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デジタルエンジニアリング研究室の紹介2024
01. はじめに
デジタルエンジニアリングとは、従来のエンジニアリングプロセスにデジタルツールや技術を融合させることで、製品やシステムの設計・開発を効率的かつ精密に行うアプローチです。
本研究室では、特に以下のような課題に対してデジタルエンジニアリング
技術を応用しています:
1. 実験の困難性が高い現象への適用
医療行為など実験そのものが難しい環境や宇宙環境など
特別な条件下でのメカニズム解明を目的としています。
2.一瞬で完了する事象の解析
衝突や衝撃のような、一瞬で終わる事象の解析は、
従来の手法ではメカニズムの完全な把握が難しいため、
デジタルシミュレーションやモデリング技術を駆使して
その理解を深めます。
これらの取り組みを通じて、従来の物理的な手法では達成が困難だった
メカニズムの解明をを可能にし、新たな技術開発や知見の創出を目指して
います。
02. 研究室の紹介
デジタルエンジニアリング研究室には現在、学部生4名、修士8名、博士1名の計13名の学生が所属しており、渡邉大教授の指導のもとで研究を進めています。
03. 研究内容の紹介
● 脳動脈瘤治療用ステントの最適配置に関する研究(ステント班)
大倉慈和 谷口遼 山仁創一郎 鈴木昂太 北原翔馬
脳動脈瘤とは、脳の動脈の一部に風船のような膨らみが発生した状態を指す脳血管障害の一種です。破裂するとくも膜下出血を引き起こし、発症後の死亡率が高いことから破裂する前に治療を行わなければなりません。そこで、大型の脳動脈瘤に対して開発されたのがフローダイバータステント留置術です。この術式ではフローダイバータステントと称される金属ワイヤを円筒状に編み込んだ医療機器を使用し、カテーテルによって血管内から脳動脈瘤の基部にステントを留置することで脳動脈瘤へ流入する血流を抑制し破裂を防ぎます。
このステントの配置は現状、熟練した専門医の経験に依存している状況であり、手術結果が安定しないという問題があります。このような問題に対して、ステントを配置することによる圧力上昇が脳動脈瘤への非閉塞および破裂に関係していることが示唆されていますが、医師が求める安定した手術を行う方法は未だ議論が続いています。
これらの状況を鑑み、本研究ではステントの効果を引き出すことのできる最適な配置について検討を行い、その現象の解明と指標の提案を行います。
本研究では、力学シミュレーションによってステントを血管内に留置し、血流シミュレーションによってステントに関するデータと脳動脈瘤に掛かる力に関するデータを取得します。この脳動脈瘤に掛かる力が最も小さくなるステントの配置を最適化により探索していきます。
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● 頭部軸索モデルの開発(頭部外傷班)
岐津隆道
本研究では、頭部への衝撃で発生する内部損傷のメカニズムを明らかにすることを目的としています。
例えば、身の回りの物体を落とした際、どの部分が最初に壊れるかを想像することは容易ですが、頭部の場合、衝突部位以外の内部にも損傷が生じることが知られています。
コンピュータシミュレーションを活用することで、衝撃が脳内部に与える影響を可視化します。現在は情報の伝達・運動に不可欠な軸索に注目し、研究を進めています。このアプローチにより、頭部損傷のメカニズムをより深く理解し、効果的な損傷軽減策の基盤を提供することを目指します。
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● 衝撃吸収複合構造開発(衝撃吸収班)
柳本眞之介 鈴木隆幹 関根琉 山口泰人
皆さんはプチプチを潰したことがありますか?
ストレス解消してみたり、もう潰したところをもう一回潰そうとしたり、なかなか潰れずしぶといものがあったりしたと思います。
そんなプチプチは「衝撃吸収構造」と呼ばれるものの代表例です。通販で買った商品を保護したり人命を守ったり、現代社会には欠かせない構造たちですが、私たち人間の体にも脳の保護構造として液体を使った衝撃吸収の仕組みが入っています。
私はこの仕組みに着目した衝撃吸収複合構造を提案することで、より薄型で高性能な保護製品の開発に尽力しています。
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● 航空機の胴体コーティングに関する研究(航空機班)
平瀨克成
皆さんは旅行に行くとき、遠征に行くときなどに飛行機に乗ったことはありますか?
航空機はなんらかのアクシデントで胴体着陸を行う際に胴体が潰れるように変形することによって衝撃を緩和する構造をとっています。しかし、変形が大きすぎると衝撃吸収能力が十分に発揮されなくなることや、燃料タンクの損傷などによる二次災害のリスクが高くなると言われています。
そこで航空機に新材料を用いて最適な厚みにすることで,変形量を抑え、十分に吸収できる構造を研究しています。
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● 非接触心拍測定および眠気推定(ドライビングシミュレータ班)
末村紗羽音 長澤梨花
運転中にぼーっとしたり、眠気を感じたりした経験はありますか?
疲労感や眠気は集中力や注意力が低下した状態での運転(漫然運転といいます。)の原因となり事故につながることもあります。
私たちはこのぼーっとしている状態や眠気が発生する状況をドライビングシミュレータを使って再現し、レーダやカメラなどの非接触センサを使用して心臓の動きや顔色の変化から漫然運転の兆候をとらえるための研究を行っています。
これらの予測が正確に行えるようになると、運転手への休憩の提案や眠気解消用装置の効果的な作動を行えるようになるなど事故防止への貢献が期待できます。
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04. 最後に
渡邉研究室は研究だけでなく、留学生やgPBLなどによる国際交流できる環境でもあります。様々な学生がいる中で様々な刺激を受けて成長ができる機会があるので気になった方は是非遊びに来てください。
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