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連載「菌活ボーイがゆく」②菌は生きている


こうじの魅力にはまった猫サラリーミャンの菌活実践記です。
「育て上げた醤油こうじを食べてしまうのが心苦しくて」の心境で菌との触れ合いの日々を送る。
さっちー師匠ににゃんだかんだ巻き込まれながら“菌友”(菌活友だち)づくりに励む。

文/菌活ボーイ
イラスト/ちぐ


ぼんっ。小気味よい発射音。

指の間をすり抜けて、ボトルキャップが飛び出した。


慌てて見回す間に、ノズルから醬油こうじがあふれ出す。

まるで、火口から流れ出す溶岩。

僕はただただ立ち尽くし、ぼうぜんと見つめるだけ。


連日の猛暑で、わが家の菌はやたらとハッスル。

ボトル世界は気泡がいっぱい。

呼吸しやすいようにキャップを緩めたら、ぶしゅ~っと噴出ガス。


勢い余ってキャップが飛ぶたび、台所の床をはいずるはめになる。

ボトルに詰めるこうじの量はほどほどにすべし。

キジトラ流菌道のたしなみに必要だろう。


日ごとにキャップの家出が増えてきた。

見張っているわけにもいかないし。捜索は大変だし。


「どうしたらいいでしょう」

さっちー師匠にすがりついたら、「経験したことにゃい」とつれない返事。


まさか、弟子の苦難に興味ないのでは。

いやいや。でも…。いやいや。

きっと、「道は自ら切り開け」という教えに違いない。


台所にこもり、試行錯誤の31分。

ついに、新たな育菌の技を編み出した。

(続く)



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