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酔った勢いで。
酔った勢いで「死にたい」と言ってる人に会ったことがない。酔った勢いで笑ってる人ならよく見るし、あと、泣いてる人もたまに見る。
たとえば私の妹が中学生のころ、家にあったワインを妹が間違って飲んでしまったことがあった。いまから20年近く前だ。
妹は気づかないうちに相当な量を飲んでしまったようで、人生初めての酔いがまわったのかおいおいと泣き出した。
泣き出したかと思ったら、兄妹の中で唯一病弱だったあの子だけが抱える悩みをとうとうと喋り出し、最後には大粒の涙を両目から絶え間なく流してわんわん泣いている。
酔ってソファの上で。泣きながら。かわいそうに。悩みを話す妹を見て私は「まぁまぁ、話はわかるよ」と言ったことを覚えている。
...
「アルコールが人をダメにするのではなく、その人がもとからダメだということをアルコールが明らかにしてくれる」という言葉があるかと思う。
アルコールを飲んだときにその人の本性がわかる、みたいな名文句である。
この名文句に私は納得ができるようなできないような。
個人的にはどちらかというと、酔いすぎて酩酊状態になるまでお酒を飲んでしまう自制心のなさをアルコールが明らかにしてくれる、ということのほうが正しいような気がする。あ、同じことか。
その人の自律心・自制心を計るツールとしてのお酒である。
といってもまぁ、先ほどの妹のエピソードのように、アルコールはその人の本音を引き出してくれるツールであるという話にも頷ける。
ある程度ならば「アルコールは本音を引き出してくれるもの」といってもいいかもしれない。
酔った勢いで「好きだ」と言ったり、酔った勢いで誰かの肩にそっと触れたり、酔った勢いで自分の武勇伝を話したり、酔った勢いで「楽しいなぁ!」と叫んだり。
仮にアルコールが本音を引き出してくれるものならば、私がこれまで会ってきた人たちは、人生に対して前向きだったということになる。
なぜなら、酔った勢いで「死にたい」と言ってる人を見たことがないから。友だちはみんな、酔うと楽しそうなんだ。
妹のように悩みを泣きながら吐露する人もいるだろうが、あの子の場合、きっと理解してほしかったんだ。いいことだ。それはよくあること。
酔った勢いで「死にたい」と言ってる人には会ったことがない。
酔った勢いで「できるだけ楽に死にたい」と言ってる人にも会ったことがない。
酔った勢いで「幸せになりたくない」と言う人にも会ったことがない。
つまりは、みんな本音では、
幸せになりたい、ってことなのかな。
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〈あとがき〉
めちゃくちゃ眠いです。いまさっき帰ってきました。いよいよ毎日投稿が途切れるカウントダウンが始まっている気がします。中には不幸に自ら向かって突き進む方もいらっしゃるのでしょうが、果たしてどうなのかなぁ。今日も最後までありがとうございました。
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