見出し画像

井上陽水の『氷の世界』の詩に出てくる”画期的な色”って何色なの?

『氷の世界』は1973年に発売された同名アルバムに収録。意味がわかるようでわからない「窓の外ではリンゴ売り」の歌詞から始まる。陽水の代表曲である『氷の世界』。アルバムは我が国初のミリオンセールスだ。

「史上初の100万枚」

(略)100週以上BEST10に留まるなどロングセールスを続け、発売から2年後の1975年8月に日本レコード史上初のLP販売100万枚突破の金字塔を打ち立てた。
引用 : wikipedia「氷の世界」より


これだけのヒット作になった要因は、ひとつに時代背景がある。1970年代の日本だ。オイルショックなどの閉塞感。今の状況にも少し似てるのかもしれない。ただこの曲、冒頭にも書いたが歌詞の意味がよく分からない。

陽水はそんな意味不明の曲が多い。たぶん語感を大事にしてるんだろう。たとえば『少年時代』に出てくる「風あざみ」。これも存在しない言葉だ。

過去のラジオで「風あざみ」はどんな意味なんですか?と聞かれて「意味はありませんよ」的なことを言ってた。メロディが先にあって「な〜つがす〜ぎ〜、はにゃほにゃらら〜♪」って歌いながら、ふさわしい語感を探ってたら「風あざみ」に辿り着いたらしい。全く意味不明だ。 

作った本人が意味なんてない、って言ってるのに、誰かがそれを解釈しようとしても仕方がない。しかし真面目に調査する人がいた。井上陽水についてのドキュメンタリーがYouTubeに転がってて、それがどんな内容かというと、

Youtube : 「陽水が歌った故郷」

井上陽水ファンという設定の青年俳優。『少年時代』が好きで「風あざみ」がなんなのか気になった。きっと井上陽水の故郷の植物の名前に違いない、と思い立ち、陽水の故郷、福岡まで電車で訪問。現地の人たちに「風あざみ」の正体を聞いて周るのだが…。
私が要約

このドキュメンタリー、終始真面目なトーンで進行していき、結局現地の人も「風あざみ」なんて聞いたことがない、ということで終わる。

そりゃそうだ。陽水が適当に作ってるんだから。考えるだけ無駄ってもんだ。

井上陽水が「風あざみに意味なんてない」って言い切ってるのに、それを知らずにわざわざ福岡まで行くあたりが面白い。しかも真面目に。「風あざみに意味はないよ、少年、家に帰りな」と教えたくなる。

ドキュメンタリーは以下の動画で、該当部分は36:20あたりから始まるので注目だ↓↓

私も同じように『氷の世界』の歌詞に出てくる「画期的な色」が何色なのか気になった。絶対に意味なんてなくて「カッキテキ」という語感を使いたいだけだったと思う。陽水のインタビューを聴いていると「画期的」ってたまに言ってるし、好きなフレーズなんだろう。

僕のテレビは寒さで 画期的な色になり

とても醜いあの娘を 

グッと魅力的な娘にしてすぐ消えた
引用 : 『氷の世界』

だから、意味はない。
この記事で真面目に考察することもない。するだけ無駄だから。でも、考えるとおもしろいかもしれない。きっと白黒テレビからカラーテレビに変わったことを「画期的」と表現したんだろう。


この「画期的」というフレーズ。

「画期的」

[形動]これまでとは時代をくぎるほど目覚ましいさま。新しい時代をひらくさま。エポックメーキング。
引用 : wikipedia「氷の世界」より

結論、陽水はエポックな人だよね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?