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秋といえば‥?

NHK大河ドラマ光る君へ』では、読者のみなさんもご存じのように、ファーストサマーウイカさんが、清原元輔の娘である清少納言を演じておられます。まひろ(紫式部)との関係や関わりのある人物たちとの相関があらためて理解できて、国語科の教師としてはとても刺激的です。  

▲『光る君へ』でのウイカさん 
▲なんという相関。まひろとは、ライバル。

清少納言といえば、『枕草子』。三大随筆のひとつです。ドラマでも、この『枕草子』の執筆のきっかけが描かれていましたね。
『枕草子』のなかでも、「春はあけぼの…」ではじまる第一段は、令和7年度から使用される中学2年生の教科書のすべてに掲載されます。

第一段にある「秋」の部分を、次に紹介しましょう。読者の皆さんも、中学生のころに学んだことでしょう。

秋は夕暮れ。
夕日のさして山の端(は)いと近うなりたるに、烏(からす)の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。まいて雁(かり)などのつらねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。日入りはてて、風の音、虫の 音など、はたいふべきにあらず。

『枕草子』第一段による

平安時代の中期、今から1000年以上も前につづられた「秋」であるにもかかわらず、「夕暮れ」の風景、秋に寄せる思いは、現代とあまり変わらないものだなぁと感じます。

さて、
この『枕草子』の第一段を使って授業をする際にも、私の記事『なぜ、古典を学ぶのか?』に記した「2つの意義」を大切にしながら授業づくりを行います。とりわけ、この授業で大切にしたいことは、学習の終盤で自分自身が持つ季節感と比べさせることです。

①清少納言が思いを寄せる「四季それぞれの風情ある時間帯」のとらえ方は?

② ①について、今を生きる「私」との共通点や違いは? また、「私」が持つ季節感はどうか?

特に②については、清少納言の「冬」の書きぶりをまねながら、次のような活動に取り組ませます。自分自身が持つ季節感のアウトプットです。

清少納言の「冬」の書きぶりは、次のとおりです。

冬はつとめて。
雪の降りたるは、言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、また、さらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭もて渡るも、いとつきづきし。
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶(ひおけ)の火も、白き灰がちになりてわろし。

口語訳
冬は、早朝の時間帯が趣深くていい。雪が降っている早朝は言うまでもなく、霜がおりて真っ白になっている早朝もいい。また、そうでなくても、とても寒い早朝に、炭の火などを女房たちが急いでおこして、炭を持って屋敷の廊下を渡っていくのも、とても冬の早朝に似つかわしい。でも、昼になって、寒さがだんだんゆるんでいくと、火桶の火も、火が消えて白い灰ばかりになって、興ざめの気分になるものだ。

『枕草子』第一段による

「冬」の書きぶりから、次のような「型」をぬきとります。

( ★ )といえば、(  ◆  )。
(   ①   )は、言うまでもない。
また、(   ②   )のも、最高。
でも、(   ③   )は、がっかり。

( ★ )には、春・夏・秋・冬のいずれかをあてはめ、
( ◆ )には、その季節に自分が最も心を寄せるものを短く記します。
①・②とその具体をつづったあと、③でオチです。

作例
秋といえば、紅葉狩り。
リュックを背負って真っ赤に色づく木々の下を歩くのは、言うまでもない。
また、山を登り切って、色づく山々のグラデーションを楽しむのも、最高。
でも、きれいな落ち葉の中にペットボトルのポイ捨てが見えるのは、がっかり。

教室の一人ひとりの作品を交流し、現代に生きる私たちの季節感を確かめ合えると、ちょっと清少納言になった気分になれますね。とても楽しい国語の教室となります。

さあ、季節は秋!
その到来を実感できる今日この頃です。
読者の皆さんも、( ★ )に「秋」と入れて続きをつづってみませんか。

秋といえば…?


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