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「学習する組織」に基づき、レゴシリアスプレイメソッドを使って自己マスタリーモデルを作って分析してみた

 年明けに、ピーター・センゲの「学習する組織」をベースにしたレゴシリアスプレイメソッドのワークショップ研究会を行った。

 まずまず参加していただいた皆さんには喜んでいただけたが、全体の進行役をしていた私自身は設計をしたものの、当日のファシリテーターだったので自分で作って分析する体験ができていないということに気づいた。

 そこで、自己マスタリーモデルを作ってみた。

自己マスタリーモデル

 このモデルは「アイデンティティ(今の自分)」「ビジョン」「抵抗要因」の3つから構成されている。

 「アイデンティティ(今の自分)」と「ビジョン」の間に適切な距離を保たれたとき、そちらに力強く進む力である「創造的緊張(クリエイティブ・テンション)」の力が生まれる。
 それを意識し、まず「アイデンティティ(今の自分)」を作り、その後に自分を強く行動に駆り立てるような「ビジョン」を作るようにした。

創造的緊張モデル

 「自己マスタリー」が成るためには、同時に「抵抗要因」も考慮に入れなければならない。これは、ビジョンに向かって動き出す時、同時に働く自分の中のビジョンへの歩みを遅らせる力である。この緊張は「感情的緊張(エモーショナル・テンション)」と呼ばれる。
 こちらの「抵抗要因」を考えるとき、自分にとってあまり直視したくないような部分に触れ、それを考えると感情的な抵抗感覚が生まれる。それを意識しながら(「アイデンティティ(今の自分)」モデルをみつつ)「抵抗要因」のモデルを作った。

感情的緊張モデル

 それぞれ単体が含むストーリー(説明のための語り)も重要であるが、これらが相互に影響をどのように与え、自分に対してどのような帰結をもたらすかを分析することが重要である。

 そこで、このモデルを学習する組織で最も重要なディシプリンである「システム思考」に基づき、システム表現マップに落とし込み、分析にかけることになる。

 まず、モデル(およびそこから生まれるストーリー)からシステムを構成する要素を抽出する。だいたいそれぞれのモデルから5〜6個の要素が発見できた。逆に言えば、今回作成したそれぞれのモデルのストーリーは5〜6個のシステム要素からなっているものだったと言える。

各モデルとシステムの要素

 次に、これらの要素がどのように関係しているかを、モデルのストーリーも手がかりとしながら、影響力の矢印で結んでいく。

 そうすると、要素間で形成される影響力の循環が見えてくる。
 その循環には何らかの性質が付与されているので、その循環の性質を言語化したものが矢印の近くに書かれている。

自己マスタリーの循環マップ

 ここから、わかってきたことはおおよそ以下の通りである。

・現在の私は、レゴシリアスプレイ(LSP)の研究とそれ以外の仕事とのバランスを保ちながらも、LSP研究の機会を増やすような取り組みをしている。その鍵は、このNoteのような執筆や情報発信と、それらを読んで仲間になってくださる方を増やす好循環形成にある。

・その先に狙っているのは、LSPの研究だけをしていても経済的に余裕がでている状態である。そのためには現在のLSPのレベルをもっと上げていく必要があるが、その積み上げには時間がかかる。

・ビジョンに向かって歩んでいる一方で、私自身の性格や価値観から生まれる落とし穴(ビジョンからの後退原因)がある。それは、積み上げの成功により裸の王様になること、そして自分でやりたいことを優先して、かつ自分でコントロールして進めたいという欲から協力者を失ってしまうことである。
 これは実際に、自分で思い当たる節があり、改めて襟を正して日々過ごさねばならないと感じたところである。「協力者への傾聴」という要素を意識してシステムに組み込むことによって避けるようにしたい。

 実際に自分で、自己マスタリーモデルを作って体験をしてみた。

 自分にとって腹落ち感の高いモデルをつくり、そこから自分にとって有益な気づきを得ることができたと感じている。モデルを作りながら図を完成させ、考察するまで大体2時間半ぐらいであった。

 誰もが納得するものをじっくりと作り出すには、インストラクションや他の人とのやりとを含めて、実際には倍の5時間ぐらいは必要そうである。ここは改めて課題として残る(すごく重要な作業の連続なのでそのくらいかかるのも当然ではあるが)。システム図の読み解きについてのコツがつかめればもっと短くできそうだ。

 あとは細かいが、「ビジョン」要素周りには、自己強化ループが多く含まれるが、同時に「遅れ」も含まれることが多そうである。逆に「抵抗要因」要素周りには、均衡ループが多く含まれて「遅れ」は少なそうである。

 このことをファシリテーションの時に意識すると良さそうである。

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