キウイと肉とコラーゲンと note食品学6食目
むか〜しむかし、家の庭に大きなキウイの木が植っていました。毎年たくさんの大きな実をつけて、箱いっぱいに収穫して家族みんなでキウイを楽しみました。
すんごーく甘いキウイは少なくて、だいたい酸味が強くて果肉も硬めのものが多かった記憶があります。今スーパーの店頭で並ぶキウイはものすごく甘くて、果肉も柔らかいものが多いですね。
みなさんはキウイそのまま食べるだけですか?キウイがお肉を柔らかくするって聞いたことないですか?そんなのもうやってるよ〜って方もいるかもしれません。
では、なぜキウイが肉を柔らかくするのでしょうか?
今回のnote食品学では、キウイと肉とコラーゲンの関係を考えてみます。
肉のたんぱく質について
まずは肉について考えていきます。今回は肉に含まれるたんぱく質が重要な働きをします。
肉たんぱく質の中身がどうなっているかと言うと、細胞内のたんぱく質と細胞街のたんぱく質に分かれます。
筋原繊維たんぱく質は、主に筋収縮に関与するたんぱく質で、アクチンやミオシンが含まれる繊維状のたんぱく質です。同じく細胞内たんぱく質の筋形質たんぱく質は筋繊維の間隙を埋めているいる球状たんぱく質で、ミオグロビンや多くの酵素がを含みます。肉基質たんぱく質は、筋膜や腱などの結合組織に存在するたんぱく質で、コラーゲンやエラスチンがあります。
肉の硬さは肉基質たんぱく質の量に関係します。牛肉や豚肉などの畜肉に比べて、肉基質たんぱく質が少ない魚肉は柔らかく、消化も良くなります。
畜肉に比べて肉基質たんぱく質が少ない魚肉ですが、その中でも硬さに違いがあります。魚の刺身を食べる人は気づいているかもしれませんが、刺身ごとの切り身の厚さが関係しています。
マグロやカツオなどの赤みの魚は、柔らかく、ヒラメやフグなど白身の魚は硬いのは、肉基質たんぱく質のコラーゲン量の違いがあります。
コラーゲンが少ない赤身の魚肉は、厚めに切り、コラーゲンの多い硬い白身の魚は薄造りにします。コラーゲン量の違いから、食べた時の食感や噛み切れる厚さを考慮した切り方をしてるんですねぇ
肉を柔らかくする方法
さて、肉のタンパク質、とくに肉基質たんぱく質について学んできました。ここからは肉を柔らかくするための方法を考えていきます。
主にこのような方法があります。みなさんも料理の際には実践しているかもしれませんね。
・ひき肉にする
・筋繊維に直角に切る
・煮込む
・マリネする
ひき肉にしたり、筋繊維を切るのは、機械的に筋肉組織を切断することで柔らかくしようとする方法ですん。煮込むのは、結合組織を柔らかくすることになります。結合組織の主要なたんぱく質はコラーゲンです。肉を水と共に煮込むことで3重らせんのコラーゲンが一本にほどけたゼラチンに変化することで柔らかくなります。マリネは軟化効果がある酢と一緒に漬けることで肉を柔らかくする方法です。
キウイの肉軟化効果
このように色々な方法がありますが、最後にキウイの肉軟化効果のご紹介です。
皆さんもご経験あるかもしれませんが、キウイやパイナップル、パパインなどの果実と一緒に肉を漬け込むことで肉が柔らかくなります。
なんででしょうか?
これは、キウイやパイナップル、パパイヤなどにたんぱく質分解酵素が含まれているからです。たんぱく質分解酵素はプロテアーゼとも呼ばれますね。
キウイに含まれるプロテアーゼはアクチニジンといい、とくにコラーゲンを分解するコラゲナーゼ活性があると言います。
キウイの果肉をすりつぶして肉と一緒につけておくと、肉の硬さを決めている肉基質たんぱく質のコラーゲンが分解されて、柔らかくなると言うわけです。
キウイそのまま食べてももちろん美味しいですが、含まれるプロテアーゼを生かして肉を柔らかくしてみるのにも一役買ってくれる素晴らしい果物なんですねぇ。
キウイと肉とコラーゲンレシピ
キウイを使って肉を柔らかくしたレシピを医療栄養学科のクックパッドからご紹介します!
最後に
キウイと肉とコラーゲンの関係について学んできた今回のnote。
キウイが肉を柔らかくする理由を考えるヒントはありましたか?
食品学は、普段の生活の中に多くの学びが存在する学問です。ぜひ調理をしたり、お菓子を作ったりするとき、また食事や食材の買い出しの際に、「食品」に目を向けて、そこに含まれる成分や反応について少し考えてみてください。
自分の目で見て、頭で考え、作ってみて、そして食べてみる。この経験をどんどん積み重ねていくことが管理栄養士となった時のあなたにとって役に立つはずです。
それでは、ごちそうさまでした。
【参考文献】
新版 調理と理論 山崎清子・島田キミエ・渋川祥子・下村道子 同文書院