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いろんな詩

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2021年7月の記事一覧

お化粧

お化粧

おけしょうなんか
したくない
なりたいのは
びょうで美人の
すはだ美人
たいようと
なかよしで
なんだかめずらしい
美しいひと
よっぱらったら
みずあびして
ばたんきゅう
こっちをご覧
と写真立て
青い道は
アイライン
すべり台で
遊ぶ夢

空箱

空箱

大切に
してきた箱は
空っぽだ
その中を
知ってるのは
私だけ

カサっと
音がしても
空っぽだ
カランと
音がしても
空っぽだ
音がしても
凍った峰の
山彦だ
私じゃない
瞳を知り
ただ
映すのみの
瞳を知り
私じゃない
瞳が
音を立て
外を駆け
巣食うのみ

それでも
箱の中が
好きだった

お行儀良く
瞳の中も
同じもの
私が下がれば
瞳も下がる
瞳を通して
見るものは
もうすぐ
私だけに

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最後の挨拶

最後の挨拶

礼儀正しく
さようならのご挨拶
私の中の甘ったれが
全部を投げて大暴れ
もうちょっと
もうちょっとで終わるから
静かに静かに

ひとでなし

ひとでなし

私は初めから
人ではなかった
姉は私をいじめてくるし
私は赤ん坊が大嫌いだった

なんのために
居るのか解らなかったし
両親も解らないようだった

ひとでない私は
人を売るようになった
進んでやったと言うよりは
人が私にそうさせるのだ
最初こそ私は
友人なるを求めていたのだが
こうなっては友人など出来ない

人を売って財を成した私は
自宅の大きな庭に
コンゴから密輸入した
ボノボのファミリーを住ま

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似姿

似姿

脇役中の脇役と
書き散らしに書いていたら
脇役中を服役中に
見間違うことを発見する
服役中の服役
辛そうな刑罰だ
すでに服役中なのに
服役中の脇役
シマの服着て
周りに合わせて
うなずいたり
踊ったり
脇役中の服役
せっかくのお仕事も
服役でパーに

擬態

擬態

空いた車両
斜向かいの青年は
私の手を見ていた
目を逸らすから
惹き付けられる

ふた駅ほどのち
青年は
扉の前へ移動する
背中の向こう
ガラス越しに
見返す
柔らかく
優しげな憂い
清涼纏い
駅の上り階段の奥へ
消えて行く

擬態が見せる
絡め手の
青写真
手をひらくと
少しづつ
散っていった

ローズマリーの招待状

ロマン・ポランスキーと
ごはんごはん
ローズマリーのホームパーティー
ホルマリン漬け丸ごとウラン
鎮静剤入りタニスのスープ
ローストマブイで局所麻酔
ローズマリーで香味付け
フルコースにご案内
お代はあとのお祭りです

ごめん

ごめん

君を抱き上げて降ろしたら
君が唇噛んじゃって
ごめんごめんて
謝ったっけ

ごめんは腑に落ちる

幾度聞いても
外見だけだと
君は言う

ほんとにごめん
それだけだから

ごめんは気の毒になる

ほんとにごめん
無理だから
君とはもう

ごめんは虚しくなる

ごめんを吸収するしかない私
ごめんは絶対免罪符
苦いごめんを吐き出して
投擲器は前後不覚
あなたの方へ狙いを定めて
手を下すのが外れてばかり

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つらいとげ

つらいとげ

新たな節目に
つらいとげ
放っておけば
自走して
どこかへ
行くらしいよ
振り返る
でこぼこ道は
とげのこり
まとわりつかれて
痩せたとげ
どげんなっとると
乗っ取らんと
ミイラんなって
包帯巻いとう
とげ人間にはなれんとよ
こちとら
とげとげするほど
血が通ってないんでね
骨せんべいみたいに
酒の肴にちょうどいいや
どのみち
なるようにしかならん

トンカツストーカー

トンカツストーカー

最近トンカツにストーカーされている
肉料理を注文するとトンカツが出される
洋風な店ではカツレツだ
堂々と提供されると
そのまま食べないと悪いような気がして
そのまま平らげていた
連れがいる時に聞いても
トンカツなりカツレツなりを
私が注文していたと言う
ある日またしても
この日はカツレツだったが
そんな状況で食べようとすると
お誕生日おめでとうございます
とカツレツが言ってくる
ありがとう
と誕生

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嚥下

嚥下

情けなや
またしても
食欲に踊らされ
うっかりと
気管に
吸い込んだ
夢々
這いつくばって
泥水のふりしたい
美しい
馬に乗って
美しく
死ぬ予定が
顔の穴から
汁流し
ヴィスコンティ
直伝の
死ぬポーズも
決めてあるのに
ああ
このお目汚し
どなたか
白布を
かけてくださいませんでしょうか
水でも飲んだら
なんて
愚の骨頂
馬鹿が阿呆がと
薮睨み
ああ早く
安らかになりたい

少な飯
よぎる旗端
フェミニズム

キトサン

キトサン

一斗缶でキトサンを買った
脂肪酸に頼まれて
そうしたら
頭がおかしいからと
心身診療科に連れて行かれてしまった
もちろん脱走して
疾走して失踪する
逃亡生活では日光山に
放浪生活では人形館に
もぐりこみ
似合わないリボンをつけて
リボンちゃん
時報GUNを抱えて
ヒットマン
紐は無き
焼き塩缶の竹馬に
つま先入れてハイヒール
カッツンカッツン
ギクシャクと
歩く姿は糸つり人形
あああの
一斗缶が欲

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振り合い

振り合い

いつもあべこべの
振り合いごっこ
あなたが振れば
私がツン
私が振れば
あなたがツン
あべこべ積み合い
尽きない積み合い
振り合いたくて
向き合いたくて
ふたふりみふり
ツンしないで頑張った
そしたら
あなたはツンツンツン
私はすっかりしゃれこうべ

のこり少ない白南風に
あなたがひとふり
私がふたふり
ふたりでみふり
振り合えた
永の別れを告げる明け
天翔けて付いてゆきたい
青嵐