【5,962字】お話の聴き方。
そろそろまとめてみたい。
誰かとお話をするときに、
意識していることをまとめてみたい。
私は札幌の人間で、大した実績があるわけでもないし、もっと素晴らしい方々がいるということを承知しているつもりだが、それでもまとめてみたい。
お話の聴き方。
この記事の着地点がどうなるかわからないままに書いているが、とにかく「話の聴き方」を書いてみよう。
いよ〜し、体系立ててまとめてみたい!
れっつ、コミュニケーション!
[0]なぜ聴き方が重要なのか?
簡単である。人間は会話でコミュニケーションをする生き物だからだ。仕事、恋愛、人間関係すべてにおいて、大前提となるのは誰かとの会話である。
会話は2つの要素で構成されるが、
それは「話す」ことと「聴く」ことだ。
「話す」ことと「聴く」ことのどちらが難易度が高いかといえば、私個人としては「話す」ほうが難易度が高いと思っている。
体系立てて、ストーリー立てて、論理と感情に訴えるように話す、というのは、なかなかに難しい。
が、「聴く」ということになると、途端に難易度が下がる。だって聴いていればいいんだから。こんなに簡単なことはない。
という前提をまずは提示しておきたい。
次に、私が聴くことについて意識し始めたきっかけを思い出してみよう。
[1]少年と「聴く」の出会い
中学2年生の国語の授業がきっかけだ。
国語の教科書に、ある有名な哲学者の文章が載っていた。その方は鷲田清一さんという方で、文章のタイトルは『聴くことの力』であった。
中学2年生の授業でこの文章に出会い、なるほどと納得を持った私は、この文章に書かれていたノウハウを友だちとの会話に即実践した。
ノウハウは至極シンプルで
「相手の鏡になりなさい」であった。
要は、相手が言ったことをそのまま繰り返せ、である。
会話の例を書こう。
▶︎ひたすら相手の鏡になる会話例
「え、おもしろいことがあったの?」
「リンゴを食べてたと思ったら?」
「リンゴじゃなくて梨だったの!?」
Fin.
以上、これだけである。
んなアホな、と思われるかもしれないが、これはマジで使える。
『聴くことの力』にはこのノウハウが書いてあった。相手の鏡になって、相手の言ったことを繰り返せば、相手は話を聞いてくれているという安心感を持ってくれる。
ただこれだけのことができない人がなんと多いことか、的なことが書いてあった。
このノウハウを14歳で学んだ私は、マジで使いまくった。するとどうなったか?
なんか、めちゃくちゃ相談されるようになった。
マジでただこれだけなのだが、社会人になって、これがもう少し進化する。その進化版「話の聴き方」をさらにまとめてみよう。
[2]意見を言わない
よくある話、男性は問題解決力に優れ、女性は共感力に優れるらしい。性別で区切るのは危険思想だし、個体差はある。
で、私が様々な本を読んで得た結論は、会話においてはとにかく「共感」を大事にした方がいいっぽい、ということである。
人は自分の話をとにかく聞いてほしいものだ。
聴き手の意見は重要ではないケースが多い。
誰かになんらかの話をしたとき、
こんなご経験はないだろうか?
※先ほどのリンゴの話を引用しよう。
▶︎意見を言っちゃう会話例
「え、おもしろいことがあったの?」
「リンゴを食べてたと思ったら?」
「なんで梨だって気づかねーんだよ、おかしいだろ。リンゴは大抵赤いだろ。色見ればリンゴと梨の区別はつくじゃんか」
Fin.
お分かりですね。これはポップだが、シリアスな相談の場面でも、正論のような意見を述べて、相手の話の腰を折ってしまう、ということが往往にしてある。
話の腰を折る方というのは、性別でいえば男性に多いかもしれない。あるいは、問題解決に優れた人にも多い。
これは善意でやってるケースもあるんだけど、「話の腰を折る人」という印象を持たれると「この人との会話は心地よくない」と思われてしまう。
次に、話の腰を折らないために必要な、
感情察知の重要性について書いてみよう。
[3]話し手の感情を察知する
日常会話というのは、大抵、喜怒哀楽のどれかに分類できる。話し手の話す内容がどれにあたるかを察知すればいいだけの話であり、聴き手はその感情を拾ってあげる必要がある。
全ては相手に気持ちよく話してもらうためだ。
先述のリンゴの話なら「楽」に分類できるので、こっちも楽しい雰囲気で話を聴けばいいだけである。せっかく相手が楽しそうに話すのに、聴き手が「怒」だと感情が一致しない。
これだと心技体が一致せず、
ハッケヨイな会話にならないね。
ここでちょっとしたノウハウを書いてみる。先ほど説明した「相手の鏡になる」の発展系である。
[4]感情察知と要約
実は話し手は会話をしながら、会話内容が喜怒哀楽のどの感情なのかに気づいていない場合が多い。
なぜなら、自分の話がどの感情のボックスに収納されているかを考えて生きている人間などいないからだ。
というわけで、より「聴き上手だなぁ」と思ってもらえるっぽいノウハウを紹介しよう。
感情察知と要約である。
感情察知とは、文字通り、相手がその話をしてどんな気持ちになっているか、その会話を通して、どう思って欲しいかを聴き手が察することを指す。
繰り返しになるが、私たちは会話をしながら、喜怒哀楽のどのボックスの話をしているかなんて考えていない。そこを察知してあげるのだ。
そして、ひと通り話が終わったら
要約してオウム返しにしてあげよう。
会話例を書いてみる。
▶︎要約とオウム返しの会話例
「え、どしたん」
「変だから、見ちゃったんだ」
「え! 若い女とLINE!? 毎日!?」
「え〜、ってことは、彼氏が浮気してるっぽくて、その証拠を見ちゃって、結構ナイーブなうってこと〜??」
「うわ〜、あんた、めっちゃかわいそうじゃ〜ん」
「うん、誰が見てもかわいそう。
よく耐えててエラいよ」
Fin.
寄り添ってるなぁ。この太字のところ、聴き手の意見を言っていそうで言っていない。話し手がまだ気づいていない感情を察知して、それを要約してあげているのである。
で、実はさらに発展系がある。
よしよし、どんどん学んでくださる方が増えたなら日本はいい国になるぞ〜(私の目的はなに?)。
[5]相手に気づかせる質問_前提
コーチングという概念がある。
対義語はティーチングだ。
ここ数年で注目されている概念だと思う。問題解決の方法を指示するのがティーチング、一緒に問題解決策を考えるのがコーチングである。
ティーチングによる指示は、外部からの指導で他者を動かすのに対し、コーチングは他者の脳の奥にある解決策の発見を手伝うものだ。
商談、部下の育成、子育て、恋愛で活用できる。
具体例を書いてみる。
▶︎ティーチングの場合
これでは選手は自発的に行動しない。
なぜなら、腑に落ちていないからだ。
▶︎コーチングの場合
コーチングは答えを言わない。答えは選手の中に眠っていると信じることが出発点である。
この質問をして、解決策を選手自身が気づくように導くのだ。決して誘導尋問であってはならない。ただ質問するだけ。
見つかる解決策が、正しいかどうかは関係ない。
こうすると、選手は自発的に行動を変えるようになる。子育てにも使えそうだね。でも、そううまくはいかないよね。
では、これを会話において
どのように使うかを見てみよう。
[6]相手に気づかせる質問_具体例
コーチングの重要性については、なんとなくわかった。では、それを会話でどう使うかを考えてみる。
大事なのは質問だ。
先ほどの浮気男に悩む女性の会話例を引用する。
▶︎質問で相手に気づきを促す会話例
「え、どしたん」
「変だから、見ちゃったんだ」
「え! 若い女とLINE!? 毎日!?」
「え〜、言えずにいるんだぁ。それを見てさ、〇〇はどんな感情なの?」
「たしかにそれはかわいそうだわ〜。え、それは今後どうしようと思ってるの?」
「あ〜。別れようと思ってるのかぁ。え、ちなみに、他に浮気っぽい証拠はあるの?」
Fin.
おぉ〜。質問してるなぁ。話し手の感情が喜怒哀楽のどのボックスに入っているかを、自分自身で気づいてもらう質問をしている。
これは営業現場でも活用できる。
とまぁ、こんな質問をして、相手から出てくる意見をまとめてあげる。要約しつつ、感情を引き出せたなら、二重丸である。
で、自分が役に立てることを話せばいい。
そううまくはいかないけどね。
では次に、どんな質問をしたらいいかわからないという方のために、質問法についてさらっと紹介してみよう。
[7]限定質問と拡大質問
これは営業現場でよく使われる用語である。
この2つの質問法を交互に織り交ぜて会話すると、おもしろいように会話が転がっていく。
限定質問は「はい・いいえ」で答えられる質問。
拡大質問は「はい・いいえ以外」で答えざるを得ない質問。
会話の糸口としては、拡大質問を先に使う。
私のおなぐさめラジオでは、会話の冒頭にこの拡大質問をすることがほとんどである。
「今日はなにしてましたか?」
「最近、どうお過ごしですか?」
とか、そういうやつだ。
広い質問をして、領域を広げ、徐々に絞っていくために限定質問をする。限定質問をすると会話の領域が狭くなっていくので、また拡大質問で話を広げる。狭い領域でまた話が広がったら、限定質問をおこなう。そして所々で要約をしてあげよう。
「拡大→拡大→限定→要約→拡大」みたいな。
▶︎拡大と限定を使った会話例
「最近あった悲しい話はある?」(拡大質問)
「え? 浮気? どういうこと?」(拡大質問)
「え〜、それは最近の話?」(限定質問)
「え〜3日前? めちゃ最近じゃん」
「え、それで、どう思ってるの?」(拡大質問)
「え、別れるの? 本当に?」(限定質問)
Fin.
さらに、限定質問を使うときは、できるだけ相手が「はい」と言ってくれるような質問をしよう。なぜそれが大切なのかは以下の記事をご覧いただきたい。
◾️会話における小さなYESの重要性解説
ふう〜。
というような塩梅だが、ここだけの話、
こんなことは意識しなくていい。
最後に、この記事に書いてきたこと全てをひっくり返すであろう重要な意識を書いて、この記事を終わりたい。
[おわりに]全ての大前提
相手に喜んでもらう。
これだけ。
この意識が頭の中にありさえすれば、今日書いたことなんて、ただの机上の空論で、これはカスみたいなノウハウ系記事だとわかる。
話の聴き方に、優劣も上下もなにもないのだ。
この記事は、私が考えてきたことを体系立ててまとめてるつもりになってるが、こんなことはただのザレゴトである。
もっと上手くまとまったものは、
過去の偉人たちがまとめてくれている。
というわけで、まとめ。
あぁ、私は疲れたにょ。
というわけで、最後に結論、
……
…
だれかぁ〜! 私の話を聴いてくれ〜!!
【音源】大川さんとの会話にノウハウが隠れてる
◾️この記事が好きならこれも好きだよシリーズ