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小編「触れたい足し算」


私たちには、体と心で触れらるものがある。
体でいうと、五感として触れるもの。

手足の甲、指から触れる感触と温度。
嗅覚だと香りや匂い。
耳からは音やその重み。
視覚からは光景や人、街、光の色彩や光沢を。

その総体は頭から心へ血流のごとく流れていく。

そこから物事に対する感情と認識が誕生する。

触れるものの感触と私たちのこれまで培った経験や知識を足し算して、頭から号令が出る。

「次はこうした方がいい」

その号令によって、挫折や成功、幸せや闇、何より欲が垣間見えてくる。

すべては頭と心から。

自分以外の誰からでもない「号令」でGOする私たち。
十人十色の号令たち。

触れるものが多い程、日々増していく号令。
いつも頭と会話する。

「本当にその号令でいいの」
「そうだよ。全て足し算したら、答えは出るんだから」

それならそうか。足し算の答えは間違えていないだろう。
1+1=2、これは何だかだ言って正解なのだから。

「わかった。そうするね。頑張ろうよ」
「君がね。頑張ってね。私は集計係だから」
「そうだったね。私が頑張るんだ、誰も代わりに頑張ってくれないしね 」

号令に従う日々、幸福<挫折を感じればまた頭と相談の繰り返しだ。

「ねえ、計算あってるかな。疑ってる訳ではないんだけど…」
「合ってるよ。集計は間違いないから」

集計に間違えない。でも集計の大元って、経験と触れるものだったか。

「私の経験と触れるものが増えたら集計変わるよね?」
「もちろん。大元の情報が変われば、そりゃ答えも変わるよ」

「それじゃ、今から全て捨ててホームレスになってぼーっと過ごしたら」
「それはまだ答え出せないよ。まだ集計できてないんだから」

案外頭任せにしていた私は心を忘れていた。
心に聞いた

「今から、フルート弾きたいから練習する。あと愛を知りたいから触れる人増やすけどどう思う?」

「そうしたいなら、そうすればいいと思う。」

答えにならないな。

「でも一つ言うなら、心で感じたことも答えの一つだよ。答えはたくさんある」

心と頭に相談するバランス。
とりあえず動く体と毎日集計する頭。

外の情報ばかりに触れて心に触れるのを忘れていた。

「君がそうしたいなら、すればいいと思う。」

こんな単純で純粋な答えは他にない。
自分の心に耳を傾ける。そこから聞こえる鼓動には生きている感触と温もりを感じる。

暖かい心からの感情と、頭から冷ややかな熱。
二つを織り交ぜ、心地いい季節のような感触を覚える。

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