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ベッキーの針刺しと、すずらんの花言葉
こんにちは、ぱんだごろごろです。
今日のタイトルと、タイトル画像を見て、ピン!ときた人は、私と同じくらい、「小公女」が好きな人でしょうか?
ベッキーの針刺し
これは、バーネットの小説、「小公女」の中で、
下働きの少女、ベッキーが、
いつも自分に親切にしてくれるお嬢様、
セーラの11才の誕生日のお祝いとして、心を込めて作ったプレゼントでした。
では、それが、すずらんの花言葉とどうつながるのか、
まずは、もう少し、「小公女」の場面にお付き合いください。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58678190/picture_pc_b445e93d5c077a0b0ab1aaf72cf28ffb.jpg?width=1200)
セーラの11回目の誕生日の朝、
――後でわかることですが、この日を境に、セーラの運命は大きく変わります。
大金持ちのひとり娘として、
ロンドンのミンチン女学院で、何不自由のない、特別待遇を受けていたセーラは、
父親が破産して亡くなった、という知らせを、この日受け取るのです。
それと同時に、父親以外に身寄りのなかったセーラは、
親戚もなく、知り合いもいないロンドンで、
ミンチン女学院の使用人として、屋根裏部屋で暮らすことになるのでした――
セーラが居間へ入ると、テーブルの上に、ころんとした小さな包みが置いてありました。
セーラには、それがベッキーからの、誕生日の贈り物だということが、すぐにわかりました。
そっと開いてみると、
そこには、あまりきれいではない、赤いフランネルの布で作った、四角い針刺しがあって、
上に、少しまちがっていますが、
「おめでとう」という字の形に、黒いピンが並べて刺してありました。
感激したセーラは、ちょうどそこへやって来たベッキーにお礼を言います。
この贈り物を作るために、ベッキーがどれほどの苦労をしたであろうか、セーラには、ちゃんとわかっていたのでした。
ベッキーは、セーラに贈り物を気に入ってもらえたことを喜んで、こんな風に言います。
『お嬢様なら、サテンの地に、ダイヤモンドのピンが刺さっているつもりになって下さると思いましたの。そう思いながら作りました』と。
セーラはベッキーにとびついて、抱きしめます。
その人にできる、最上のことをしてもらえた嬉しさ、
自分を、信頼に足る人間だと思ってもらえた嬉しさ、
セーラとベッキー、階級社会のイギリスで、
立場は違えど、人として、たがいに相手を思い遣る、美しい場面です。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58681795/picture_pc_5488ea1b30860a165a00a3562f611c86.jpg?width=1200)
はい、ここまでです。
子ども時代に、この場面を読んだ私は、
『少しまちがった文字』で、「おめでとう」
この部分が気になりました。
実際には、どう書いてあったのだろう。
舞台がイギリスだから、言語は英語、
そこまではわかりました。
お誕生日に「おめでとう」だから、"Happy Birthday" かな、
スペルが違っていたのだろう、と思いましたが、
具体的にどう書いてあったのか、までは考えつきませんでした。
せいぜい、pがひとつ抜けていたのかな、と思ったくらいです。
原書を買ってきて、そのページを見ればいい、ということに気付くのは、この後、数年経ってからのことです。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58683094/picture_pc_55eadae07cba6fc57c4669e82991894a.jpg?width=1200)
バーネットの別の小説、「小公子」の中には、
主人公のセドリックが、手紙を書きながら、
自分が綴りを間違える言葉について、語る場面があります。
セドリックは、pleaseを、pleesだと思っていた、と言うのです。
dearのことも、dereだと思っていた、と。
この時、セドリックは7才、小学2年生といったくらいの年頃ですね。
アメリカのニューヨーク育ちで、父も伯父も死んでしまったため、祖父のあとを継いで、伯爵になるために、イギリスに移り住むことになります。
そんなネイティブの子供でも、耳で聴いた発音と、スペリングの違いには戸惑うんだな、と思うと、
日本語ネイティブの私は、もっと英語の勉強をしなくては、
と思った記憶があります(どうも思っただけに終わったようですが・・・)。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58685286/picture_pc_331c147bf54efbf791aa62549aa6e3b7.jpg?width=1200)
そして、実際に、「小公女」の原書、"A Little Princess" を買って来た私は、
ベッキーが「おめでとう」を、少しまちがった文字で、
’Menny hapy returns' と書いていたことを知ります。
はい、全然、'Happy Birthday' じゃありませんでした。
これ、どういう意味だろう、と思って、辞書を引いて、それが、
’Many happy returns ’(お誕生日おめでとう。今日の良き日がいくたびも巡ってくるように)
という意味の決まり文句であることを知るのです。
このベッキーの間違いについては、ロンドンの、下町なまりを研究している人なら詳しいでしょうが、
今日は、すずらんの花言葉とどうつながるのか、が目的ですので、割愛します。
すずらんの花言葉
今年の5月、息子の中学受験塾以来のママ友で、フラワーアレンジメントの教室を主宰している友人が、
お花の展示会兼即売会を開く、というので、
出掛けました。
そして、そこで目に付いた、
すずらんのブーケを買いました。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58547125/picture_pc_68016dc5cb406a54f0e5b7a52a2083cb.jpg?width=1200)
その後、別のお店で買い物をした時には、限定のプレゼントとして、これもまた、すずらんのブーケをもらいました。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58547161/picture_pc_fb1244777c26240989d1d17f8cea8e30.jpg?width=1200)
なぜ、すずらんなのだろうと不思議に思って、調べてみると、
5月1日は、フランスでは、すずらんの日だということ、
すずらんの花言葉が良い意味なので、すずらんは花嫁のブーケにも使われる、ということを知りました。
すずらんの花言葉は、
「再び幸せが訪れる」
でした。
え?
と思ったんですね。
絶対、聞いたことある、って。
そこで思い出したのが、
ベッキーの針刺しの言葉だったんです。
’Many happy returns ’ (今日の良き日がいくたびも巡ってくるように)
一方、すずらんの花言葉は、
’Return of happiness' (再び幸せが訪れる)
どちらも、幸せがまたやって来るのです。
お誕生日の方は毎年、すずらんの方は、毎年か数年おきなのかはわかりませんが。
「小公女」のセーラは、お父さんを亡くして、裕福な家庭の令嬢から、一気に一文無しの孤児に転落してしまいます。
ですが、つらい目に遭いながらも、セーラは絶望することなく、気高い生き方を貫きます。
そして、運命は、再びセーラに幸せをもたらすのでした。
ベッキーが誕生日祝いにくれた、「今日の佳き日が、何度でも巡ってきますように」という言葉は、
セーラに、本当に、もう一度幸せを連れてきたのでした。
皆様にもいくたびも、途切れることなく、幸せがやってきますように。
すずらんのブーケと、お裁縫箱の中の針刺しを眺めつつ、幸せだなぁ、と思うぱんだごろごろでした。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58689006/picture_pc_56e4114e874aa849907af725510d7eda.jpg?width=1200)
今日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
あなたのスキ、コメント、フォローに、心より感謝いたします。
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