ひと足早い忘年&クリスマス会
長いパンデミックの期間を経て、ここサンパウロでも気軽に人と集まれるようになった。去年に引き続き夫の元職場の忘年&クリスマス会が開催されると、夫から早々に知らせを受けていた。日時は12/8(金)の夜7時からとのことだった。
会場は職場OBの方が経営されている、アマゾンの大魚(traíra)のグリルで有名なレストランが毎年のお決まりだった。しかし、パンデミックの影響を引きずっているのか、今やお店はデリバリーのみで対応しているという。通常の営業をしても、採算が取れなくなっているのだろうか。残念ながら今年は会場としての候補から外れてしまった。
場所選びから幹事のおニ方を悩ませることになったが、結局うちのアパートのサロンを借りて、ということで落ちついた。参加予定者はご本人、ご家族を合わせて30名ほど。レストランでの会よりも参加希望者が多かったし、割と安価なレンタル料で2フロアあるサロンは、うってつけの場所だった。
我が家はアパートのサロンを予約し、飲み物各種、ワイングラスを用意する係を仰せつかった。遠い昔、結婚のお祝いで親戚からいただいた晩餐会が出来そうなほど⁉︎の大量のワイングラスたちが、やっと日の目を見る時が来た。食事の提供は、幹事の方たちが日本食のビュッフェを依頼していた。
会が始まる1時間前の午後6時に、夫婦ともども大変お世話になった上司と奥様2組、そして夫の同僚で私の友達でもある女性1人が我が家まで上がってくださることになっていた。ご主人様たちは挨拶を交わすと、ビュッフェが整うまでの間下で飲んでいようということになった。連れて来た夫と共に、サロンへと下りて行かれた。
会話が日本語で済むことは、長いこと海外生活を続けて来た私であってもありがたい。近況を報告し合い、それぞれのサバイブに驚きながらも、どなたもお元気で年末を迎えられた奇跡に、感謝せずにはいられなかった。
時を忘れてお喋りをすること1時間半。。インターフォンから夫が連絡をして来たので、お喋りの続きは会場にて。サロンでは若い日系人の日本食レストランのご主人が、助っ人3人を携えて忙しなく食事作りを担当されていた。
サロンには小さなキッチンがあって、冷蔵庫やガスコンロが備えられていたのだ。彼らは半解凍されたサーモンやマグロを持ち込み、生ものもそこで準備していたそうだ。電気ではなく火力の強いガスコンロは、中華料理の調理にはありがたいという話だった。
ビュッフェには出ていないが、手巻きなども作ってもらえるので、息子が早速頼んでいた。娘はバスケット関連のフェスタがあるとかで、残念ながら不参加。小さい頃からの顔見知り、同い年の女の子が来ていたので、参加していれば良い話し相手になっていたはず。
寿司の内容は、いかにもブラジル人向けにサーモンが多め。巻物は裏巻きや、裏巻きにパン粉を付けて揚げたもの!やマンゴーの細巻き、クリームチーズが入った太巻きなど。さすがに純日本人の私が度肝を抜かれるような創作料理も多かった。
デザートはレストランからではなく、幹事さんの1人(女性)が手作りして持参されたものだった。コンデンスミルクが入ったクリーム。私がデザートにたどり着いた時には、もはやこの原型を保ってはいなかったのだが、家に帰って写真を見ると、マスカットの並びが💲‼︎「皆さん、来年こそはお金に恵まれますように」とのユーモアには脱帽。もちろん味も美味しかった。ソニアさん、ナイス!
彼女は日本からの出向者の秘書をされていた方で日本語がとても流暢だ。会話の上でこちらが気をつかう必要は一切ない。流石に気配りの方で、自宅からエスプレッソマシーンまで持参されて、皆が食後のカフェジーニョにありつけたのだった。
子育てで私の2、3年先を行く先輩の経験談は、いつも妙に説得力があるのだった。特に「男子はいつまでも子供っぽい」との談には妙に納得して来たものだ。
宴もたけなわとなった絶妙のタイミングで、我が家に上がって下さった元上司の方がユーモアたっぷりにスピーチをされて一同で盛り上がる。こういう時のブラジル人のノリというのは本当に素晴らしい。そういえばその上司は、私たちの結婚のパーティーで司会を務めてくださった方だったのだ。
今では片方の耳がご不自由と聞く御年84歳だが、そんなことなど感じさせないくらいパワフル。ワイングラスを手に各テーブルを回られていた。顔をくしゃくしゃにされてお子さんたちやお孫さんたちの自慢話をされる表情は、まさに好々爺。失礼ながら可愛らしいとさえ思ってしまう。(お若い頃は奥様泣かせだったそうで。。)
幹事ペアの1人の男性には、サプライズの贈り物が用意されていた。お洒落な布製の肩掛けバッグ。彼は早速贈り物を肩にかける。そして「あれ⁉︎」という表情でバッグの中に手を突っ込む。ワインが1本、又1本......。最終的に4本のワインが予めバッグに仕込まれていたようだ。バッグを受け取った時の感触や重みで予想はついていたであろうに、いちいち驚いて見せる役者振りがおかしかった。
結局、22時までの予定が、会が完全にお開きになったのは0時過ぎだった。皆がダラダラと過ごしていた間に、幹事のお二人がテキパキと我が家のワイングラスを洗ってくださっていたことに恐縮。次々とUberが到着し、皆さんが家路へとつかれた。
“Feliz Natal ! Bom ano novo !”(メリークリスマス!良いお年を!)の言葉を最後に交わし合う。
やはりアドヴェントのこの時期が大好きだと、30年近い伯国生活を経て実感する。クリスマス本番(イブの夕刻から25日中)はほとんどの店が閉まって、ひとっこ1人外を歩いてはいない。その日を待つ間、人々はせっせと友達や同僚たちと会っては、この1年のお互いの健闘を讃え、労を気遣う。
そしてホリデー当日は家族と一緒に大切な時間を分かち合う。新しい年へのカウントダウンでもあり、且つバケーションシーズンでもあるブラジルは、1年で1番幸せや活気に満ちている。
【おすすめの音楽】
ジャズピアニスト、大江千里さんの初のヴォーカル集answer julyより「The Garden Christmas」。
この曲のヴォーカル担当は、カルテットのジャズヴォーカルグループ、New York VoicesのLauren Kinhanさんです。
キッチンの私のテーブルに飾っているヴァイナルはまさにこのアルバム。CDの世界盤と共通の、味のあるイラスト画を描かれたのはキングコングの西野亮廣さん。
元々は音楽好きだった日本の父にプレゼントしたアルバムでしたが、晩年に難聴のため音楽を楽しめなくなって私が譲り受けたものでした。昨年父が亡くなって形見となってしまいました。
この時期になると特に聴きたくなる楽曲が入ったアルバムであり、私にとってSenri Jazzの扉を開けるきっかけとなった記念すべき一枚なのです♪