ハトヤホテル 2024
今年も(個人的に)ハトヤの季節がやってきた。
私は年に2回「ハトヤ」に行く。
「♪伊東に行くなら ハ・ト・ヤ 電話は ヨ・イ・フ・ロ」のテレビCMで(一定層には)お馴染みの、あの「ハトヤ」である。
実はハトヤは2種類ある。
山の方にあるのが「ハトヤホテル」、海沿いにあるのが「サンハトヤ」である(前者は『山ハト』、後者は『海ハト』なんていう通称もある)。
数年前から私は6月はサンハトヤに泊まり、12月にはハトヤホテルに泊まるようになった。
そして、ハトヤホテルのターンがやってきた。
出発の朝。
前日、映画『ロボット・ドリームズ』を鑑賞したため、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの名曲「セプテンバー」が頭の中でループで鳴り響いている。
踊り子号に乗車する。
朝食はさぼてんのエビかつサンド。タルタルうまい。
「おいしいミルクコーヒー」は甘さ控えめでスッキリした味わいだった。サンドに合うぜ……。
旅客車に乗るとき、私は「普段読まないコミック誌」を読むことにしている。旅行の楽しみの一つである。
それを読み終えたあとは、他に持ってきた文庫本を読んだり、少しウトウトするなどして車中を過ごした。
伊東駅着。
なんだか向こうにでっかい雲が見えているが、一応晴れている。
早速「スイートハウスわかば」へ。
伊東旅行の際は必ず立ち寄る喫茶店だ。
ホットコーヒーとホットケーキを注文する。
コーヒーを運んでくれたおやっさん(なんて呼んでいいんだろうか)が「うちのミルクは○○ホテルと同じもの使ってておいしいですよ、ぜひ入れて飲んでみてください」とお勧めされ、そのように飲む。
確かにうまいよおやっさん!
前回(半年前)もそんな風に声をかけてくれたことを思い出す。些細かもしれないけれど、こういうコミュニケーションは嬉しい。
ホットケーキもフワフワホクホクで美味しゅうございました。
駅前のマックスバリュで飲み物を仕入れる。
無料送迎バスも充実しているのでハトヤビギナーであれば駅からバスで行くのがベターであるが、私くらいの上級者ともなるとハトヤホテルまでの道のりも全身で感じたいので徒歩で行くことにしている。
ハトヤホテルは「山ハト」と呼ばれるだけあってけっこうな高台にある。
しばらくは平坦な道だが、途中から普段なら絶対遭遇しないような険しい坂道を登っていく必要があり、普通に息が切れる。
頭の中で「登攀」という単語がチカチカ点滅しだす。
やっとの思いでハトヤホテルに到着する。
仮チェックインを済ませる。
ハトヤホテル宿泊者はサンハトヤの温泉にも入れるので、そのチケットをもらう(逆もまた然りで、サンハトヤ宿泊者はハトヤの温泉利用OK)。
ハトヤホテルとサンハトヤをつなぐ、ホテル間送迎バスは当然あるのだが、私はここから山を降りて徒歩でサンハトヤを目指す。
その道中で見かけたものを写真でご紹介したい。
半年ぶりにサンハトヤ来訪。
ここはいつ来てもワクワクするなぁ。
さっそく温泉へ。
バスタオルは現地でレンタル可能だが、聡明な私は家から持ってきた。
向かうは温泉と水族館が悪魔合体、サンハトヤ名物「海底温泉」。
壁一面が巨大な水槽になっており、魚たちがゆらゆら泳ぐのを温泉に入りながら鑑賞できる。
青みがかった世界で物憂げに泳ぐ彼らを真正面にして温泉に浸かっていると、なんだか次第にトリップしてきて憂き世も忘れてくるというものだ。
そしてハトヤホテルには無い露天風呂がサンハトヤにはある。ここも高評価ポイント。
風呂上がり、休憩室で涼む。
サンハトヤ行きの送迎バスに乗る。
ハトヤホテルのチェックインは15時から。
全身でハトヤホテルを感じたいので、もちろん15時ちょうどにチェックインする。他に観光地はいらない。
部屋に入る。
「10帖和室でゆったり」プランということで持て余す広さ。
ただ、一人旅プランが無いレジャーホテルもある中、独り者でもこのように泊めさせてくれるのは本当にありがたい。
「旅の恥は掻き捨て」ということわざがある。
それとちょっと似た感覚を私に呼び起こさせる旅先のレジャーが「スクラッチ宝くじ」だ。
スクラッチ宝くじへの偏愛は今回ここでは語らないが、宝くじの中で私が唯一買うのがスクラッチである。
しかしまぁ~これが当たらない。
旅先であればハズれても「今は楽しい旅行中だしまぁいっか!」とテンション高めで乗り切れる気がするので、旅行のときだけスクラッチを買うことにしている。
伊東マリンタウンで購入したワンピーススクラッチ10枚組(2,000円)で、いざ勝負!
結果。
200円が1枚当たったのみ。
参加賞! 実質ハズレ!
でも大丈夫。自分が今ハトヤホテルに滞在しているという事実が、ハズレで負った心のキズをどんどん回復させていくから……。
プチギャンブルを終えて心の安静を取り戻したあとは、ここ数日サボっていた日記を書いたり、読書をしたり、テレ東「ザ・フィッシング」を見るなどして過ごした。
夕食バイキング。
今こそ欲望を解放するとき。
食後の腹ごなし。
ハトヤホテルには昔ながらの「ゲームコーナー」があるのも嬉しい。
私は普段パチンコはやらないのだが、年に1回だけ、ここのゲームコーナーにあるエヴァのパチンコを打つ。
過去の戦績は勝ったり負けたり負けたり(負け多め)。
上限金額1,000円と決めていざ勝負。
いくらリーチになれども、画面のシンジくんたちは使徒に負けてばっかり。大当たり出ず。
負けた。でも楽しかった。
それにしても「宝くじ」に「パチンコ」と、私の中には密かにギャンブル志向があるのかもしれない。
ハトヤは、そんな私のささやかな欲望の解放を優しく受け止めてくれる。
売店でおみやげ用の「ハトヤサブレ」を買う。
私がこの世で一番好きな番組「出没!アド街ック天国」を見る。本日は「鎌倉 雪ノ下」特集。
この旅行におけるメインイベントだ(言い切った)。
最高のホテルで最高のテレビを見る。これほどの贅沢はあるまい。
風呂に行く。
サンハトヤのような派手さは無いけども、ハトヤホテルの温泉はしみじみと熱く、心地よい。
ところで現在、ハトヤホテルでWi-Fiを使用できるのはロビー付近のみ(サンハトヤは最近客室でもWi-Fiが使えるようになった)。
風呂上がり、ロビーのソファで涼みがてらスマホであれやこれやをチェックする。
自室に戻り、NHK「熱談プレイバック」(講談師・神田阿久鯉、テーマ:手塚治虫)、TBS「人生最高レストラン」(ゲスト:倉本聰)を見る。
0時15分、消灯。
朝が来た。
6時にセットしたアラームで目覚める。
朝風呂へ向かう。
昔ハトヤホテルに泊まって印象深い出来事の一つとして、風呂場が白い湯気で充満して何も見えない状態のときがあった。
それが頭の中にあり、「この大量の湯気をボーっと眺めていると、明日からの社会生活も頑張れそうな気がするのだ」とかちょいエモげなこと書いてこの旅行記をいい感じにまとめることができそうだウシシシシと皮算用していたのだが、今回はまったく湯気が充満していなかった。
昨日の夜と同じ雰囲気の風呂場だった。
確かに今回は例年より気温が高めだったのだが、もっと気温が低くないとあの湯気もくもく現象は発生しないということだろうか。
朝風呂は普通に気持ちがいい。
しかし浸かっている間「アテが外れた……どうすっか……」と無意味に頭を悩ませる私であった。
仕方がないので今回ありのままに書きました。
朝食バイキング。
ふだん朝は少量しか食べないが、旅先のバイキングとなるとここぞとばかりに食べてしまう。
部屋に戻り、帰る準備をしつつTBS「がっちりマンデー!!」を見る。
俺、加藤浩次の番組好きだな……(そういえば昨日の「人生最高レストラン」のMCも加藤浩次だった)。
ロビーにハトヤグッズのガシャポンがあったので1回やってみる。
8時30分、チェックアウト。
来年も行くと思います。そのときはまたお世話になります。
送迎バスで伊東駅へ。
そして私は現実へと戻っていった。
ハトヤおもひで写真館