今回取り上げるのは「決定的に重要な不確実性(Critical Uncertainties)」というリベレーティング・ストラクチャー(Liberating Structures: LS)である。
リベレーティング・ストラクチャーとは?という方はまず、こちらのNoteを読んでいただければと思います。
この方法で何ができるか?
不確実性に基づく、いくつかのシナリオを簡単に考えて、それぞれの対応策を考えるというものである。
5つの構造要素
内容的には、シナリオ・プランニングという手法を時間を短く、コンパクトに進めるものとなっている。シナリオ・プランニングは、長い取り組みだと数ヶ月〜1年ぐらいかけて行うが、上記の方法だと2時間ほどである。
また、「5.ステップと時間配分」で紹介されている例の、シナリオの分類イメージとしては以下のような感じとなる。
なお、丸の中の言葉はシナリオの名称である。
また、最後のワークのまとめに使われる「3つのW」はリベレーティング・ストラクチャー(LS)のうちの一つである。詳しくは以下の記事を参考に書いてある。
実施にあたっての追記事項
ここでは「5つの構造要素」以外の項目を紹介する。
改めて、変化を前提としてそれを乗り切る「戦略」の策定とメンバーへの浸透に重きを置いていることがよくわかる。
不確定要素について考えるのは、不安を掻き立てる。そこで心のバランスをとるために、楽しむ気持ちを保つというのは示唆に富む。
また3項目目の「1-2-4-All」もLSの一つである。詳しくは以下の記事にまとめてある。
LSのひとつである「会話カフェ」は傾聴の姿勢を強化して、全員で深く物事を考えるような場を作るために役に立つ。不確実性要素のリストアップなどに役に立ちそうだ。
LSのひとつである「私があなたに望むこと(WINFY)」は、シナリオに対応する戦略の実現のために何ができるかを考え、お互いに困ったことを明確に伝えるための文化づくりに役立つ。
LSのひとつである「オープンスペース・テクノロジー」は不確実性要素をピックアップするときや、解決策について考えるときに効果的だ。
LSのひとつである「意地悪な問いかけ」は複数のシナリオを同時に乗り越えるための戦略コンセプトを探すために使うことができる。
LSのひとつである「最小スペック」は戦略を確実に実行できるようにする方法を詰めるために役立つ。
LSのひとつである「目的から実践へ」は、機会を改めて紹介したい。
戦略を必要としているが、それを練り上げるだけの時間を用意できない、またはスタッフを抱えることができない組織やリーダーにとっては役に立つだろう。
簡易版のシナリオ・プランニングともいえるので、シナリオ・プランニングを体験してみたいという人にも良さそうだ。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドとの関係
レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの中には、「リアルタイム・ストラテジー」というコンセプトがある。今の状況においてさまざまな出来事を想起し、その出来事にどう対応するかについて、ブロックで組織と周囲の環境のモデルを作って、それを動かしながら対話するというものである。
この「さまざまな出来事を想起する」というのが、その後の対話を面白くするためのポイントとなる。
この「決定的に重要な不確実性」というリベレーティング・ストラクチャーと結果として生まれる基本シナリオは、リアルタイム・ストラテジーにおけるプレイを非常に面白くかつ有意義なものにするだろう。
逆にこのリベレーティング・ストラクチャーの中でシナリオに対する戦略の妥当性を検討する際には、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使ったワークショップの一つのコンセプトである「リアルタイム・ストラテジー」が貢献できそうである。
「リアルタイム・ストラテジー」がどのようなワークショップになるかについて以下の記事を読むとイメージが掴めるかと思う。ここではチームを中心に置いているが、もう少し視点の大きい「企業」を中心に置いて検討することもできる。