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海辺のスケボーボーイのあまりにスタイリッシュな信号無視。
バルセロナはすぐ近くに海が広がっている。
通称「バルセロネータ」というビーチで、バルセロナ市民はそこで海を愛でるらしいのだが、陰キャ大学生の私たち4人がバルセロネータに行って、白い砂浜を楽しめるわけもなく。
バルセロネータなんて行かなかった。
2013年3月、大学生当時の私たちはバルセロナに行ってサッカーを観戦し、世界最高のサッカー選手である「リオネル・メッシ」に「俺たちの方がサッカーうまいぞ」と野次を飛ばすことを目的にして、この美しい街に来ていた。
▶︎前日までのバルセロナ旅行記はコチラ
旅行中の天気はマジでよくって、海外特有の青い空が天高く広がっており、いかにも旅行日和、という日、私たちはバルセロネータ近くの道で信号を待っていた。
バルセロネータの近くは人が多く、信号待ちは私たち4人を含め、多くの観光客、バルセロナ市民がいた。横断歩道の向こう側の歩道にも人がたくさん待っている。渋谷スクランブル交差点の10%くらいだと思ってほしい。
横断歩道の向かいにスケボー少年がいるのが目に入ってきた。
短パン、白シャツにサングラス、年齢はそうだな、15~19歳くらい。もうね、足が長い。足の中でもひざ下が長い。手も長い。耳には白いイヤホンをしているから、スケボーミュージックを聴いてたんだろう。左手にはスケボーをタテに持っている。なんてスタイリッシュなんだ。AppleやGoogleのCMから画面をドカンと突き破って出てきたかのようなあの存在感。
信号はまだ「青」にはならない。
「赤」のままだ。
ところがそのスケボー少年、信号を無視した。
クルマ通りもそんなになかったから、たしかに大丈夫なんだけど、信号待ちの群衆の中で「赤信号?そんなの気にしないゼ」というヤツは彼一人だった。
スタイリッシュスケボー少年が、信号を無視する。スケボーを「ッゴー」と走らせて、信号無視。
私は彼を見つめていたんだけど、その道のど真ん中、群衆が見ているところで、彼がスケボーに乗りながら、おもむろにポケットに右手を突っ込んだ。
赤いリンゴが出てきた。
赤いリンゴ。
そして、スケボーに乗りながら、信号無視をして横断歩道のど真ん中で、右手を口に運ぶ。
赤いリンゴ、シャリ。
リンゴを食べた。
いや、シャリという音は聞こえてこなかったんだけど、なんだろう。記憶の改ざん? 私の記憶の中では咀嚼音がたしかに鳴っている。シャリ。私たち4人はお行儀よく信号待ちをしていたけれど、
「…おい、見たか」
「見た」
「スタイリッシュだ…」
「リンゴ」
…
「やりすぎだろ」
「やりすぎ」
「リンゴ…」
「日常なんだろうなぁ」
思うに…日本のスタイリッシュの代名詞である菅田将暉でもリンゴはかじらない。米津玄師でも藤井風でもリンゴはかじらない。いや、藤井風ならかじりそうだ。藤井風すげー。
横断歩道を信号無視して、スケボーでシャーっと走る。右手にはリンゴで、それをシャリっとかじる。スケボー少年はそのままどこかに行ってしまった。
メッシに野次を飛ばすまであと1日
【NEXT】果たしてメッシを野次れるのか!?
〈記事から引用〉
スタジアムには10万人の観客が超満員で入っていて、私たち4人はバイト代をはたいて、メッシが20m先くらいに見える最高の席に陣取っていた。超満員の観客、歓声がすごすぎて隣の友だちとの会話すらままならない。あんなのは後にも先にもあの時だけだ。
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〈あとがき〉
スタイリッシュさもやっぱり人種を選びます。あの光景はマジで衝撃的で、日本ではまず赤いリンゴをハダカでポケットに入れている若者がいません。帰国してから果物をハダカで持つって行動をやってみたのですが、やっぱりダメでした。今日もありがとうございました。
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