記憶の向こう側からやってきたもの 前編
わたしは最近、子どもの頃の記憶の中の、父と母の姿を書き変えることができました。
書き変えると言っても、自分の都合の良いように、捏造したわけではありません。
隠れていた本来のふたりの姿を前に引っ張り出せたのです。
この事は、わたしの日常に大きな変化をもたらしました。
わたしは現在、分子栄養学実践講座で、身体のしくみを学び、様々な実践をしながら、さらには心と自律神経の理解を深めるための勉強中の身です。
思春期から、ダイエットとリバウンド、過食嘔吐を繰り返し、不安定な体調とメンタルを抱えながらも、それを上手に隠して生きてきました。
文字通り、"顔で笑って心で泣いて"が、真骨頂でしたが、
年を重ねる毎に、上手に笑えなくなり、緊張がことさら強くなり、心身共の不調が増え、ただ生きているだけでしんどい状態になりました。
膨らんでいく体をなんとかしようと食べる量を減らして、運動をたくさんしても、痩せるどころか浮腫みが酷くなり、疲弊するばかりで、どうしようもなくなって、分子栄養学に辿り着きました。
身体のしくみ、生理的反応、それにメンタル症状が伴う機序を理解し、生活の中に落とし込んで、わたしの過食欲求はなくなりました。
過食欲求…
もうなかなかの長期間、散々戦ってきたのですが、根性で対峙するものではないということを学べたことは、本当に財産です。
他にもエネルギーを作れなくなっている根本原因を見つけだして治療をし、ストレス要因を取り除き、体調やメンタルは安定していきました。
でも…なんとなーく漂う頭打ち感…
体調は、波打ちながら上がっていくものとは承知しています。にしても、原因をやっつけている割には、体の中に、エネルギーをなかなか溜められないのです。
いやいや!以前と比べものにならないくらいに良くなったし、贅沢言わんとこ!
それももちろん良いと思います。
自分がこれで良いと思えば良いのです。
でもわたしの中では、どうしても中途半端感が否めない状態で、まっいいかと思えない。
いやむしろ、まだ伸びしろがあると言わざるを得ない。
それにはやはり自律神経の緊張…
これを取り除く何か別の方法が必要だと思うようになっていました。
そうこうしてる時、京都で行われるあるセミナーに参加しました。
それは、わたしが所属している研究会関係の方々が多く、いつも通り仲良しの先輩や仲間たちと参加しました。
なんとそこに、まさかと思う先生がいらっしゃったのです。
先生は研究会の講師をされていて、いつもは東京にいらっしゃるので、『まさか!嬉しい♡♡』という状態でした。
その先生のファンはとても多いのです。
口は悪いけど(笑)、本当に温かくて胸を打たれる講義をされます。
ドクターでもある先生は、ある講義で、ひとりの受講生自身の血液検査をもとに、解析をされる(これを界隈では"生け贄さん"と呼んでいます笑)のですが、その読み方がすごいのです。
検査結果からだけではなく、その方の見た目や雰囲気、声のトーン、話し方などで、子ども時代からの母親との関係や、普段の緊張度合いを言い当てられ、それをどんな風に捉えれば良いか、発想を転換させてくれるような厳しいのにめちゃくちゃ温かな言葉の数々に、最後にその方は泣いておられました。
緊張が緩み、ホッとしたのだと思います。
その方と重なる部分が多く、一緒に大泣きしたという栄養友も多くいて、わたしもそのひとりでした。
(ちなみに、この一連の流れをわたしたちは"除霊"と呼んでいます笑)
その講義の最後、先生は泣いているその方に、
『今、何食べたい?』と優しく訊かれ、
『チョコレート』と答えると、
『じゃあ、チョコレートを食べても大丈夫な身体になろう。みんなここ(講座)へは、〇〇のサプリを〇〇だけ飲むといいよ!"を教えてもらいに来た?違うよ!ここには幸せになるために来てるのよ。』
…うっ
こころを鷲掴みにされ、さらに涙がポロポロと。
そうなんです。
わたし達は幸せになるために、ここに辿り着いているのです。
そんな素敵な先生が
まさかの同じ空間にいらっしゃるので、
あとで握手してもらお♡
写真撮ってもらえるかな♡ などと考えながら、
セミナーを多いに楽しみ、学び、そのまま懇親会に参加しました。
お店に到着し、いつものメンバーで席に着こうとした時に、なんとその先生が、わたし達のテーブルにいらっしゃったのです。
ぎょえー!!ラッキーすぎる!!!
先生が目の前に♡♡♡
先生とお話する機会を得て、わたしはなんとそこで検査結果を持っていない"生け贄さん"の機会をいただくのです。
気が舞い上がっていて、全ての一言一句を覚えていないのが本気で悔やまれるのですが、たくさんお話をさせていただきました。
その中でのひとつ。
わたしが子どもの頃、妹を出産後、イライラが抑えきれず、わたしに暴言を吐いてしまう、絶対に相当の鉄欠乏があった母の話をすると、先生は
『じゃあ、そのお母さんの背中に穴を開けて、鉄剤を放り込んでみて。』と。
わたしは本当にやってみたのです。
ジャラジャラ入れてみました。
すると、あんなに怒っていた母の顔はみるみる穏やかになり、精気が溢れ出したみたいに元気になって、少し茶目っ気のある笑顔になったのです。
大酒飲みでベビースモーカー。それもきつーいショートホープを手放せない父は、こちらも絶対に相当の低血糖で(お酒とタバコは血糖値を上げるホルモンを放出させます)、
彼もまたイライラが酷く、紛れもないアドレナリンファイター。
55歳の時にくも膜下出血で亡くなっています。
先生がまた、
『お父さんの頭にストローをさして、栄養たっぷりのドリンク流し込んでみて。』
『どうなった?』と…
やってやりました。
父の頭にストロー挿してやりました。
栄養たっぷりドリンクをジャバジャバ入れると、なんと、
げっそりと痩せていた父が、なんだかふっくらしてきて、血色を帯びて、吊り上がっていた眉毛はみるみる下がって、本当に穏やかな表情になったのです。
『それが本当の姿。』
先生の言葉に涙が止まりませんでした。
同じテーブルの心優しい友も、涙を拭う拭う。
そして不思議なことに、元気になったふたりはじゃれ合うようになったのです。
そこへ駆け寄る10歳のわたしと小さな妹。
この映像が、何日経っても、ずっと今ここにあるのです。
思い出す父の姿は、世の中全部を恨んでいるような不機嫌なあの顔ではなく、怒っているわけでも、怒鳴っているわけでもありません。
暴言を吐かれた後に、背中に向かってごめんなさいと言うわたしを無視し続けるあの母の背中は、もうなくなっているのです。
ニコニコしながら母にちょっかいを出す父と、
もうやめてよ!と嬉しそうに笑う母になったのです。
信じられないのですが、本当にそうなったのです。
はて?
その穏やかな姿はどこからやってきたのでしょうか。
わたしが頭の中で理想のふたりを描き出したのでしょうか。
この問いには、明確な答えがありました。
"その姿をわたしは見ていた"のです。
それを実際に目にしていたのか、写真で見たのかは定かではありませんが、確かにわたしの記憶の中に残っているふたりなのです。
あまりにかけ離れたふたりを見ていた期間が長かったために、影に隠れてしまっていたのでした。
それを先生に思い出させてもらい、後ろに隠れていたふたりを前に引っ張り出してきました。
確かにわたしは、妹が生まれるまでの7年間は、母にベッタリで甘やかされていました。
実際、母はその頃のことしか記憶にないそうで、あんなに可愛がっていたのにと辛そうでした。
人は思い出したいものしか思い出さないのかもしれませんね。母とわたしもそうだったように。
のちに、先生は仰いました。
胸にあったその姿は、自分を守るために存在している守護霊みたいなもの。
でもちょっと不器用だから、その都度、交代させればいいのよと。
わたしも、そしてきっと母も、自らその姿を選んで記憶に置いていたのですね。
自分を守るために。
そして、この記憶の中の両親の姿が書き変わったことで、わたしは、体調不良の根本とも言える、ある事に気づくことになります。
*後編へ続きます↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?