砂利の上を歩く音で思い出す
すっかりほぐれたと思っていたのに
まだまだどんどんほぐれていく
ぴたりとはまる
小さな頃、市営住宅に住んでいた。
4階建ての四角いアイボリーの小さな田舎町の市営住宅。近くには小さな公園。玄関の反対側のベランダ側は、駐車場になっていた。車で出かけた日には、建物の周りをぐるりと回って玄関に入る。
親戚の家に出かけた日。夜ごはんをご馳走になって、お風呂まで入らせてもらうこともあった。今思うと多分夜の8時台。
その頃は夜の8時は就寝時間だったので、夜ごはんを食べ終わると眠くて眠くて「早く帰りたい」と思いながら、両親や親戚のおじさんおばさん達が楽しそうに話す声を聞いてぐずぐず待っていた。
親戚の家から市営住宅までは車で30分ぐらいだったのだけど、その車の優しい振動や、真っ暗な窓の外、いつのまにか眠ってしまうことが多かった。
駐車場について、車の中で眠ってしまってなかなか起きない私を、いつも父親がおんぶして家まで連れて行ってくれた。駐車場からぐるりと回る道のりには砂利が敷かれていた。おんぶしてもらってる背中越しに聞こえる砂利の上を歩く音が好きで、駐車場について目が覚めてしまってもよく眠っているふりをしていた。じゃりっじゃりっと心地よいリズムと響きと一緒に、背中越しに薄目を開けたら三日月が見えていた。
その時の記憶と繋がってるだろう砂利の上を歩く音。今もその音を聞くととても落ち着く。いい音だなぁと思う。好きなことの一つ。
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