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佐久間イヌネコ病院 luv.83 だいすきのおきて
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雲母の元後見人でフリー弁護士・白河夏己。彼の大学時代からの同業の友人達と時々イレギュラーの「白河推し」数人で構成される、表向きは楽しい仲間内の集まり。それは「白河のテーソーを護衛する」部。彼の親友と言い張る猿渡一郎を筆頭に、自称親友の二人目は虎渡二郎、そんな二人を生暖かい目で見守る馬渡三郎が主メンバー。
彼らの掟は「抜け駆けイコール追放」
「今日もカッコよかったなナッチ」
「法廷での彼は純然たる紳士のその逆をいく激しさだよしかし」
「てかお前の言ってることわかりにくいな」
「わかってないな二郎よ、彼を表現するには語彙がいくらあっても足りないのだよ」
身長は全員180超え。長身痩躯、和風顔でメガネ男子。モブ(にしか見えない)三人組は弁護士。白河の弁護する裁判をこっそり見にきていた。こっそりじゃないけど。移動するのも三人揃ってなので、曲がり角なんかで出くわした者は、三つ子かと思った、そう言って十中八九すごい驚く。
「失敬な。この俺をこんな虎と馬と同格に扱うなど」
「なんだよ虎だの馬だの。大体お前だって猿じゃん。獣じゃん」
「獣などと呼ぶな空け者」
こう見えて三人は仲がいい。口は悪いが主にコミュ障の弊害で、お互いに何を言ってるかなんて気にもしていないからだ。彼らは今日も馴染みの居酒屋で、ここにいない「白河夏己」について遅くまで語り合ったりするのだ。
「ところで先日、とんでもない光景を目の当たりにした」
「…抜け駆けはシ刑だってお前が決めたんだよな?」
「いやそうではない誤解だ。偶然が偶然を呼び、同じ会議室でうたた寝してたナッチがな、起き上がって身繕いを」
猿渡一郎が差し出したタブレットには、一見あられもない(ただの寝ぼけ顔)白河の姿。着てんの?脱いでんの?見る者によって解釈がえらいことなりそうな画像。猿渡は無言で二人の携帯に送信。収穫は分け合ってナンボ。
「これは誰の目にも触れないように保管しなければ。永久、永久保存だ」
「俺待ち受けにしよっと」
「痴れ者が!お主このような姿を他人に見せると言うか!」
馬渡三郎は終始黙ったまま、棚ボタでもらった破廉恥(?)画像をそっと眺めた。猿渡と虎渡がまだ何やら言い合いをしているのを、ため息を付きながら熱燗を口にする。抜け駆け禁止のいわば親衛隊。てことは、俺らには億にひとつの可能性も存在しないわけだ。大学時代からこうして勝手に護ってきた、白河とどうにかなるなんてことは。
この二人、わかってんのかな。これからも、この先も。
/馬渡三郎(参謀)
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佐久間イヌネコ病院
出会い方なんだろうな
可能性も結果も
まずは誰だったか
思い出すことからだな!
俺はよく知らないけどな!
喜多村せんせい