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写真と民俗【福島県 前沢曲家集落&橋場のばんば】
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どうもメダカです初めましての方は初めまして。
今回は福島県の前沢曲家集落と橋場のばんばの2か所に行ってきました。
前沢曲家集落
東北地方にある曲屋(まがりや)って知ってますか?
家の半分が厩で半分が居住区で馬と人とが一緒に暮らす東北地方にある古典的な住宅です。
形がL字になっている事から曲家と呼ばれます。
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左側が人間ゾーン・右側が厩ゾーン
東北地方の冬は非常に冷えるため、厩と人の住むスペースを分けると馬が凍え死んでしまうので、人と馬が一緒に住み暖を取れるよう作られたのが曲屋です。
昔の倫理観で言うと、家畜はぞんざいに扱ってそうなイメージがあると思いますが、家畜は農家にとっては非常に重要な農耕具であり財産です。
馬や牛は大切に扱われ、東北地方では馬を信仰する民間信仰なんかもあります。
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この囲炉裏の煤で家の天井などが真っ黒になりますが、これがニスの代わりになり、虫食いを防ぎコーティングにより建物自体も強くなります。
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ちなみに少しわかりづらいですが、はりの上に御幣(ごへい)が見えると思います、昔の家では神様は一番高い所に祀る事が多かったので、天井裏などにこうして祀られています。
古い家に行く機会があれば天上裏を見てみましょう。
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300年物らしいです
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ここに捕まえた鈴虫を飼っていたらしいです
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天上裏をよく見るとなんかありますね?
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これチ〇コや!
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どう見てもチ〇コですが、火伏せと呼ばれる火災よけのお守りです。
消火器とか消火栓の無い時代にすぐに水を出せる場所と言えば?
そうチ〇コですね。
なら女性器でもいいじゃんと思いますよね、写真は載せませんがもちろん女性器版の火伏せもあります。
火災よけのお守りでもありますが、同時に子宝祈願のお守りでもあります。
そりゃそうですよね。
昔の人はストレートな表現をするなって感じるかもしれませんが、
昔の人からすれば逆に回りくどい表現を好む現代人の方がおかしく見えるでしょうね。
施設の入り口には蕎麦屋もあります。
地元名物の団子もあります(名前は忘れました)
味はまあ期待するほどでもありませんでした。
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橋場のばんば
もう一か所紹介
福島県南部・檜枝岐村を通る国道352号沿いにばんばさま(おばあさん)の石像があります。
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新しい切れるハサミを供えると悪縁切りに、錆びた切れないハサミを供えると良い縁が切れないといわれています。
切りたくない縁がある時には、錆びて切れないだけでなく、ひもや針金でハサミが開かないようにぐるぐる巻きにしてお供えする方もいらっしゃいます。
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また、ばんばの頭にお椀のフタをかぶせると、どんな願いでもかなえてくれると言われています。
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ここはばんば様だけでなく、疱瘡の神様を祀る神社でもあります。
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元禄9年(1696)全国で流行った疱瘡 (天然痘)。
重郎兵衛の子・次郎助が疱瘡にかかった時に神が次郎助に乗りうつり、
神いわく「吾は疱瘡観音にして疱瘡神なり、吾は信濃国善光寺の境内に住おりしが、盗人に火を付けられ、そこを飛び出し、常陸出羽国を初め立岩村光照寺に7年、利根小中村に7年と諸国を廻り此地に至る。
当地は山川の眺め清く、民の心も誠実で住みよき所なれば、吾此地に永住し民の心の守神と成る。故社を建つべし・・・云々」
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要約すれば「オッス!おら疱瘡の神様。前は長野善光寺に居たんだけど馬鹿が建物に火を付けたから家が無くなってさ、あちこちを転々としてたんだけど、ここは眺めもいいし気に入ったからここに家建ててくんね?作ってくれたらここの守り神になったるわ」って感じですね。
というわけでここの疱瘡神の社が建てられました。
日本には不思議な民間信仰があり、祀れば何でも神様になるんです。
疱瘡が流行れば、疱瘡を神として祀り上げ疱瘡神社を作ります。
疱瘡をまき散らす荒ぶる神も、神社をつくられ氏子たちが祈れば
「そこまでされちゃあ仕方ねえ、守り神となって君たちを疱瘡からまもってしんぜよう」となるわけです。
本当に対象はなんでもいいですよ、僕が知ってる変わった神様だと、蚊取り線香を祀った【除虫菊神社】なんて物もあります。
コロナとインターネットの神様が出来ないのが不思議なくらいです。
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まとめ
いかがだったでしょうか?
今日は少し変わった民間信仰を二か所紹介しました。
全国にはまだまだ変わった民間信仰があります。
地元では特に珍しくもないけれど、全国的に見ると変わった文化はどこの地元にもある物です。
ぜひ変わった風習があればコメントで教えてください。