現代アートの見方に開眼した日
2023年9月24日まで開催の、「森美術館開館20周年記念展ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」に行ってきました。
今回は、ひょんな事から2回目の鑑賞でした。
この美術展に行くきっかけは、陶芸をしている友人から教えてもらった梅津庸一さんの作品が展示されているから、でした。
そして、誰かの個展ではなく、テーマで集められた様々な作品が集結しているため、知らないアーティストや表現に会えるなら楽しそう!と思って興味を持ちました。
2回目も収穫があったので、備忘録として残したいなと思いました。
▼前回行った時の記事はこちら▼
展示の中で好きだった作品について話しています。特に映像作品が好きでした。
作品展全体の感想
展示は、初めの方から戦争や民族や価値観の問いかけなど社会的なテーマを取り扱う作品が多くあって、とても面白かったです。
ここで、現代アート=ポップで刹那的で無駄なもの(偏見です)という認識がいい感じに消え去りました。
歴史的な背景のある、写真や音声の作品。少数民族の言語を記録した作品。死者へ死を問いかける映像作品。現代アートがこんなにも無骨で味わい深く楽しいものだとは!ワールドクラスルームというテーマもあるからかも知れませんが、意味を紐解く作業がとても楽しく、有意義でした。
▪️企画展のホームページです。
“作品の見方”について思うこと
ものの見方を固定するのが好きではありません。
なるべく、色んな角度や視点を知っていたいといつも欲張っています。
“作品の見方が分からない”と言う人が身近にいたのですが、それを聞いた時、そもそも決まった見方などあるのかい?と疑問に思いました。
美術を読み解く本も世には多数ありますが、自分の目で作品と対峙して感じる事が大切なのでは?と思います。
自分に合った鑑賞の仕方は、何かを見るごとに変化していくのだろうと思います。それを見つけるのもまた、楽しいなと思います。
普段のわたしの鑑賞意識
映画でも作品でもなるべく予備知識なしで観るのが好きです。
絵画などの平面作品の場合は、ほとんど説明を読まずに感覚で見るのが好きです。
感覚で作品と対話する感じでしょうか。
純粋に“排出された作品のみを認識したい”という欲求の方が強いため、作者の生い立ちやどんな人柄か等にはほとんど興味を持つ事がありません。(興味を持つともっと楽しいかも知れません)
今回の開眼
現代アートは問題提起。
議論の起爆剤である。
きっと色んな時代の色んな人が、同じような事に気付いているんだろうと思いますが、いちおう私の格言です。
今回はきっと人生ではじめて、時間をかけて現代アート作品を鑑賞したのですが、しっかりコンセプトを読み込んだ後に観ると、見るべき視点がクリアになる事を実感しました。
なぜ作者が、その手法・材質・動きなど選んだのか。そうすることによって何が与えられるのか。目的と意図の結果である表現という構図が紐解かれていく感動は、純粋に楽しい!と感じました。
現代アートは、一見何の変哲もない景色や物体の組み合わせである事が多く、ただ見るだけでは単純に好きか嫌いかの好みで振り分けてしまいがちです。
コンセプトや意図をよく読んで知る事で、その作品の面白みや投げかけている問題、提起したい点や意図が伝わり、今までの100倍くらいは楽しむ事ができたのは大収穫でした。
見る人に認識を委ねる、という作品も楽しいですが、コンセプトがしっかりある作品の方が知るほどに深みが増し、受け取った側の内側でそれに連鎖する考えが想起され広がって、ずうっと頭の中で反芻したり発展したりして行くのです。
作者の意図を受け取り、解釈し、自分の考えが広がってゆく過程が対話のようだと感じました。
一緒に行った友達とも、作品についてそんなテーマで語り合えてとても楽しかったです。
あとがき
現代アートの展示は、友達に誘われて行くくらいで、観に行く機会はそこまでない、未知の領域でした。ここ数年で興味を惹かれて観たのは、マーク・マンダース展やリヒター展でしょうか。
今回は、現代アートと言われる作品の楽しみ方を得る事ができて本当に楽しかったです。
芸術作品(アート・音楽・映画・ダンス等)はわたしにとって心の栄養です。
普段の生活でも触れる機会がもっともっとあったらいいな、増えて欲しいなと思います。
文化芸術に触れる機会や、大切な資料を守り抜いている全美術館・博物館・映画館などのサポートを国としてもっと行なってほしい、と切に思っています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます♪
とっても嬉しいです!
▪️会期終了ですが、とても素敵だったので🔗
マークマンダース展
▪️こちらも過去の展示ですが楽しかったので🔗
▼kikaの好きな音楽や映画や本、創作したおはなしなどもぜひ