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【命が短いと言われても】 #29

”子どもと遊ぶ”が仕事の
小児の作業療法士ミキティです。

私には
”知ってもらいたい家族がいる”

私が関わる障がいを持つ
お子さんとその家族。
その家族のストーリーから
いつも沢山の学びがあります。

その一部を皆さんに
知ってもらいたくて綴っています。

今回のテーマ:
「生きる」

1.異常に気づきはじめる

妊娠してすぐのエコー検査
NT(首の後ろのむくみ)を指摘された。

だが、次の検診では
消えて無くなる。

小さいと言われながも
順調にお腹の中で成長していた。

7ヶ月に入った頃
手足が短いこと、
へその緒の血管から
1本しか
血液が流れていないことがわかる。

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2.「やっと会えた、おさるさんみたいで小さい」

妊娠して8ヶ月も終わる頃
管理入院が始まる。

「胎児の成長が乏しすぎる」
「出産に向けての体力が赤ちゃんには
 たりないかもしれない」
 
Drがそう判断したからだ。

そうして37週
出産に向けて準備が始まる

陣痛促進剤を朝、投与
微弱陣痛のため出産に至らず
夕方6時、入浴直後から陣痛が始まる。

体が小さかった為、
ハンナちゃんは
あっという間に正常分娩で
この世に誕生してくれた。

毛が濃いおさるさん
それが小さなハンナちゃんの
第一印象だった。

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3.母性

ハンナちゃんは生まれてすぐに
コルネリア・デランゲ症候群
とわかった。

”育ってみないとどうなるか
わかりません” とDr が言う。

「私がやるしかない」
とすぐに障がいを受け入れた。

その思いは
母になったばかりのママを
無我夢中で搾乳させ
何度も何度も面会に足を運ばせる。

保育器にいる
生まれたばかりの
赤ちゃんに
ただ会いたくて、会いたくて。

母性とは理屈ではない。

どんな状況でも
”我が子を愛おしい”と
思う気持ちが体から
溢れ出てくるのだ。

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4.心ない言葉


「どうしたらこの子を
ちゃんと育てていけるんだろう」
ネットで沢山調べはじめる。

出産して2日目
Nrが話しかけてきた。

「この疾患でも20歳まで
生きられるんですね!」

「ママは泣かないから
泣いていいんですよ!
何でも話してください!」

慰めのつもりの言葉は
容赦無くママの心に突き刺さる。

”ハンナを死なせてたまるか”
”絶対に私が守っていく!” 

身体中に煮えたぎる憤りは
逆にママの思いをさらに強く、
揺るぎないものに変えていく。

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5.OTの私にできることは何だ?

五体不満足の乙武さんの
お母さんのお話をご存知だろうか。

乙武さんとママは
出産直後にすぐに母子分離になった。
”黄疸がひどい”という
嘘の理由を添えられて。

なぜなら
手足の無い赤ちゃんを見せた時、
ママがショックで倒れるかもと
判断したからだ。

いつまで経っても
赤ちゃんに会えない。

長い長い1ヶ月が過ぎた。
嘘で固めた偽りをママの愛情で
溶かされる日がついにやってきた。

「赤ちゃんに逢わせて下さい」

もうこれ以上は
引き離す事はできない。

病院側は
ママがショックで倒れた時に
すぐ対応できるよう
ベッドを用意した。

そしてママが乙武さんに
やっとやっと会えた時,
倒れるどころか、

「かわいい…」と。

先天性四肢切断で
手足がなくても
そこにいる我が子は
どんな姿でも愛おしいからだ。

きっとハンナちゃんのママも
そうだったと思う。

私もその1人。
ハンナちゃんは小学1年生。
揺れる遊びが大好きだ。
「あああ〜あ〜」と話ながら
手足をくねくねと大きく動かし
全身で楽しいと表現する。

私の体がその言葉と体の重みを
受け止めた時、
「ああ、喜んでくれている、
なんて可愛いんだろう」
といつも思う。

”この愛おしい感覚”
私はこれからも大切にしたい。

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6.ママからハンナちゃんへ

ママの近くに座りながらずりずりと
近づいて手を握ってきたり、
服を引っ張ったりしてくれる時

笑顔でお喋りしながら
腕にスリスリしてくれる時

ママは幸せを感じます。

ハンナ、生まれてきてくれて
ありがとう。

これからも
一緒に成長していこうね。


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撮影 福添 麻美

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みきてぃ
作業療法士(OT)は 実は子ども達のサポートも しているリハビリ職。 これらの記事が読んで頂いた方の 子育て・療育のヒントになればと思っています。 子ども達は今この瞬間が 生きてきた人生で一番成長している時。 記事を通してみなさんと 関わる事が出来たら嬉しいです✨