浜辺の茶屋から三線の音色が聞こえる。
イノーで水遊びする子供達の小さな手のひらで、真白なサンゴがキラキラ輝く。
まだ観光客も少ない、うりずんの季節。
4年前、
自分のルーツが沖縄にあることを知った私は
彼と2人、初めてこの島を訪れた。
甘酸っぱい香りと、湿度の高い空気。
那覇空港にはこれからの旅の計画を立てるワクワクした会話と、
旅の思い出を名残惜しそうに語らう声が交差していた。
曽祖父母のお墓は那覇から車で1時間の南城市にあった。
亀甲墓という大きなお墓には小さな入り口があって、
故人はそこから胎内に戻るといわれている。
綺麗に手入れされたそのお墓には、季節の花がたむけられていた。
この場所に初めて来たのに、何故かとても懐かしい。
母の手の中に抱かれているような、そんな心地よい安らぎを感じた。
墓地を後にした私達は、ニライカナイ橋を下り、
知念半島の沖合にあるコマカ島という小さな無人島を訪れた。
ボートに乗り、島に近づくに連れ、あまりにも透明なエメラルドグリーンの海に息を飲む。
サラサラと白い砂浜を裸足で歩いていくと「神の島」と呼ばれる久高島が見えてきた。
そこはとても神聖な空間だった。
やがて満天の星空が2人を包み込む。
彼の長い手が流れ星の欠片を掴むと、それは私の薬指で瞬いた。
そしてこの夜、私は双子の天使の命を宿した。
それから何度かの季節のページをめくり、
私たちは春になると大好きなこの島を訪れるようになった。
今日も優しい南風が吹く。
無邪気に波と追いかけっこする2人の愛しい天使を、
思わず両手で抱きしめる。
私達を選んでくれてありがとう。
そして命を授けてくれたこの島に、
心からの感謝を。
童神〜ヤマトグチ〜 作詞:古謝美佐子 作曲:佐原一哉
天からの恵み 受けてこの地球(ほし)に
生まれたる我が子 祈り込め育て
イラヨーヘイ イラヨーホイ イラヨー 愛(かな)し思産子(うみなしぐゎ)
泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー 太陽(てぃだ)の光受けて
ゆういりよーや ヘイヨー ヘイヨー 健やかに育て