっかけ」と捉えていたんだと思います。相手の話し手にとって僕が次に話すことが役に立つであろう、そのために相手が何を話してほしいかを考えながら相手の話を聞いていたんです。でもそれって全然聴くことができていなかった。相手を理解することからは程遠い聞き方でした。

これからは相手の話を聞いている時に、次に自分が話すことを考えるのをやめ、相手の言葉を聴くことにあらゆる認知能力を傾けようと考えるようになりました。本書に出てきた「聴く」を努力して実践していきたいなと思います。それが娘や学生のことを理解し、彼らの才能を共有することにつながり、さらには僕自身のことを理解することにもつながるはずですから。


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