今回取り上げるのは「オープンスペース・テクノロジー」というリベレーティング・ストラクチャー(Liberating Structures: LS)である。
リベレーティング・ストラクチャーとは?という方はまず、こちらのNoteを読んでいただければと思います。
この方法で何ができるか?
各人の能力を引き出し、深く関わらせる会議をつくるときに使われる。また、それを数千人規模でも展開できるというのも大きな魅力である。
5つの構造要素
文中であまり説明がない「4つの法則」については別のサイトで以下のような解説がある。
この「4つの原則」はオープンな空間をつくるための法則である。シンプルであるが、しっかりとオープンな空間のイメージを伝え、参加者にわかってもらい、空気を崩さないようにすることが重要である。
実施にあたっての追記事項
ここでは「5つの構造要素」以外の項目を紹介する。
この項目を見ていると、何かを決めることに留まらず行動を起こしていくことを狙っていること、バラバラな集まりではなく組織として動けるようになっていくことを狙っていることが強調されている。
第1項目で紹介されている指南書については、日本語訳も出ている。準備の詳細やファシリテーションの技術などを知るために役立つだろう。
また、ファシリテーターとして迷ったら「手放す」という心構えは、他の手法・幅広い場面で役に立ちそうだ。
「著名人インタビュー」、「真価を見出すインタビュー」、「TRIZ」は「オープンスペース・テクノロジー」と同じLSのひとつであり、参加者に発想の柔軟さやインプットを与える効果がある。これらについては、以前に記事で紹介している。
また「25/10クラウド・ソーシング」もLSのひとつである。これは多くの解決策や行動プランが出てきたときに皆のコミットメントを失わずに絞り込むために役出つだろう。以下の記事を参考にされたい。
参加人数が増えても効果が落ちにくいということで、大きな企業やコミュニティで使うことが望ましいだろう。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドとの関係
レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドでは、議題を統一して行い、情報を共有して情報や文脈を全員で共有していく。そのため、複数の議題を同時に扱い、参加や離脱、開始や終了も委ねられている「オープンスペース・テクノロジー」とは、一体化の方向が全く異なるものである。
それぞれの議題のグループごとに、お互いに考えをよりスムーズに伝え共有するためにレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使うことは考えられる。ただし、参加や離脱が自由な点とどう折り合いをつけるかが問題になりそうだ。
メソッドを理解し良いモデルをつくるための基礎演習は全員で行うのがよいだろう。そして、各々のグループで短い時間でプロセスを進める方法の開発が必要になりそうだ。また、新規参加や離脱のときに生じる、参加者間での情報の偏りを解消するための仕組み(それまでの話し合いの流れがわかるリアルタイムでの記録共有の仕組み)も開発が必要である。
なかなか難度が高い課題だが、もし乗り越えることができればこの「オープン・スペース・テクノロジー」のように1000人規模のワークショップを効果的に行える道が拓かれるだろう。